投稿者「tcyhhd」のアーカイブ

一般社団法人を設立する流れ・メリット・費用総まとめ | 起業・創業・資金調達の創業手帳Web

2017年12月25日
一般社団法人の設立方法を詳しく解説します!

起業して法人を設立するとなると、株式会社などの会社がまず思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、法人格はさまざまな選択肢があります。

その中のひとつである一般社団法人は、実は設立しやすく自由度も高い、意外と「使える」法人格です。この記事では、一般社団法人の特徴やメリット、設立に必要な手続きなどをまとめてご紹介します。

この記事の目次

一般社団法人の基礎知識
一般社団法人とは?
一般社団法人の「基金」と「社員」の関係
旧制度の名残り
一般社団法人の略称
非営利法人それぞれの違い
一般社団法人と一般財団法人
一般社団法人とNPO法人
一般社団法人と公益社団法人
「協会」を設立するなら一般社団法人
協会ビジネスとは?
協会を設立するメリット・デメリット
一般社団法人設立のメリット・デメリット
メリット
デメリット
一般社団法人の設立にまつわるギモン
一般社団法人は2名以上でないと設立できない?
一般社団法人の設立費用
設立にかかる時間は?
一般社団法人の「営利型」と「非営利型」
一般社団法人の「理事会」
一般社団法人設立の流れ
2名以上の社員確保、1名以上の理事を選任する
定款作成
定款認証
登記書類作成
登記申請
一般社団法人設立後の手続き一覧
税金関係
雇用関係
社会保険関係
まとめ

一般社団法人の基礎知識
一般社団法人とは?
「法人」とは、人(法人と対比して自然人などとも言います)以外で法律上「人」として扱われるもののことです。

法人は、大きく分けて「営利型」と「非営利型」があり、その中に株式会社をはじめとする会社、学校、宗教、組合などさまざまなものがあります。

一般社団法人は営利を目的としない「非営利法人」で、「人の集まり」(社団)を持つことができる法人格です。

人を基盤とする法人ですから、法人自身の財産はなくてもよく、設立時に資本金等にあたる資金の払い込みは不要です。
とはいえ、実際に法人を運営していくために資金は必要です。そこで、一般社団法人の場合には「基金」と呼ばれる、法人の活動資金や財産を持つことができる(持たなくてもよい)仕組みになっています。

一般社団法人の「基金」と「社員」の関係
株式会社では、「資金を出した人=株主=議決権を持つ人」といった関係ができていますが、一般社団法人には、このような仕組みはありません。

まず、一般社団法人の「社員」と呼ばれる人は、会社の従業員とは少し違い、議決権を持つ「正会員」のような位置づけです。株式会社でいうところの株主に近い存在といえます。

しかし、一般社団法人の基金に拠出することと、その一般財団法人の社員(会員)になることは別々の扱いです。
そもそも、基金を持つかどうかは、その法人ごとに決めることができます。ゆえに、基金を拠出しなくとも、その一般社団法人の社員になることはできるのです。

もちろん両方を兼ねることも可能ですが、社員(会員)の議決権は特に定款に定めない限り原則平等です。

旧制度の名残り
日本には以前から社団法人の制度があり、旧制度では、「社団法人」は民法にもとづく許可制の公益法人とされていました。

しかし、2008年12月に施行された、新たな公益法人制度にもとづき、登記のみで設立できる「一般社団法人」と、公益認定を受けた「公益社団法人」に整理されました。
その際に、従来から活動していた「社団法人」も、「公益社団法人」と「一般社団法人」に分かれることになります。

よって、現在の「一般社団法人」には、旧制度で公益法人として設立された一般社団法人と、公益性不問の新制度で設立された一般社団法人が混在している状態なのです。

一般社団法人の略称
一般社団法人の略称は通常(一社)です。銀行口座などではシヤ)または(シヤ、(シヤ)などとされています。(一般社団法人、公益社団法人共通)

非営利法人それぞれの違い
一般社団法人は非営利法人のひとつの形態ですが、ひとくちに非営利法人にもさまざまなものがあります。それぞれの違いをざっとおさらいしておきましょう。

一般社団法人と一般財団法人
どちらも「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づく法人である点は共通しています。

異なる点は、前述のように「人の集まり」である一般社団法人に対し、財団法人は「財産の集まり」が持つことができる法人格ということです。

したがって、一般社団法人は資金がなくても設立できますが、一般財団法人の設立には300万円以上の財産の拠出が必要条件です。
また、一般社団法人には社員が必要ですが、一般財団法人には社員はおらず、役員(理事)、評議員(役員の選任などを行う)などが置かれます。

