ふるさと納税、旅先で。電子ギフトで即返礼|nikkei.com

2022年9月29日 2:00

ふるさと納税の新しい形として「旅先納税」が一部地域で人気だ。
特産品を返礼品として受け取るこれまでのふるさと納税と異なり、出かけた先の宿や店ですぐに使える電子ギフトが返礼品。
旅先に寄付し、旅をお得に楽しむ

10月から政府の全国旅行支援が始まる。応援的な消費への関心も相まって、各地に広まりそうだ。

【関連記事】ふるさと納税の返礼品は観光で 北海道倶知安町

年内にも20以上の自治体で寄付可能に

首都圏に住む50代男性は山梨県笛吹市のワイナリー巡りツアーに参加した際、旅先納税の存在を初めて知った。
「おもしろそう」。
興味本位で1万円を寄付するとすぐに返礼品として3千円分の電子ギフトを受け取った。
早速立ち寄った店で、ワインとクラフトジンを地元の店で購入した。

返礼品を目的に幾つかの自治体に寄付をしてきたという男性。
返礼品が届くまでに1カ月、場合によっては3カ月かかり気になっていたという。
「通常のネット通販ではないのでそんなに早く到着しないと頭ではわかっているけれど…。
旅先納税は、旅先で欲しいモノを選んだらその場で受け取れて新鮮だった」

電子商品券の画面を見せ、スタンプを押してもらうと決済が完了する

旅先納税が登場したのは2019年秋。
岡山県瀬戸内市で始まった。
その後コロナが起きたためごく一部の地域だけに限られ、全国的にはほとんど知られずに3年間がたった。
旅行者の間で口コミで話題に上るようになったのは、最近になってからだ。
ほかにも北海道伊達市や倶知安町などが採用し、年内にも20以上の自治体に広まる予定だ。

強い1次産品のない地域もチャンス

寄付をしたらすぐに返礼品を受け取れる。
そのスピードを支えるのがテクノロジーだ

店や施設に表示されているQRコードをスマホで読み込み、会員登録する。
寄付額を選びクレジットカード払いで納税する。
使う際には電子ギフトの画面を見せ、スタンプを押してもらう仕組みだ。

これすら面倒と感じる人も中にはいるだろうが、利用者の視点で使いやすさを追求したデザインになっている。
システムを手掛けるのはギフティ
SNSでプレゼントするソーシャルギフトのパイオニアだ。
その知見と技術が地域と人のつながり創出に生かされる。

総務省によると、21年度のふるさと納税の総額は8302億円と過去最高を更新。
めざましい伸びを見せる一方、納税額の多い自治体の顔ぶれをみると、相変わらず、人気の名産品を持っている市や町に偏っている。
旅先納税は、強い1次産品を持っていない地域にもチャンスとなりうる。
瀬戸内市では「返礼品を希望される寄付者は関東圏内の方が5割だが、旅先納税は(マイクロツーリズムの広がりで)近隣の自治体に住んでいる方の利用が8割を占める」という。

飲食店や産地など応援を目的とした購買行動がコロナを機に定着した。
旅は人とのつながりを強く感じる。
最初の動機は「お得に旅を楽しむ」でも、お世話になった地域を応援したい気持ちが芽生えてくるかもしれない。
ふるさと納税を一度も利用したことがない人は多く、それだけ可能性は大きい。

(編集委員 大岩佐和子)

情報源: ふるさと納税、旅先で寄付 電子ギフトで即返礼: 日本経済新聞

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