平均年収2000万円以上!「キーエンス」が高い給料を払えるヒミツ(鈴木 眞理) | マネー現代 | 講談社

平均年収2088万。
それだけでも驚きだが、平均年収ランキングTop5に入る残り4社が従業員数100人以下なのに対し、キーエンスの従業員は5000人超と唯一の大企業。営業利益率50%超、自己資本比率94.4%で時価総額もソニーや三菱UFJを抜き日本5位。圧倒的な数字がポンポン飛び出す、オンリーワンな企業と言える。

今回、そんな同社に新卒で入社し7年間勤務、営業マンとしての基礎を学んだ鈴木眞理氏が特別に寄稿してくれた。退社後、世界最大規模の外資IT企業やベンチャー企業での勤務など全く違う環境を経験して初めて気がついたという、キーエンスだけが持つユニークな仕組みや利益率の秘密の一端を解き明かす。

オンリーワン企業「キーエンス」
2011年東日本大震災直後の5月に私はキーエンスを辞めた。4年前の2007年度には当時目標としていた営業利益額が1000億円を突破し、全国から社員が集まってお祝いのパーティーを開く程に業績が好調だったが、1年後の2008年にリーマンショックが発生し、製造業を顧客にしていたキーエンスはその後の円高の影響もあり業績を大きく落とした。

その後、徐々に売上を回復した2011年に今度は東日本大震災での落ち込みがあり、国内製造業をメインターゲットにしていたキーエンスは今までのような業績をキープすることは難しいと思っていた。

ところが私の予想は見事に外れた。たった8年で売上高は1,848億から5,871億円にまで伸び、営業利益も866億円から3,179億円まで伸びた。

この結果には海外進出の成功が寄与している。

当時、海外売上比率30%程度しかなかったキーエンスは海外売上比率50%超えを目標に掲げていた。キーエンスの海外展開は基本的に現地で営業マンを採用し、日本から1、2名の営業マンを現地に所長として派遣して、キーエンスの営業システムをロールアウトしていくというやり方で、海外転勤に求められるのは英語力より営業力だった。

当初この目標に対して私は半信半疑ではあったが、私が辞める直前には営業マンがどんどん海外に転勤になり、気がつくと2019年現在では海外売上比率が50%を超えている。こうした決めたことをやりきる徹底力は、他社が簡単に真似できないキーエンスの強さの根源である。

キーエンスで生きていくことの大変さ
キーエンスは30代で家が建ち、40代で墓がたつとか、激務だとか言われる一方、21:30以降の残業が禁止で土日出勤もなくホワイトだという噂もネットでは流れている。

これらは事実で、私がいた当時も21:45以降の残業は禁止だったし、土日はほぼ休んでいた。そしてキーエンスには余程の問題をおこさない限りクビがない。でもキーエンスで生きていくことが大変だというのも事実だった。

私は30歳になったタイミングでキーエンスをやめた。当時私がいた事業部は同期が20人いたが私がやめた時に残っていたのは5人だけになっていた。

キーエンスで成果を出すために一番重要なのは、ルーティンワークをハイペースでこなせることである。

キーエンスの営業は大体1日社内でアポをとり、2日外出というルーチンで日常を過ごすのだが、外出日は1日6〜7件訪問するので、社内日には12〜14件のアポをとる。そのため社内日には1日60件程度の電話をかける必要がある。

キーエンスは製品力が強く、営業トークも標準化されているので、アポ先を間違えず、キーエンスの作った仕組みで正しくやれば、アポ率、商談化率、クロージング率はそこまでばらつきが大きくない。そのため、この件数をこなすということがとても重要になる。

私にはこれが向いておらず、当時、非常に苦痛になっていた。このまま定年までこのルーティンを繰り返すというのは途方もなく感じ、30歳になった時に、自分のやりたかった高額プロダクトを扱い大企業向けに組織攻略をしていくような会社に転職したが、半分逃げだったと思う。

