月別アーカイブ: 2016年8月

外国人観光客が訪日前・訪日中にチェックする情報メディア・サイト19選

ここ数年、都内でも街を歩くとガイドブックや大きな買い物袋を持った訪日外国人に出会うことは日常になりましたよね。2014年に訪日外国人は1300万人だったそうですが、日本政府は2020年の東京オリンピック時には2000万人、2030年には3000万人にするという目標を掲げました。その流れを受けて、訪日外国人をターゲットにしたいわゆるインバウンド消費関連のビジネスが活況です。
「訪日外国人向けのビジネスや戦略を考えろ!」とクライアントや上司から言われている方もいらっしゃると思いますが、今日はそんな方にとって参考になりそうな、訪日外国人向けの情報メディアをまとめてみました。

1.TripAdvisor

トリップアドバイザー- 口コミを参考に、料金を比較して予約
http://www.tripadvisor.jp/

ホテル等の旅行に関する口コミ・価格比較を中心とする、ウェブサイトおよびアプリ。訪日外国人へのインタビューで参考にしているサイトの質問をすると、必ずと言っていいほど出てくるサイト。

世界最大の旅行口コミサイト【トリップアドバイザー】

2.Michelin Travel – Japan Travel Guide

Japan Travel Guide- plan your trip – Japan
http://travel.michelin.com/web/destination/Japan

レストラン評価などで有名なミシュランの旅行ガイド。欧米系の旅行者にとっては、バイブル的な存在で、ここで取り上げられた高尾山が観光地として賑わうなど影響力が強い。

3.JapanGuide

japan-guide.com – Japan Travel and Living Guide-min
http://www.japan-guide.com/

訪日・在日外国人向けのポータルサイトの老舗。1996年より運営。2015年6月現在の月間ユニークユーザー は148万人でアジア、アメリカ、ヨーロッパ圏からアクセスが多い。数ヶ月以内に訪日旅行を予定している外国人をはじめ、潜在的な訪日旅行者(日本に興味 があり、まだ予定はないがいつか日本を訪れたいと考える外国人)などが閲覧。

4.Japan Travel .com

ジャパン・トラベル‐日本旅行ガイドならびに旅行の地図
http://ja.japantravel.com/

10言語で50人の地域担当パートナーと、4,000人のライターのネットワークで構築される日本観光に特化したキュレーションサイト。在京外国人経営の会社、ジャパン・トラベル株式会社が運営。

5.MATCHA

MATCHA – 訪日外国人観光客向けWebマガジン
http://mcha.jp/

訪日外国人向けのキュレーションサイト。英語、簡体字・繁体字・韓国語、タイ語、ベトナム語などに対応。運営は株式会社sen。佐賀県庁、岡山大学、和倉温泉観光協会などとコラボ企画もアリ。

6.JAL Guide to Japan

JAPAN AIRLINES – JAL Guide to Japan
http://www.world.jal.com/world/en/guidetojapan/

JALが運営する日本紹介サイト。英語、中国語3言語、フランス語、ドイツ語、ロシア語にも対応。

7.Japan Hoppers

Japan Hoppers – Japan Travel Guide
http://www.japanhoppers.jp/

訪日外国人向けの観光情報を無料で配信するサイト。トラベルビジョン株式会社社が運営。14か国語に対応。

8.JAPANICAN

Japan Hotels, Ryokan and Tours – JAPANiCAN.com
http://www.japanican.com/

JTBグループが運営する旅行予約サイトおよび旅行案内サイト。漫画を使った旅行ガイドアプリなどを展開。

9.日本漫遊

日本旅遊觀光綜合資訊網 — 日本漫遊 — 日本漫遊網-日本漫遊之旅-日本自由行網站-Japan Travel Guide for Chinese. Free Tourist Guide.日本旅遊网站
http://www.e-japannavi.com/

世界中の中国人が日本旅行する際に確認するサイト。中国語Yahoo!4サイトで評価獲得の人気サイトとして、日本の観光情報、ショッピング情報、商品情報、宿泊情報、温泉情報、交通情報などを世界の訪日中国人向けに発信している。