一般社団法人とNPO法人
非営利企業の代表格となるNPO法人(特定非営利活動法人)。
一般社団法人とNPO法人は「人の集まり」である点は共通ですが、いくつかの違いがあります。

法律の違い
NPO法人は特定非営利活動促進法に基づく法人ですので、根拠となる法律が異なります。

活動内容の自由度の違い
NPO法人には20分野の特定非営利活動が法律に定められているのに対し、一般社団法人の事業内容については特に定めがありません。一般社団法人の方が、活動の自由度は高いといえます。

設立要件の違い
設立に必要な社員数にも違いがあります。一般社団法人が2人以上であるのに対し、NPO法人は10人以上の社員が必要となります。

年次報告義務の有無
NPO法人には、年度ごとに事業報告書、活動計算書などを所轄庁(都道府県、市町村など)に提出しなくてはなりませんが、一般社団法人にはそうした規定はありません。

資金繰り面・税制優遇など
NPO法人は、一般社団法人に比べ社会性や公益性が高いとみられることから、多くの公的な優遇措置が受けられます。
NPO法人向けの助成金があったり、認定NPO法人は寄付した人が所得税の寄付金控除を受けられる(認定を得なくても自治体独自の住民税寄付金控除制度の対象になる場合もあります)など、寄付金に対する優遇制度も充実しています。

一般社団法人と公益社団法人
「公益社団法人」とは、一般社団法人のうち、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に基づいて公益認定を受けた法人です。

公益社団法人は、公益目的事業の所得には法人税等が課税されないなど税制優遇措置があります。また、公益社団法人に寄付をした人は、所得税の寄付金控除または税額控除を受けることができます。

一方、公益法人として剰余金や残余財産の分配は厳しく制約されているほか、特定の社員、役員、親族や、営利企業などに特別の利益を与えてはならないと定められています。
また、公益社団法人には年度ごとに事業計画書、事業報告書などを監督官庁に提出する必要があり、公益法人として透明性の確保が求められます。

「協会」を設立するなら一般社団法人
協会ビジネスとは?
一般に「協会」というと業界団体や職能団体(特定の企業・事業者などの利害から離れて業界・関係者全体の利益のために組織したもの)、地域団体(観光協会など)などさまざまなものがあります。「協会」は法律的に定義された言葉ではないので、誰でも名乗ることができ、昔から団体の名称として使われてきて耳になじみやすい言葉でもあります。

しかし、近年注目されている「協会ビジネス」は、「協会」を設立して会員を集め、理念、知識、ノウハウなどの普及を通じて社会に貢献しつつ、収益を確保しようとするビジネスモデルです。

2008年の公益法人制度改定をきっかけに急増し、資格講座やカルチャースクール、検定試験を行うもの、同業種の個人や事業主などを集める業界団体的なもの、同好会的なものなどさまざまな形態のものが起業されています。

もとより、株式会社等でも会員組織を作ることは可能ですが、より人のつながりやネットワークに注目するのが「協会ビジネス」の特徴的なポイントと言えます。

また、辞書で「協会」と引いてみると、「ある目的のために集まった会員が協力して組織し、維持していく団体」(三省堂 大辞林第三版)と出てきます。これは、「人の集まり」である社団の類語と言ってもよいくらい親和性の高い言葉ですので、協会ビジネスで起業する方が法人化を考えるならば、「一般社団法人」は第一の選択肢といえます。

協会を設立するメリット・デメリット
個人でも、理念、知識、ノウハウなどを伝えることは可能でありながら、あえて「協会」を設立することにどのようなメリット・デメリットがあるか、少し整理しておきます。

メリットには、「知識や考えなどが形になる」ことや、「ブランド力がつく」ことなどが挙げられます。
理念、知識、ノウハウなどはそのままでは目に見えない、場合によっては名前もない無形のものです。それを、「〇〇協会」という形を作ることにより、目に見える存在となり、第三者に伝わりやすくなります。

また、例えばAさん個人のノウハウは「Aさんの〇〇についてのノウハウ」でしかありませんが、〇〇協会となれば一個人を離れて社会的な存在となり、〇〇協会は〇〇についての専門家としての地位に立つことができます。またAさん自身も「〇〇協会 代表理事」などの肩書を持つことができます。この協会の組織に仲間が集まれば、ネットワークが広がる拠点となります。

