設立から10年で日本の大手メーカーを抜き去ったQセルズ
太陽光発電は、ほんの少し前まで日本メーカーの独占状態であった
しかし、ここ5年ほどでガラリと変わった
ドイツや中国のベンチャー企業が次々と日本の大手メーカーを抜き去り始めたのだ世界の工場である中国のメーカーが、安さを武器に日本の企業を追い越すのは他の業界でも見られるが、日本と同じ成熟国であるドイツのベンチャー企業の急成長は意外である
その中でも大成功したベンチャー企業がQセルズだ
Qセルズは、1999年に生まれ、現在では売上高が1,000億円を超える
時価総額も一時期、1兆円を超えた2007年には、生産量で世界一の座を日本メーカーから奪ったのだ
(リーマンショック以降、ヨーロッパの需要の減少もあり、ナンバー1の座を中国メーカーに明け渡したが、今後も成長が期待されている)なぜ、Qセルズは大きくなったか?
Qセルズが急成長した背景には、技術力や経営者の手腕も大いにあるだろうが、それだけではない
国の大きな後押しがあったからだ
ドイツ政府は2000年以降、自然エネルギー産業を次なる成長産業と位置づけ、多くの優遇政策をおこなってきた
その1つに家庭が発電した自然エネルギーを高値(通常の電気料金の3~4倍)で買取る制度があるそのおかげで、太陽光発電を家庭で始めても10年も経たないうちに『モト』がとれる
しかも次の10年で200万円の利益がでる
この制度に乗らない国民はいないのではないだろうか?かくして需要が爆発的に増え、あっという間に世界1になったのだ
国の制度が新しい産業が育つ後押しをした成功事例といえる環境ビジネスは、ネットベンチャーなどに比べ、大規模な先行投資や長期的な視点でのサービス展開が必要な分野が多い
Qセルズの事例を見ると、こういった分野でベンチャー企業を育てるには、育ちやすい制度を政府が音頭をとって整えることの大切さを感じてしまう
無駄な道路よりもこういった次世代産業を育てる制度があればと思ってしまう
なぜ、ドイツの太陽光ベンチャーが設立10年で世界1になれたのか? :コラム:グリーンビジネス最前線:VentureNow(ベンチャーナウ)