10.樂活的大方

樂活的大方@旅行玩樂學~ — 痞客邦 PIXNET
http://lohas.pixnet.net/blog

台湾人が訪日する際に参考にしている情報源として有名なブログ。

11.「樂吃購(レッツゴー)!日本」
東京自由行-樂吃購‧東京 提供您優惠資訊-min
http://tokyo.letsgojp.com/(URLは東京・地域別に別れている)

国地域別で訪日人数が一番多い台湾人が、訪日前にチェックするサイト。facebookを活用した自治体などのプロモーション実績も豊富。

12.Marumura.com
เที่ยวญี่ปุ่นกันมั้ย – marumura.com
http://www.marumura.com/home/

タイ人が訪日する際に参考にしているサイトとして有名。食や旅行、ドラマの情報などが盛りだくさん。

13.地球の歩き方goodLuckTrip
GOOD LUCK TRIP グッドラックトリップ|訪日外国人向けフリーマガジン
http://www.goodlucktrip.jp/

旅行ガイドブックの老舗「地球の歩き方」が発行する訪日外国人向け無料フリーペーパー。東京版、北海道版、関西版などのエリアごと、また自由旅行者向けや中国人富裕層向けなどターゲットごとに誌面が分かれている。香港、台湾、韓国、タイ、シンガポールなどの旅行会社と提携、また国内の主要空港やホテルに配布されるなど、確実にリーチされるのが強み。東京版は11万部発行。アプリで読めるデジタルブックもある。

14.Japan-i畅游日本(ちんゆう日本)
Japan-i暢遊日本網
(総合サイト)http://japan-i.mynavi.jp/ 
(中国語Webナビゲートサイト)http://japan-i.mynavi.jp/media/web.html

マイナビが発行する訪日外国人向け(主に中国大陸・香港・台湾等の中華圏)フリーペーパー。冊子だけでなく、クーポンアプリや簡体字・繁体字でのWebなどの展開も実施している。

15.DiG JAPAN
DiGJAPAN! – 訪日外国人向け観光アプリ
http://www.mapple.co.jp/digjapan/en/

まっぷるで有名な旅行情報誌を発行している昭文社が開発した旅行ガイド&クーポンアプリ。英語・韓国・台湾。タ イ・シンガポール版のfacebookページと連携させて、外国人のニーズに合わせた記事や特集の紹介を行っている。インバウンド向けのビジネスソリュー ションも提供。

16.TimeOutTokyo
東京旅行ガイド – Time Out Tokyo (タイムアウト東京)
http://www.timeout.jp/ja/tokyo

1968年にロンドンで発行が始まった地域密着型のシティガイド誌の東京版。都市生活者にフォーカスした誌面になっている。東京と京都版があり、誌面だけでなくiPhoneビューワー、マップストアなどを揃えている。

17.WAttention Tokyo
Wattention – Bringing you the best of Japan
http://www.wattention.com/

訪日外国人及び外国人と接点のある日本人向けに、東京を紹介するフリーペーパー。Web版もあり、東京の情報だけでなく日本で工芸品などを販売するECショップも展開。

18.JNTO日本政府観光局
Japan National Tourism Organization Web Site
(JNTO日本政府観光局)http://www.jnto.go.jp/jpn/
(JNTO運営の情報サイト)http://www.jnto.go.jp/

JNTO日本政府観光局が運営するサイト。14か国語に対応した情報サイトを開設しており、ある意味政府公式感がある。観光局として、ビジネス系のイベントも多く開催しているので、会員になると商談会に参加できるなどの事業者としてもメリットも多そう。

19.VISIT JAPAN 日本旅遊活動
日本旅遊活動 VISIT JAPAN CAMPAIGN
(VISIT JAPAN CAMPAIN 中国語サイト)http://visit-japan.jp/
(国土交通省の観光庁訪日旅行促進事業の概要ページ)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html
国土交通省の観光庁が実施しているVISIT JAPAN CAMPAIGNの公式サイト。中国語のサイトしか発見できなかったが、ビジット・ジャパン事業としてアジアとヨーロッパを重点的にプロモーションする模様。

情報源: 外国人観光客が訪日前・訪日中にチェックする情報メディア・サイト19選

2016年・最新の統計情報から見る、世界のネット・SNSの利用状況 株式会社アクトゼロ|デジタルマーケティング・訪日インバウンド施策

今年の1月27日、英ロンドンに本社を置くソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」から、最新の調査報告「Digital in 2016」が発表されました。