他方、協会という組織を作ることで、メリットと表裏一体のデメリットも考えられます。

まず、協会を設立することで、個人一人だけのものではなくなります。人の結びつきを基礎とする組織にとって、設立者自身の私利私欲、利益追求が前面に出すぎるのはマイナスです。また逆に、十分な利益を確保できずに廃業などに追い込まれると、協会が資格や認定証などを発行している場合、根拠が失われ紙切れと化すことになってしまいます。

そのほか、協会の会員に万一不祥事が起きると、会員個人にとどまらず、協会のブランドイメージを毀損する危険性があります。
任意団体であれ一般社団法人であれ、「協会」を作って活動するのであれば、組織運営に十分な注意と努力が必要です。

一般社団法人設立のメリット・デメリット
次に、一般社団法人を設立するメリット・デメリットをみていきましょう。

メリット
法人名で契約や不動産登記などが可能になる
これは一般社団法人に限らず、法人格を取得することの共通のメリットです。

行政機関等の委託事業や企業との契約等でも、法人格があることが必要条件となっている場合があります。特に、オフィスを借りるときなどの不動産登記は、任意団体名義ではできません。

他の法人に比べ設立がカンタン
前述のように、一般社団法人の設立にあたって財産の拠出(資本金)は必要ありません。登記に必要な費用も、株式会社に比べ少額で済みます。

また、設立時に必要な社員数も2名以上と、少人数で設立が可能です。

登記にかかる時間も株式会社などと同様2〜3週間でできるので、法人設立のハードルはそこまで高くはないといえるでしょう。

事業内容に制限がない
NPO法人のような事業分野の規制がありません。営利を目的としないのであれば、収益事業も自由に行うことができます。

行政等による監督が少ない
確定申告などの税金関係の手続きは必要ですが、NPO法人のような事業報告などの提出義務はありません。

公益性・信頼性の高いイメージを持たれる
現在の一般社団法人制度は、制定されてからまだ10年程度です。
前述のとおり、旧制度の「社団法人」は公益法人の位置づけでしたので、「社団法人」という法人格には知名度があるとともに、特に中年以上の世代にはぼんやりと公益性のイメージを持つ人も少なくありません。

デメリット
社員(会員)が増えると合意形成などが大変
定款で特に定める場合を除き、社員は平等に議決権を持ちます。一般社団法人は、年1回は必ず社員総会を開く必要があり、人数が増えると総会の招集、開催などが大がかりな業務になります。

法人税等の課税対象となる
株式会社等と同様に法人税や法人住民税などは課税対象となります。
※ただし、非営利型法人の場合は収益事業のみ法人税課税対象です。

個人事業に比べ会計管理が煩雑
法人化するとなると、個人事業に比べ会計などの管理を適切に行わなければなりません。

特に非営利型一般社団法人の場合は注意が必要です。収益事業(課税対象)とそれ以外を区分して会計処理を行ったり、補助金収入等が多いと消費税の例外的な処理が必要になるなど、普通の企業会計と異なる要素があります。

「上場企業」にはなれない
そもそも一般社団法人に株式はありませんので、どんなに成長しても株式上場という「エグジット」はありません。

また、社員総会の決議によって事業の譲渡は可能ですが、一般社団法人、一般財団法人以外の法人(株式会社やNPO法人など)と合併することはできません。

会社を大きくすることを目指すのであれば、営利法人の設立を検討することをおすすめします。

一般社団法人の設立にまつわるギモン

ここからは、いざ一般社団法人を設立するとなったときに押さえておきたいポイントを解説していきます。

一般社団法人は2名以上でないと設立できない?
手続き上、設立時には最低2名の社員が必要です。

一般社団法人では、自然人だけでなく、法人が社員(会員)になることもできます。すでに株式会社などの法人を経営している方があらたに一般社団法人を設立する際には、自身と自身の経営する法人を社員として設立すれば、結果的に実質1人で一般社団法人を設立することもできなくはありません。
ただし、定款認証の際に既存法人の事業目的と一般社団法人の社員となることの整合性を問われる可能性があるので、ご注意ください。

もっとも、法人登記には費用もかかりますし、法人住民税のような登記しておくだけでかかる税金もあります。事務的な手間もあるので、ビジネスモデル上の必要性などなんらかの事情がある場合は別にして、誰か1人に声をかけて設立時の社員になってもらうか、そもそも1人で設立できる法人格を選ぶほうが良いでしょう。

