モバゲータウンはなぜオープン化し、ゲーム開発者になにを求めているか。ライバルをどう見ているか。スマートフォンをどう感じているか。

 

ライバルに勝ち抜くオープンゲームの運営方針、iPhoneへの対応–モバゲータウン責任者に聞く

著者 : 永井美智子(編集部)
URL : http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000055954,20408451,00.htm

モバゲータウンのソーシャルゲーム投入で、ディー・エヌ・エー(DeNA)の業績が好調だ。
1月にはモバゲータウンのゲームAPIを使ったオープンゲームが、多くの企業から登場している。

「スピード★レーシング」を公開するロックユーアジアは提供開始から5日間で30万人の
ユーザーを集めたと、親会社であるソフトバンクが決算資料で明かしている。

――ただ、まだゲームのランキング上位にオープンゲームは登場していないようですね。

当社はプラットフォーム提供者として、「課金や広告のレベニューシェアでゲーム開発者の皆様と
一緒に儲けていきましょう」というスタンスです。
トラフィックのコントロールをして、プラットフォームの価値を最大化していきたいという思いがあるので、
一番課金効率の高いゲームにトラフィックを流したいんです。

今後はオープンゲームの中から売上効率の高いものが出れば、
どんどん露出を強化していきたいと思います。
効率の高いもの、というのは「30万ユーザー登録時点で1日の売り上げが100万円くらい」という
イメージです。そうすると、100万ユーザー登録で月商1億円になる。

トラフィックは有限なので、今後は月商1億円を超えるアプリ同士の戦いになってくると思います。
そこから月商が3億円になるのか、5億円になるのか。
そういったゲームが半年から1年ほどで(人気が落ちて)沈んでいき、また新しいゲームが生まれてくる
ことになるでしょう。
儲かるものは非常に儲かるし、ダメなものはダメ、というようにはっきりしてくるでしょうね。

――月商1億円のものがどのくらい出てくると考えていますか。

10本以上にはなってほしいですね。
半年ほどかけてゲーム数が300本くらいになり、その中の10本くらいがそうなってくれればと思います。

そういったゲームは、ゲームのトップページなどで露出していきます。
ただ、課金効率を最重視しているとはいえ、ユーザーのリピート率や、
トップページに露出したときのコンバージョン率の高さなども見て調整していきたいとは思っています。
プラットフォーム提供者として、トラフィックに対する価値を上げていくのが使命です。

ユーザーのことを考えると、ジャンルも含め色々なニーズに対応する必要があります。
エンターテインメント系のコンテンツなので、3カ月~1年で入れ替わるライフサイクルになるだろうと。

ユーザーに質の高いものを数多く投入していかないといけないと考えたとき、内製だけでは
応えられないので、開発者に幅広く参加していただこうということでオープン化することにしました。

――mixiにもゲームを提供していますが、ユーザーの動向の違いなどはありますか。

mixiとモバゲータウンはプラットフォームとして考え方が違うので、カニバらない(ユーザーの奪い合いにならない)だろうと判断しました。
実際、両方のプラットフォームで利用が伸びています。ARPUの違いはありますが、mixiの課金収入も順調に拡大しています。

――内製アプリの開発体制は。

基本的には、1ゲームごとにエンジニア1人、企画者1人というペアでやっています。
エンジニアが自分でサービスを考えてコードを作るというのが一番早いですから。

使いやすさやさくさく感を求めるときに、何人かでつくると(使い勝手が)ちぐはぐになる。
1人で全部開発を完結させたほうが、一体感のある使い心地の良いものができるんです。

――一時期テレビCMを止めていましたが、その間にGREEに会員数を抜かれました。

モバゲータウン内に強いコンテンツがなく効率が良くなかったので、
2009年は訴求力の高いコンテンツやサービスを作るのに集中して、
それができたらプロモーションを強化しようと考えていました。
今は純増数も相当伸びていますので、また(GREEを)抜き返したいと思っています(笑)

――GREEのどこが強いと思いますか。

やはり、提供している4つのゲームが強いんじゃないでしょうか。
GREEがうまくソーシャルゲームで伸びた中で、当社は若干取り組みが遅れたとは思っています。

ソーシャルゲームは、ゲーム内で友達を作って、それがモバゲー友達になってメッセージを送り合う
というように、コミュニケーションを活性化させる上で重要です。
単純にゲームとしても楽しいので、ユーザーに楽しんでもらってお金を落としてもらう
という狙いもあります。

もともとモバゲータウンは無料ゲームで集客して、アバターでマネタイズするという
モデルだったんですが、
ソーシャルゲームはそれ自体がお客さんを連れてきて、定着させて、マネタイズもできる
という万能ツールのような存在ですね。

――mixiが現実の知り合いをネットでつなぐ方向であるのに対し、モバゲータウンはユーザー同士の関係がバーチャルです。この分、ユーザーが簡単にモバゲータウンから離れてしまうということはないのでしょうか。

そこは常に良いサービスを投入し続けることで対応します。
常にユーザーを満足させられるものを考えていくということしかないと思います。

――ソーシャルアプリの中で、あえてゲームに絞った理由は。

1つは、ゲーム好きなユーザーが多いので、(ユーザーがソーシャルゲームに)わかりやすく入れる。
もう1つは、ビジネスモデルとしてゲーム以外のものは見えていません。
ただ、今後もゲームしかやらないということではありません。

――携帯電話市場の展望についても意見を聞かせて下さい。国内ではスマートフォンが注目されていますが、今後はどうなっていくと考えていますが。

今までiモードなどのケータイインターネットをヘビーに使っていた人たちは、
ほとんどiPhoneに移っていないんです。

PCインターネットのトラフィックがiPho
neに流れてきているということです。
モバイルインターネットというくくりで言えば、プラスになっている。

NTTドコモが月次で発表している1人あたりのPVは順調に伸びています。
このトラフィックが減るようなことがあれば、いまのケータイヘビーユーザーもスマートフォンに
流れはじめた兆しになりますが。

  • NTTドコモのiモードユーザー1人が1日にウェブアクセスする数(NTTドコモ公開資料より作成)。2009年12月には1人1日100PVに達した

かなりのユーザーがいる海外向けにサービスを提供してノウハウを積み、良いタイミングで
そのノウハウを使って日本でも展開しようと思っています。
市場が1000万台規模になる前には対応しないといけないとは思っています。

――ソーシャルゲーム市場はどの程度まで伸びるでしょうか。

半年くらい前までは、2~3年で1000億円くらいの規模になると思っていました。
現在の状況を見ると
2000億~3000億円という大きな市場になる可能性を秘めていますね。

――今後市場を伸ばすには、収入の多い高年齢層の獲得が重要になりますね。

ARPUは年齢が上がる方が高くなりますので、30~40代のユーザーをどう増やすか
というのは非常に重要です。

いくらバーチャルコミュニティとはいえ、10代の人のようにまったく気兼ねなく他人に話しかける
というのはハードルが高いんですが、ゲームを通してとなれば変わります。

いままでのコミュニティは10代のほうが活動が活発だったんですが、
ソーシャルゲームの場合は30代のほうが活発なので、ゲームから入ってコミュニケーションを
していくというのは、自然と受け入れやすいのかなと思っています。

ライバルに勝ち抜くオープンゲームの運営方針、iPhoneへの対応–モバゲータウン責任者に聞く – CNET Japan

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