昨年の「Digital, Social & Mobile in 2015」からタイトルが改められ、より広いデジタルマーケティング領域に関する統計調査結果となっているようです。(参考:「2015年・最新の統計情報から見る、世界のネット・SNSの利用状況」2015.1.28)

インターネットやソーシャルメディアの利用状況の傾向の統計が、世界的規模での傾向だけでなく、30カ国の国別のデータも掲載されており、通常あまり目にできない国の情報も載っているため、非常に興味深い内容となっています。今日は、この統計の中から抜粋して、2016年最新の、世界のネット・SNS利用状況について見てみることにしましょう。

世界の傾向

まずは全世界のネット分野の概況について見てみましょう。世界の人口、約73.2億人のうち、日常的にインターネットを利用しているユーザーは、約34.2億人(全人口の46%)で、昨年比で伸び率は小さくなったものの、約10%増加しています。(2014年→2015年は約21%の増加) ソーシャルメディアをアクティブに利用しているユーザーは約23.1億人で、昨年比約10%増加しています。(2014年→2015年は約12%の増加) 携帯電話のユーザーはネットユーザーの人口よりも多く、約37.9億人です。こちらも昨年と比べると伸び率は小さいものの、確実にユーザーは増加しています。

下のグラフは、一日あたりにインターネット利用に費やす時間を国別に表したグラフです。上から、1位ブラジル:9.1時間(昨年3位)、2位フィリピン:8.4時間(昨年1位)、3位南アフリカ:7.9時間(昨年5位)、4位タイ:8.6時間(昨年2位)、5位アルゼンチン:8.2時間(昨年12位)となっています。東南アジア・南米の国が昨年同様多い傾向が見られますが、アルゼンチンが急に伸びた結果となっています。

日本は意外ですが、28ヶ国中、最もネットに費やす時間が少なく、3.5時間となっています。昨年の3.1時間と比較すれば約13%長くなっていますが、最もネットに時間を費やすブラジルと比べると、およそ3分の1程度の時間になっています。

下のスライドは、インターネットにアクセスするデバイスのシェアを表したものです。PCからスマートフォンにシフトしているのは、日本だけではなく、全世界的な傾向のようです。PC経由のアクセスは昨年比9%減なのに対し、携帯電話経由のアクセスは21%の増加となっています。

ただ、昨年のデータと比較すると、顕著な違いが出ていたのがタブレットPC経由のアクセス。昨年は17%の増加になっていたことに対し、今年は21%の減少と、傾向が一転しています。スマートフォンの大型化や高性能化から、ユーザーのタブレット離れをよく耳にしますが、世界的規模かつすごい速さでその傾向が進んでいることが分かります。

ソーシャルメディアのサービス毎の、アクティブユーザーの数はどうなっているでしょうか。ユーザーのFacebook離れなどのようなキーワードも耳にすることがありますが、引き続き世界的にはFacebookがトップになっています。この統計ではメッセンジャーサービスも数えているので、Facebook messenger・Whats app・Instagramなど、Facebook関連のサービスも含めて考えると、他を圧倒するシェアがまだまだ続いている現状がよく分かります。特にInstagramは2015年、日本で大きな流行を見せましたが、世界的にも着実に伸ばしており、昨年比で約33%ユーザーが増加しています。

Facebook関連に次ぐのは、QQ(中国版Skype)・Qzone(中国版Facebook)。米国はじめ他国発のSNSを遮断している中国独自のSNSが人口規模要因から多くのユーザーを抱えるプラットフォームとなっています。

下のグラフは一日にソーシャルメディア利用に費やす時間の、国別平均値を表すものです。前述の、ネット接続時間のグラフで上位に位置した国がSNSにも長めに接続している傾向が見られます。日本は0.3時間と世界的に見るとかなり短くなっており、昨年の0.7時間と比べても、更に短くなっています。

各国の状況

このレポートの中では、全世界とは別に30カ国の国と地域において、「Country Snapshots」として、デバイスごとの伸長率・メディアごとの接触時間・ネットの利用状況・デバイスごとのトラフィック率・SNSの利用状況・携帯電話の利用状況・Eコマースの利用状況を報告しています。

