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ウェブが創る新しい郷土/地域情報化のすすめ

ウェブが創る新しい郷土 ~地域情報化のすすめ
丸太一(2007)
□各地に地域情報化という地域活動が湧き上がり、人々のアクティビズム(能動性)を喚起している
□「地域情報化」とは「情報による地域づくり」のことである
□「リードの法則」・・・米国の数学者デービット・リードは、「放送型(N)」「電話型(N2)」「集団形成型(2N)」という三種類の典型的なコミュニケーション・ネットワークについて、その経済的価値を定式化した
□「パブリック・アクセス・チャンネル」・・・PACとは、米国生まれの一般市民による自主放送番組である
□日本に初めてPACを導入したのは一九九二年、中海テレビ放送(鳥取県米子市)である。中海テレビ放送は「メディアを市民の手に!」を経営理念に掲げ、PACの他にもニュース専門チャンネルや、テレビ伝言板など市民向けチャンネルを用意するCATV会社である。また最近では、制作の意思決定を行う番組審議会を開放し、市民の意見を反映した番組づくりを進めている。中海テレビ放送がPACとして放映した番組をみると「日野川源流の碑」(個人)、「かがやけ日吉津の子」(小学校)、「四季彩音楽館」(財団)など、個人、学校、青年会議所、医師会といった地域を構成する多様な主体が、肩肘張らず楽しみながら自分なりの表現を持ち込んでいる
□「開かれたテレビ局づくりが、市民個人の社会的な関心を高めて、地域コミュニティを育て、ひいては地域づくりにつながる」と中海テレビの高橋孝之専務取締役が語るように、日本版PACは、言論の権利を確保するために生まれた米国のPACとは異なる道を歩み、地域づくりの道具として根づき始めている
□自分の表現は自分で作ってもらうしかない、という簡単な原則
□岸本は、・・・一見すると遠回りのようだが、住民自身がテレビ番組の制作プロセスを身につけることが、地域づくりに求められる企画力や取材力、構成力、広報力などに直結することを体験的に悟るようになる
□一九九六年、岸本は任意団体「まち創り応援団プリズム」を立ち上げた。まず、熊本県人吉球磨地域で「住民ディレクター要請講座」を開催し、域内十四市町村(当時)の職員を対象に、三ヶ月間、映像制作の講義と実践を行った。基本的な技術や心構えを教えることで、カメラに触れたことのない受講者が、講座終了時には地元の魅力を伝える三分番組を発表するまでになった。住民ディレクター(地域リーダー)の誕生である
□「テレビは見るものではなく、使う(出る)もの」という山江村「マロンてれび」の合言葉にみられるように、プロに占有されてきた放送技術を誰にでも扱えるよう開放したことで、テレビは見るメディアから、作るメディアへ、そして参加して共に創るグループメディアへと大きく変化しつつある。地域にテレビを適用して、地域に人が育ち、自前のソリューションが生まれ、地域は内から元気になる
□最初に登場した地域SNSは、熊本県八代市の「ごろっとやっちろ」である。このユニークな名前は、熊本弁で「八代のすべて」という意味である。八代市は二〇〇三年から行政ポータルサイトを運営しており、地域情報や生活情報の外向けの発信の他、掲示板や地図情報利用などのサービスを、登録した会員向けに提供していた
□ごろっとやっちろのSNSシステムはオープンソースソフトウエア「open-gorotto」として公開されているが、これをベースに総務省は住民参加システムを開発した。この際、総務省が注目したのもSNSがもつ信頼性である。総務省はSNSを地方行政への参加の道具として活用するとの方針のもと、二〇〇五年十二月から東京都千代田区と新潟県長岡市で実証実験を行っている
□ごろっとやっちろで特徴的なのは地図機能である。会員のブログや掲示板に書き込まれた日常的で何気ない会話に現れる位置情報を、地図上に集約できる。この地図機能は、多くの地域SNSで採り入れられている。ドコイコ(香川県)、ショコベ(兵庫県)、カスタメディア(兵庫県)、VARRY(福岡県)など多くの地域SNSでは、グーグルAPIを利用した地図サービスを提供している。ユーザーは地図上に店名やイベント名などを書き込むことが可能で防災や防犯などの目的にも地図機能は利用され始めている。地図機能はミクシィなど一般型SNSでは導入されておらず、地域SNSならではの機能といえる
□地域SNSは、全国各地に林立している。二〇〇六年一月には十三サイトしかなかった地域SNSが、同年八月には一二〇を超えるまでに急増している。その大半は手嶋屋(手嶋守代表取締役)が供給するオープンソースソフトウエアOpenPNEか、同じくASPサービス@PNEを利用しており、個人がブログを開設するのと同じくらいの手軽さでSNSを開設できることがその背景にある
□地域情報化の活動と都市計画系の活動には、可笑しくなるほど接点がない。地域情報化の先進地域でも、まちづくりNPOやまちづくり協議会と地域情報化の団体が協働するケースはほとんどみられない
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