ただ、今振り返ると当時の経験は私を大きく成長させてくれた。人見知りな私が臆さずにお客さんと会話でき、ロジカルに説明ができるようになったのはキーエンスで数をこなしたからだし、何より辛い時にも耐え抜ける精神力はこの7年間で身についた。今キーエンスに戻りたいかと聞かれたら戻りたくないと答えるが、20代前半の若者に就職の相談をされればキーエンスを勧めるだろうと思う。

キーエンスはなぜ利益率が高いのか
私がいた頃からさらに大きく成長しているので仕組みもブラッシュアップしていると思うが、キーエンスでは新卒の時から、自分をそのテリトリーを商圏とした企業の社長と思えと教えられる。そのテリトリーでどうやって利益を上げるのかは営業に一任されている。

自分のテリトリーで既存顧客からリピートは毎月平均いくら上がるのか、新規商談でいくらつめる目論見で、足りない数字はいくらなのか、その数字を埋めるためには何件提案しないといけないのか、そのために何件電話しないといけないのか。

月初、月中のチームミーティングでは、過去の自分の数字をもとに算出して発表し、どこに何件電話をかけて達成するのかを宣言する。

この説明がロジカルに達成できる道筋でできないと、何度でも説明を求められるし、ロジカルに説明できたあとは、自分が宣言したことを宣言通りにやったか、月末の振り返りミーティングで実数を発表しなければならないので、自ずとアクティビティの数は平均的に高くなる。

そんなキーエンスの中で、営業のプライスコントロールという観点から効果が大きいと思う仕組みが3つある。

①営業の成績が売上じゃなくて利益。

②値引き承認が厳しく、競合より安い値段は承認されない。競合が値引いたから以外のしっかりした理由が必要。

③営業は機能ではなく、価値を伝えることが徹底され、毎日翌日の訪問に合わせたロープレと訪問後の振り返りを上長と実施する。

プライシングを決めた後に、その価格でお客様が購入するかどうかは、お客様がその価格を払うに値する価値があると納得する必要がある。

その価値や価格を伝えるのは営業の仕事で、営業現場に浸透(腹落ち)させないといけない。でも営業は売上を上げたいし、利益が少なくても売りたいと考える(私もこの思考に陥りそうになることが今でもよくある)。

その営業の「売上至上主義」を止める仕組みが、キーエンスにはある。

「安易な値引き」はしない
キーエンスの特徴の一つに、先述したとおり「営業マンの成績が利益」というのがあり、これが営業利益率の押し上げ大きく貢献していると思う。

FA(ファクトリー・オートメーション)業界では場合によっては7割引、8割引というのが当たり前にある世界で、競合の定価もあってないようなものである。

キーエンスの場合、製品毎に社内仕切価格(材料費、人件費等の原価)が決められており、売上から社内仕切を引いた金額が営業の成績になる。

例えば定価10,000円の製品の仕切り価格が2,000円で、2,500円なら100個買うという人と8,000円で15個買うという人がいた場合、それぞれに売上と利益を比較すると

売上
100個の場合:250,000円
15個の場合:120,000円

利益
100個の場合:50,000円
15個の場合:90,000円
と売上と利益で営業の成績が逆転するので安易な値引きが減る。

さらに、競合より安い値段や、競合が値引くから値引くという承認は通らない。

これは値段だけで判断されている場合、さらに競合が値引くとまた値引かねばならず、業界にとってもよくないからである。

また、本当にどれだけの価値があるか、お客様の状況に合わせてデモや具体的な数字で説明するためのロープレをたくさんするので、実際の価値とお客様の認知価値のずれがなくなり、正当な価格で購入してもらえる。

いくらで売るべきかというのは非常に難しく答えがないものだと思うが、営業としてはなぜその価格なのかはしっかり説明できないといけない。

また、企業としてはプライシングは現場に浸透していなければならず、その理由を全員が腹落ちさせるとともに、営業がそう動くよう目標KPIにも反映させることが必須である。

キーエンスのように高収益体制を目指す企業は、営業に安易に値引きをさせないための教育と仕組みを作ることで近づけるのではないかと思う。

情報源: 平均年収2000万円以上!「キーエンス」が高い給料を払えるヒミツ(鈴木 眞理) | マネー現代 | 講談社(1/5)

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