「実践 顧客起点マーケティング」西口一季(2019)

「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」

アイデアを … 定義すると、「独自性」と「便益」の四象限で表すことができます
結論を … 言うと、独自性と便益を兼ね備えた「アイデア」があるかどうかが、マーケティング上でもっとも重要な要素です

独自性とは、他にない特有の個性であり、唯一無二とも言い換えられる、既視感のない特徴
“Only-one Uniqueness”とも言えます
さらに”Never”の要素がそろっていることと定義
見たことのない、聞いたことのない、触ったことのない、嗅いだことのない、経験したことのない … 五感で感知したことがない個性
そうしたものに、人は注目します
独自性の有無は、注目に値するかどうかで確認できます

便益とは、顧客にとって都合がよく利益のあることを意味します
ベネフィットやメリットとも表されます … それを利用することで得られる有形、無形の価値であり、「便利、得、有利、快、楽」など
便益は、その商品やサービスが買うに値するか、時間を使うに値するかの判断を左右します

独自性と便益を兼ね備えたものを「アイデア」と呼ぶ

独自性がなく便益があるものは … 「コモデティ」
代替性がある商品やサービスで、市場においてその価値は競合と同等として扱われます
差別化されていない商品やサービスのこと

独自性はあるが便益がないもの … 買ったり時間を費やしたりする価値がない … 人目を引くためだけの「ギミック(仕掛け)」
それ自体に価値がないので、詐欺と言えるかもしれません
非常に独創的な特徴を、商品 … やパッケージやテレビCMなどで提案しても、それに相応しい便益を顧客に提供しないなら、一過性のエンターテインメントに過ぎないでしょう

独自性がなく便益もないものは … 各種のリソースを無駄遣いしている、ただの「資源破壊」です
開発にかかる時間や費用、コミュニケーションコスト、そのすべてが無駄になってしまっています

独自性 … 似た … 意味の言葉として … 「差別化」があります
本来は独自性を意図して提唱されています
一般的には、競合と同じ便益において「~がより高い、強い、優しい、うるおう、清潔に … 」などの比較優位性の意味だと誤解されています
独自性がなく、比較優位性のみであれば … コモデティに近い状態で戦っていることになります

独自性は … 唯一無二な、Only-one Uniquenessを意味します
独自性が弱いと、コモデティ競争に陥ってしまう

圧倒的な成長を達成するには、商品やサービスの誕生時から、常に「アイデア」を生み出し、提供し続けなければなりません

スティーブ・ジョブス
「美しい女性を口説こうと思ったとき、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?
そう思った時点で君の負けだ
ライバルが何をしようと関係ない
その女性が本当に何を望んでいるのかを、見極めることが重要なんだ」

「アイデア」には … 2つ
1.商品やサービスそのものとなる「プロダクトアイデア」
2.商品やサービスを対象顧客に認知してもらうための手段である「コミュニケーションアイデア」

波形で厚みがあるという独自性のあるポテトチップは … 独自性自体が「食べ応えがあっておいしい」という便益に繋がっています
星型のポテトチップはその形状がおいしさに繋がっていないので … 見た目の面白さで1回は購買されても、継続購買は起きにくいでしょう

最も理想なのは … iPhoneのように、独自性そのものが便益であることです
次に理想なのは、確固たる独自性が便益を支えている場合です
風邪薬で「独自の有効成分○○が入っているから効く」という場合 … 「○○」という独自性が … 「風邪が治る」という … 便益を支えています

P&Gに”Reason to Believe(RTB)”信じるに足る理由という … 用語があります
RTBとして「○○」があるから顧客が購入しているわけで、風邪が治るという便益自体はどの風邪薬 … も共通して謳っていることです

独自性と便益を両立する「アイデア」を創出することは、マーケティングの責務
一方で「プロダクトアイデア」を伴って世の中に登場し、早々に成功を収める商品やサービスは、例外なく追随する競合商品が … 登場し、その独自性がコモデティ化されていきます

「コミュニケーションアイデア」は、独自性で注目を集め … ても … その便益がプロダクト自体の便益に結び付いていないと機能しません
広告の面白さだけが便益として受け止められ、プロダクトの便益にひもづかず、購買に繋がらないのです

便益と繋がる独自性を維持するために … 「プロダクトアイデア」をアップグレードし …
「コミュニケーションアイデア」でコモデティ化を避け …
追随商品やサービスに対する「プロダクトアイデア」を強化していく … 役割をマーケターは担う

「プロダクトアイデア」への理解と共感、その体験こそがブランドを創るのです
「コミュニケーションアイデア」でブランドを創るのではない

強い独自性と強い便益を伴った「プロダクトアイデア」が開発できても、模倣してきた追随者にポジションを奪われ、ニッチな類似ブランドになってしまうことは多くあります
重要なこと … それは、早期の認知形成です

特許技術や政府規制などの … 参入障壁がない限り、顧客の視点では、本家本元かどうかは関係なく
認知をいち早く形成した競争者が”本物”としてカテゴリーを支配することになります

自社商品を認知していない顧客層に対して、追随競合が認知を獲得したら … 一気に流れるというリスクがあります
自社商品を模倣した競合商品が登場すると … 単なる模倣で「新しくない」から脅威ではない … と軽視しがちです
しかし、未認知顧客層にとっては、その競合商品は「新商品」として受け入れられるのです
顧客起点でマーケティングを組み立てるべき理由がここにも

私たちの生活を作ってきた … 商品やサービスのほとんどは「特定の誰か一人を喜ばせること・幸福にすること・便利になってもらうこと」が起点になっています
その特定の誰かが … 本人そのものだったりします
「自分が欲しいものを作った」というエピソードは、商品開発の舞台裏の記事などでよく目にする話です

顧客ピラミッド
ロイヤル顧客 認知あり/購買頻度・高
一般顧客 認知あり/購買頻度・中~低
離反顧客 認知あり/購買経験あり/現在購買なし
認知・未購買顧客 認知あり/購買経験なし
未認知顧客 認知なし

顧客分析 … 購買情報をもとに顧客を3つに分類する「RFM分析」
Recency(直近でいつ購入したか)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)の3軸で顧客セグメントを分析する方法

行動データ
・ 売上POS情報
・ カード会員情報
・ 自社顧客の購買情報(アイテム、金額、タイミング、場所・店舗、頻度)

インターネット上(行動データ)
・ Eメール開封率/返信率
・ Web/アプリのアクセス情報
・ ソーシャルログ
・ クッキー情報
・ 位置情報
・ 自社EC購買情報

心理データ
・ ブランド認知
・ ブランド選好度(そのブランドを買いたい/使いたいと考えているか)
・ 属性イメージ
・ メディア接触
・ 広告の認知経路

「いつ、どのようなきっかけで、ブランドを知ったのか/買ったのか/ロイヤル顧客化したのか」
きっかけとなったカテゴリー体験や、商品やサービスの経験、ブランドメッセージとの出会い、何らかの特定の情報認知 … が「アイデア」を創出する大きなヒントになるのです

プロダクトの便益に結びつかない広告は、広告自体の好感度は上げるものの … 商品を買いたいかどうかという態度変容を起こすことが難しいのです
それはマーケティングコストをかけて顧客から広告の好評を得たわけで、ブランディングではありません

キャズム手前の、認知も顧客数も少ないブランドの場合、まず定着させるべき「プロダクトアイデア」を毀損するような貨幣的価値訴求の施策は避けるべきです
商品が独自性を伴った便益(プロダクトアイデア)を提供できる限りは、キャズムを超えるまで、その … 便益の提供だけを目的にした販売促進に集中することが良策だと考えます

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