今回も、SNSのサービス毎のアクティブユーザー数を示したグラフを基に、3つの国について人気のSNSサービスについて見てみましょう。昨年と比較し、何か変化があったでしょうか。

まずはアメリカを見てみましょう。世界的に利用されているSNSの多くはこの国が発祥となっています。結果は、Facebook関連が一強といったところでしょうか。Facebook自体はシェアが美玄しているものの、Facebook MessengerとInstagramが伸長しています。続いて、Twitter・Pinterest・G+の順位は昨年と変わりありませんが、G+以外はシェアを落としています。

日本では大きな変化が見られました。昨年は3%だったLINEが25%でトップに躍り出る大躍進を果たしました。Facebookも13%から17%に伸長したものの、LINEの勢いには勝てず、Messengerと合わせても2位に転落。そして、海外と比べ日本ではユーザーが多いTwitterですが、微減して3位。また、mixi・アメブロ・モバゲー・グリーといった、日本独自のプラットフォームもある程度割合があることが分かり、SNSの利用率は国の差が出るものだと感じます。。

中国では、海外のSNSサービスは基本的に使えないため、独自のSNSが多くの割合を締めています。WeChat(中国版LINE)・QZONE(中国版Facebook)weibo(中国版Twitter)などが上位にランクされています。上位のサービスは割合や順位の変化が小さいものの、下の順位のサービスは入れ替わりが激しいようです。

ちなみに、当社では、こうした中国独自のSNSを活用し、中国からの訪日観光客向けの訪日インバウンドマーケティングのサービスを提供しています。ご興味ある方は是非、お問い合わせ下さい。

以上、いかがだったでしょうか。なかなか、同じ視点から多数の国の現状を比較したデータはあまり多くないと思うので、特に海外の国同士や、日本と他国の比較などで役に立つレポートだと思います。皆さんのご提案などに活用できるのではないでしょうか。

Digital in 2016 from We Are Social Singapore

情報源: 2016年・最新の統計情報から見る、世界のネット・SNSの利用状況 株式会社アクトゼロ|デジタルマーケティング・訪日インバウンド施策

訪日旅行者数(インバウンド)目標2000万人について考えてみる

政府の「訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)」は2,000万人の訪日旅行者数(インバウンド)の実現を目標に掲げています。すでに2014年12月の出入国管理統計速報が発表されていますので、2014年暦年実績が把握できます。このデータを使って過去の実績を分析し、今後の見通しを考えてみたいと思います。

最初に、出国日本人数(アウトバウンド)と訪日外国人数(インバウンド)全体の推移を見てみます。

日本人のアウトバウンドは、1996年に1,600万人を超えて以降、2003年と2009年に大きな落ち込みがあったものの、それ以外は概ね1,600万人から1,800万人のレンジ内で為替レートに連動して増減してきました。2003年はイラク戦争が始まった年で、2009年は前年のリーマンショックによる世界同時不況があった年でした。これらから、日本人のアウトバウンドは過去20年近く「概ね横ばい」の基調を続けているといえます。政府目標のインバウンド2,000万人が達成されると、日本は、発展途上国に多い旅行者「出超」の国から、多くの経済先進国と同様の旅行者「入超」の国に変われる可能性があります。

外国人のインバウンドは、1995年までは400万人を若干下回るきわめて低い水準で横ばい推移していましたが、1996年に400万人を超えて増加基調に転じました。しかし、やはり2003年と2009年に停滞と落ち込みがあった上に、2011年には東日本大震災の原発事故発生によって大きく落ち込みました。2009年から2012年の4年間はこれらの要因による落ち込み停滞の期間としてグラフではピンクの背景を入れてあります。この落ち込み停滞期間を過ぎて再び増加に転じ、2013年には初めて1,000万人の大台を突破し、2014年には1,415万人にまで拡大しました。過去2年は政府の目標に向かって順調に拡大しているように見えますが、国(地域)別の動向を更に詳しく見て、今後の見通しを考えてみたいと思います。

まず、訪日外国人数(インバウンド)を国(地域)別の積み上げ棒グラフにしてみました。

2014年の訪日人数が20万人を越える国(地域)について多い順に下から上に積み上げてみました。1991年から2014年まで一貫して韓国が1位を続けていますが、それ以下には変化があり、かつ韓国との差もかなり小さくなってきています。2014年の上位4位、すなわち韓国・台湾・中国・香港の合計は934万人で、全体の66%を占めるとともに、2年前の2012年のインバウンド総数917万人を上回っています。