また、設立後に社員1名が退社して、残った社員が1名のみになってしまっても登記が取り消されたりすることはありません。よって、結果的に社員1名のみの一般社団法人が存在することになります。(ただし、社員がゼロになると解散となります。)

一般社団法人の設立費用
前述のように、人の集まりである一般社団法人は、財産の拠出が必要ありません。したがって、株式会社等の設立と異なり、資本金、出資金などの用意は不要です。

設立手続きにかかわる費用としては

定款認証費用:5万円(公証人の定款認証を受けるための手数料)

登録免許税:6万円(なお、事務所が複数ある場合は1か所につき6万円です)

上記の計11万円が不可欠な費用です。

そのほか、設立事務を専門家に依頼する場合はその費用、役員の住民票を取得する費用、印鑑作成などの費用が発生します。

設立にかかる時間は?
一般社団法人の登記手続き自体は一般的な営利企業の設立登記とほぼ同様です。したがって、書類等が整えば、最短2〜3週間程度で設立が可能です。

一般社団法人の「営利型」と「非営利型」
一般社団法人には、「営利型」と「非営利型」があります。

非営利型一般社団法人には、法人税法上の収益事業(物品販売業、請負業、出版業、技芸教授業など34業種)部分のみが法人税の課税対象とされる、一定の税制優遇が用意されています。(非営利型法人に該当しない場合はすべての所得が法人税等の課税対象になります)

下記の(1)または(2)のどちらかの要件を満たすことで非営利型法人になります。

(1)非営利性が徹底された法人で下記の1から4のすべてを満たすこと
1 剰余金の分配を行わないことを定款に定めていること。
2 解散したときは、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款に定めていること。
3 上記1及び2の定款の定めに違反する行為(上記1、2及び下記4の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みます。)を行うことを決定し、又は行ったことがないこと。
4 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。
(2)共益的活動を目的とする法人で下記の1から7のすべてを満たすこと
1 会員に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること。
2 定款等に会費の定めがあること。
3 主たる事業として収益事業を行っていないこと。
4 定款に特定の個人又は団体に剰余金の分配を行うことを定めていないこと。
5 解散したときにその残余財産を特定の個人又は団体に帰属させることを定款に定めていないこと。
6 上記1から5まで及び下記7の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを決定し、又は与えたことがないこと。
7 各理事について、理事とその理事の親族等である理事の合計数が、理事の総数の3分の 1 以下であること。
(国税庁パンフレットより)

設立時、非営利型法人になるためには、特に定款作成を慎重に行わなければなりません。不明点があるときには、専門家に相談することをおすすめします。

どちらの要件も満たしていないようであれば、営利型の一般社団法人となります。

また、設立後に非営利型法人になった場合や、収益事業を行っている非営利型法人が上記の要件を満たさなくなって非営利型法人でなくなった場合は、税務署に「異動届出書」の提出が必要です。

一般社団法人の「理事会」
一般社団法人には、理事会という組織があります。
本来、一般社団法人では、年1回は社員総会を開かなければなりません。しかし、社員が多くなると総会を開くのも大変になりますよね。そこで、理事会を設置しておくことで、社員総会の替わりとして業務の意思決定ができるようになります。

一般社団法人の理事会には、3名以上の理事と1名以上の監事が必要です。

ただし、理事会は必ず置かなければいけないものではないので、仮に3名以上理事がいたとしても、設置していないところもあります。

理事会設置の有無は、登記の段階で決めておく必要があります。一度理事会を置いてしまうと、変更するときにもお金がかかりますし、理事と監事の人数も常に確保しておかなければなりません。

社員数が多くなる可能性があれば設置しておくのも良いと思いますが、後々変更するのも大変なので、最初の段階で慎重に検討することをおすすめします。

一般社団法人設立の流れ
ここからは、実際に一般社団法人を設立する際の手続きや流れをみていきます。

2名以上の社員確保、1名以上の理事を選任する
2名以上の社員を確保し、設立時の理事となる人1名以上を選任します。

なお、理事会設置一般社団法人を設立する場合は、理事3名以上が必要です。
監事設置一般社団法人、会計監査人設置一般社団法人を設立する場合はそれぞれ監事、会計監査人の選任が必要です。(理事と監事、会計監査人を同一人物が兼ねることはできません)

