「デジタル田園都市」推進、交付金200億円|nikkeibp

2022.01.31

岸田文雄首相は2021年12月6日の所信表明演説で「デジタルによる地域活性化を進め、さらには、地方から国全体へ、ボトムアップの成長を実現していく」と述べた。
これを受け、2021年度の補正予算に「デジタル田園都市国家構想推進交付金」200億円が計上されている。
地方公共団体のデジタル実装を支援するもので、2024年度末までに取り組みが1000団体に拡がることを目指す。

交付対象の事業は「デジタル実装タイプ」と、サテライトオフィスの整備など「地方創生テレワークタイプ」の2通り。
このうち「デジタル実装タイプ」について概略をまとめた。

 デジタル田園都市国家構想推進交付金(以下、交付金)」の「デジタル実装タイプ」は、「デジタルを活用して地域の課題解決や魅力向上に取り組む」事業だ。
その成熟度によってTYPE1、TYPE2、TYPE3に分類される。
TYPE1は、観光MaaS相乗りマッチングなど、一部地域ですでに確立されているモデルやサービスを採り入れるもの。
TYPE2は、データ連携基盤を活用して、複数の事業者がサービスを提供するもの
このうち、早期にサービスを開始するものがTYPE3だ。

デジタル田園都市国家構想推進交付金(デジタル実装タイプ)の概要(出所:デジタル庁)

内閣府地方創生推進室はTYPE1の事前相談を2月17日まで受け付ける。
実施計画の提出締め切りは2月22日だ。
TYPE2・TYPE3については2月に募集を開始する計画で、詳細は現在調整中。TYPE3では、22年夏までに一部のサービスをリリース(試行含む)することが求められる。

1事業当たりの交付上限額はTYPE1が1億円、TYPE2が2億円、TYPE3が6億円。
補助率はTYPE1とTYPE2が2分の1、TYPE3が3分の2だ。
なお、地方負担分については新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当できる。

デジタル実装3タイプ合わせた申請の上限は同一都道府県で9事業まで、同一市区町村で5事業まで。
広域連携事業の場合は、連携する地方公共団体それぞれで1事業とカウントする。

「実証」でなく「実装」が条件。
デジタル原則に準拠し横展開を目指す

デジタル実装の3タイプに共通する要件は「事業を実効的・継続的に推進するための体制(地方公共団体、民間事業者、地域の団体、国、専門家など、地域内外の関係者が参加・連携する体制)が確立」されていること
さらに、成果を複数年にわたって計測するためのKPIとして、「アウトプット指標(活動指標)」と「アウトカム指標(成果指標)」を設定しなければならない

TYPE1におけるKPIの例(出所:デジタル庁)

また、デジタル庁では近くKPI評価を行うための「Well-being指標によるダッシュボード評価」の仕組みを提供予定だ。
これは、主観指標(オープンデータ)と客観指標(アンケート)を設定し、エリア単位での「幸せの実感」の向上をチェックしていくというもの。TYPE2・TYPE3はこのダッシュボード評価を基本とし、TYPE1における活用も検討している。

TYPE2・TYPE3では、相互連携制の確保など「デジタル原則(デジタル社会の実現に向けた構造改革のための5つの原則)」への準拠が求められる

デジタル社会の実現に向けた構造改革のための5つの原則(出所:デジタル庁)

TYPE1~3はいずれも、①技術実証ではなく、生活への実装を目指すものであって、②一過性ではなく継続的に取り組み③将来的には全国展開を志向する、という「共助要件」を満たさなければならない。

また、TYPE2・TYPE3におけるデータ連携基盤は、デジタル庁が提供するものか、すでに実証・実装実績があるもので事前にデジタル庁と調整済みのものを利用する。

TYPE1の交付対象は単年度の事業立ち上げ経費

TYPE1の交付対象経費は事業の立ち上げに要する経費で、単年度に限る。
具体的には、設備・システム導入費、施設改修費などのハード経費外部人材の招聘経費、 サービス利用費、外注費などのソフト経費だ。
総事業費に対するハード経費の割合は問わない。
ただし、サービスの実装を伴わない、実証や調査のみの経費は対象外となる。

申請にあたっては、事業年度末まで1年間の「実装計画」と、事業終了後2年間の「運営計画」から成る「実施計画」を策定する。
審査における評価項目は「政策目的に対する適合性」「事業の実現・持続可能性」「推進体制の実効性」の3項目だ。

なお、TYPE1はあくまで既存のモデルやサービスを活用するもので、新しいアプリの開発などは対象にならない。
内閣官房・内閣府ではウェブサイトに参考事例集(PDF)を掲載している。
また、交付金についての問い合わせ窓口(地方創生未来技術支援窓口)もウェブ上に用意している。

TYPE1の事例(一部)(出所:デジタル庁)

TYPE1評価項目(出所:デジタル庁)

情報源: <ポイント解説>デジタル田園都市の推進、自治体に交付金200億円|新・公民連携最前線|PPPまちづくり

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