2000年のインバウンド総数は527万人でしたから、2014年までの14年間で888万人(169%)も増加したことになります。その14年間の増加数が最も多かった国(地域)から順に並べてみたのが次のグラフです。2009年から2012年の4年間に大きな落ち込みがあったので、2001年から2012年までの12年間の増加と2013年と2014年の2年間の増加に色分けしてあり、( )内は14年間の全体の増加数888万人に対する割合(%)を示しています。

14年間の増加数の順位と2014年の実績数の順位は、多少順位のズレはあるものの概ね似通っています。上位4位は中国・台湾・韓国・香港で、増加数構成比率の合計は73%になり、2014年の実数構成比率66%よりもだいぶ高くなっています。他方で、2014年実数順位5位の米国と11位の英国が、14年間の増加数の上位17位以内には入っていません。これは米国と英国は2001年から2012年の12年間にインバウンドが減少したからです。

以上のように、国(地域)毎の推移には多様性があり、同じように増加してきたわけではないので、それをより明確にするために推移を折れ線グラフで描いてみました。

2014年のインバウンド上位7位までの国(地域)のうち、2年前の2012年に過去最高数を上回っていたのはタイだけで、他の6つの国(地域)は全て過去最高数を下回っていました。韓国の過去最高数は2007年の285万人で、その後の落ち込みが大きく、2014年に7年ぶりに過去最高数を少し更新して302万人になりましたが、台湾と中国との差は著しく縮小しました。米国の過去最高数は2005年の85万人で、その後は過去最高数を上回ったことはなく、しかも2014年は大幅に円安ドル高が進行したにも関わらず大きく減少しました。

最後に、2014年のインバウンドが5万人を超えた20の国(地域)について、当該国(地域)の人口10万人当たりの日本旅行者数が多い順に並べたグラフを作ってみました。分母の人口は全て同年ではなく2012年から2014年に分かれているので、これは概数です。

訪日旅行者数(インバウンド)は、その国(地域)の、日本からの距離(旅行に要する費用と時間)、所得水準(費用の負担能力)、人口、入国要件(日本への入国のし易さ)、親日感情の高さ(訪日動機の高さ)、などによって左右されます。

香港と台湾は、人口以外の4条件をほぼ満たしていて、すでに人口の13%から12%もの訪日旅行者数になっています。日本人の出国者(アウトバウンド)「総数」が人口の13%ですから、香港と台湾の訪日旅行者数がいかに多いかが分かります。韓国とシンガポールは、それぞれ人口の6%と4%で、香港と台湾の半分以下の水準ですが、韓国の対日感情やシンガポールの距離などを考えるとやはり非常に高い水準にあります。これらの4つの国(地域)の人口は少なく、インバウンドはすでにきわめて高い水準にあるので、今後更に著しく増大する可能性は小さいと考えられます。

北米とヨーロッパは「遠い国」ですが、毎年延べ数百万人の日本人が旅行に出掛けています。それに較べると、これらの国々から日本への旅行者は、すでに見たように実数でも増加数でも著しく小さく、人口は多いので人口1,000人について1人から5人くらいの著しく少ない水準になっています。これらの国々から「遠い国」へのアウトバウンドの行先は世界全体が対象となるので、その中で日本へのインバウンドが著しく増大する可能性は極めて小さいと考えられます。

他方、ASEAN諸国は、経済発展と所得の水準には大きな開きがありますが、概ね高い経済成長を続けており、しかも人口が大きいので、所得水準の向上と入国要件の緩和によってインバウンドが拡大し続ける余地が十分あります。近年のタイがその好例で、それより人口の多いベトナムやインドネシアがそれに続くものと考えられます。

最後に、中国は、2000年の39万人から14年間で215万人も増えて2014年には254万人になりましたが、人口が13億人もあるので、人口1,000人について2人にも届いていないという低水準にあります。近隣国でありすでに富裕層人口も大きくなっているので、インバウンドが増えること自体がSNSなどによる情報伝播を加速して新たなインバウンド増加につながる拡大循環が続く可能性があります。

総じて、訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)の2,000万人の目標達成は、需要面からは主として中国とASEAN諸国の訪日旅行需要拡大によってあまり心配はないように思われます。むしろ、航空旅客輸送や宿泊や訪問地の地方分散など、旅行サービス供給面の方がネックになる可能性があると思われます。なにしろ、日本は2,000万人もの外国人旅行者を受け入れた経験がないからです。

情報源: 訪日旅行者数(インバウンド)目標2000万人について考えてみる

[データでみるインバウンド]中国SNS分析は消費変化を先取る指針

 年間2000万人を超える勢いで増え続ける訪日外国人(インバウンド)。日本企業がインバウンド向け事業の強化を急ぐ中、重要なのが訪日外国人の興味や関心を的確につかむことだ。訪日外国人に関するネットクチコミや位置情報といったデータから、インバウンドの消費動向を読み解く事例を、このレポートでは紹介していく。

 今回は中国版Twitterと言われる「微博(ウェイボ)」をはじめとする中国のSNS上のクチコミを集計・分析して得られた訪日中国人のインバウンド消費トレンドを解説する。その前にまずは、訪日中国人の消費動向の分析に、なぜネット上のクチコミが有効なのか、実際にどのような情報が投稿されているのか、その基本をみていこう。

 政府は3月末、訪日外国人数を2020年に現在の2倍の4000万人、30年には同3倍の6000万人に増やす新しい目標を発表した。訪日外国人の急増とともに、彼らに対する小売りやサービスといったインバウンド市場も急速に拡大すると見込まれている。

 訪日外国人の中でもボリュームゾーンとなっているのが中国からの観光客だ。訪日中国人と言えば、昨年の流行語にもなった『爆買い』と呼ばれるドラッグストアや量販店などで大量購入の姿が印象に残っている読者は多いのではないだろうか。

訪日中国人増で日本旅行に関するクチコミも増加
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訪日中国人の「カスタマージャーニーマップ」
(出所:図解中国トレンドExpress)

 SNS上のクチコミ情報は、訪日中国人客の消費行動に大きな影響を与えているとみられている。訪日中国人の行動を日本旅行の旅前・旅中・旅後に分けて考えてみると、顧客の消費行動を分析した図である「カスタマージャーニー」の中にSNS上のクチコミが組み込まれていることが見えてくる。

 まず、多くの訪日中国人は旅前に、SNS上の書き込み等を情報源として日本に旅行する際の行動予定を検討する。特にツアーで訪日する中国人たちは、日本滞在中の日程をぎゅうぎゅうに詰め込んでいることが多い。そのため、短時間の買い物で買い忘れがないように購入予定のお土産を“お買い物リスト”としてまとめる必要性があるのだ。

 買い物の時間が足りない中で失敗もできないため、SNS上の書き込みを見て、何を買うべきかを具体的に決める。日本に来て、旅の最中にも他者の書き込みから情報を集めながら、同時に自分が買ったり体験したりしたことをSNSに発信。投稿は帰国後まで続く。

 SNS上における日本旅行に関する書き込み数はどれくらいあるのか。2014年と2015年の中国の主なSNSにおける日本旅行に関する書き込み件数の月次推移をみると、書き込み件数は2015年8月時点で過去最高の200万件を突破した。訪日中国人数の増加に比例して書き込みが次第に増加していることが分かる。

中国製品を信じられない中国人
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訪日中国人数とSNS日本旅行関連書き込み件数の推移(2014年と2015年の比較)
(出所」図解中国トレンドExpress)

 なぜ中国人はSNSの投稿をそれほど重視するのか。それは偽物や食品汚染に悩まされている中国人にとって、消費者による生の声の方が企業発信の情報より信頼に足りると感じているからだ。

 “爆買い”の背景の一つが、2008年前後の中国国内企業による食品汚染事件の多発だ。一連の事件により「口に入れるもの」「肌につけるもの」を中心に、中国製品への信頼が低下。中国人にとっては、企業発信の情報ではなく、SNS上のクチコミ情報が消費行動を決定する上で非常に重要な情報となった。

 「面子(めんつ)」を大事にする中国人の意識も、SNSを活発に利用する一因とみられる。偽物が流通することの多い市場になれている中国人客にとって、信頼度の高い日本製品をお土産として買ったことや日本での体験をSNSに書き込むのは、彼らの面子を立たせるわけだ。

 面子を重視する中国人の考え方が、日本に関する書き込みを促す。SNS上の日本での買い物や体験のクチコミは、日本に旅行する予定の中国人が次々に閲覧し、このプロセスがループしていく。筆者はこう考えている。

移ろいやすいネット人気
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春節の期間中に中国人が日本で買ったとみられるものの推移(2015年と2016年の比較)
(出所:図解中国トレンドExpress)

 一方で、訪日中国人のSNS上の人気は移ろいやすく、話題に上る商品も入れ替わりやすい傾向がある。例えば2015年の春節(2月19日)シーズンに訪日中国人客による「爆買い」で大きな話題となった「温水洗浄便座」。最近では大きく順位を落としている。

 要因の一つと考えられるのが、訪日中国人の旅行スタイルが団体旅行から個人旅行にシフトしてきていることだ。公共交通機関などを使って行動することの多い個人旅行では、移動に邪魔になる大きな商品は敬遠されがちだ。実際、筆者らが独自に調べたところ、個人旅行とみられる書き込みの割合は15年12月の3割から、今年の春節では4割に高まった。中国の便座に日本の温水洗浄便座が合わないといったクチコミが広がったことも、人気低落に拍車をかけたようだ。

 訪日中国人のクチコミ分析することで、トレンドの変化の単著を知ることができる。SNS分析からトレンド変化の兆しを掴むことができれば、売れ筋が実際に変化しているか、その背景にある要因は何かを探るきっかけが生まれる。結果、インバウンド向けの商品開発、生産体制や在庫の見直しといった具体的な手を素早く打てるようになるというわけだ。

あるダイエットサプリが人気を集めたワケ

中国SNSにみる日本の人気商品ランキング
(出所:図解中国トレンドExpress)
順位 商品名 メーカー カテゴリー
1 鼻セレブ(ティッシュペーパー) ネピア 生活用品
2 リアルフィット オカモト 医薬品
3 excellence(エクセレンス)ストッキング・タイツ カネボウ 服飾
4 休足時間 足すっきりシート ライオン 生活用品
5 龍角散ダイレクト 龍角散 医薬品
6 服飾 良品計画 服飾
7 夜スリムトマ美ちゃん Waqoo 健康食品/サプリメント
8 サンテFX(目薬) 参天製薬 医薬品
9 熱さまシート 小林製薬 医薬品
10 ホタテの力くん海の野菜洗い 日本漢方研究所 生活用品
 筆者が編集長を務める「図解中国トレンドExpress」では、中国のSNS上のクチコミから、「日本で○○を買いたい」「日本で○○をしたい」「日本で○○を買った」「日本で○○を食べた」「日本で○○に行った」といった情報を毎週集計し、ランキングを出している。ランキング化することで、ダウントレンドやアップトレンドが見えてくる。

 表は2016年3月9日~15日に「日本で○○を買った」と言及している投稿6万9954件からランキングを集計したものだ。対象のSNSは微博、微信(ウィーチャット、パブリックアカウント部分)のほか、掲示板やブログなどだ。

 「医薬品」や「生活用品」などのカテゴリー商品が上位に上がってくるのは、ずっと変わらない傾向の一つである。1位になった「鼻セレブ」は、2月以降の花粉症時期により順位を伸ばした。「やわらかくて気持ちいい」「赤ちゃんでも大丈夫」といった投稿が目立ったことから、品質の高さや安全性が人気を集める要因と分かる。

 7位にランクインしたのが「夜スリムトマ美ちゃん」。中国で昨年の秋ごろに始まったダイエットブームの影響で、日本のダイエットサプリは副作用が少なく効果があるという噂が中国のSNSで大流行。ダイエットサプリが一躍定番お土産になった。

 その中でも人気を博したのが「夜スリムトマ美ちゃん」である。中国ではトマト成分のダイエットサプリは売っていないため、これまでも一定の人気があった製品だ。秋冬時期の女性誌や女性情報Webサイトでダイエット特集が組まれた際に紹介され、それがきっかけでSNSでも人気が急激に広まったとみられる。SNS上の情報が消費行動の起爆剤になり得る、格好の例と言えるだろう。

情報源: [データでみるインバウンド]中国SNS分析は消費変化を先取る指針