これらの設立時の理事、監事、会計監査人は定款に定める(指名する)こともできますし、定めなかった場合は後述の定款認証後に選任しなくてはなりません。

また、法人は社員になることはできますが、理事になることはできません。

定款作成
法律上、一般社団法人の定款に必要とされている項目は以下の通りです。

定款に必要とされている項目
(1) 目的
(2) 名称
(3) 主たる事務所の所在地
(4) 設立時社員の氏名又は名称及び住所
(5) 社員の資格の得喪に関する規定
(6) 公告方法
(7) 事業年度
上記のほか、必要な事項を定款に定めることができますが、法令で定款に定めることができないとされている事項がありますので、注意が必要です。
次の3つの項目は、定款で定めてたとしても無効となります。

無効になる項目
(1) 社員に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与えること
(2) 法令で社員総会の決議が必要とされている事項を社員総会以外の機関が決定できるとすること
(3) 社員総会で社員が議決権をまったく行使することができないと規定すること
定款は設立時に社員になる人全員が「共同して」作成し、全員の署名または記名押印が必要です。

定款認証
定款の作成が完了したら、公証役場にて定款の認証を受けます。

定款認証とは、定款が正当な手続きによって作成されたことを証明するものです。定款認証は必ず主たる事務所所在地を管轄する法務局等に所属する公証人に依頼する必要があります。

定款認証には公証人の手数料5万円がかかります。紙に印刷した定款の場合は、3通を用意してください。

電子定款の場合は、電子署名した定款のオンラインのやりとりが中心になります。そのとき、電子署名のためのソフトウェアや法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のIDの取得などいくつかの準備が必要です。

登記書類作成
法人登記には認証を受けた定款に加えて、下記の書類を作成する必要があります。

理事会を設置しない一般社団法人の場合
(1)一般社団法人設立登記申請書
(2)※登記すべき事項を記録したCD-R(オンラインで提出することもできます。)
(3)設立時社員の決議書(設立時社員が設立時理事を選任した場合や事務所の所在地等を定めた場合)
(4)設立時代表理事の互選に関する書面(互選した場合)
(5)設立時理事及び設立時代表理事の就任承諾書
(6)設立時理事の印鑑証明書
※「登記すべき事項」とは名称、主たる事務所、目的等、役員に関する事項などをテキスト形式のファイルに記録したものです。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合は、定款と上記(1)(2)(3)に加えて下記の書類を作成します。

理事会及び監事を設置する一般社団法人の場合
(4)設立時理事及び設立時監事の就任承諾書
(5)代表理事以外の設立時理事及び設立時監事の本人確認証明書(住民票記載事項証明書、運転免許証のコピー等に原本と相違ないと記載して署名または記名押印したもの、など)
(6)設立時代表理事の選定に関する書面
(7)設立時代表理事の就任承諾書
(8)設立時代表理事の印鑑証明書
登記申請書に押印する代表者の印についてはあらかじめ(または、登記申請と同時に)「印鑑届書」を提出する必要があります。
また、代理人に申請を委任する場合は委任状も必要です。

登記申請
上記の定款ほか必要書類を事務所所在地を管轄する法務局の法人登記窓口に提出します。

その際、登録免許税6万円を収入印紙などで納付します。(オンラインで登記申請する場合も、印鑑届書など紙で提出が必要なものがあります。)

登記完了までには1〜2週間程度かかります。これで、一般社団法人の設立が完了です。

ちなみに、法人の設立日は法務局に申請書類を提出した日付となります。

一般社団法人設立後の手続き一覧

ここまでで、晴れて一般社団法人が設立できました。
ですが、税金、雇用、社会保険など、法人設立後に行わなくてはならない手続きはまだ続きます。

次に、一般社団法人設立後に必要な手続きをご紹介します。
また、手続きによって、登記簿謄本や定款などの添付を求められますので、必要部数をまとめて用意しておくと便利です。

税金関係
※カッコ内は提出期限です。

税務署に提出する書類
法人設立届出書(設立から2か月以内)
収益事業開始届出書(設立から2か月以内)
棚卸資産の評価方法の届出書(初年度年度末まで)
減価償却資産の償却方法の届出書(初年度年度末まで)
そのほか、青色申告をする場合は青色申告の承認申請書などが必要です。

都道府県税事務所と市町村役所に提出する書類
法人設立届出書(提出期限は自治体により異なります)
なお、非営利型一般社団法人で収益事業を行わない場合、税務署の届出は必要ありません。ただし、都道府県事務所と市町村役所への届出は必要です。(収益事業を行わない非営利型一般社団法人で確定申告しない場合でも、年間の収入が8,000万円超の場合は、損益計算書などを年度ごとに税務署に提出する必要があります。)

雇用関係
公共職業安定所に提出する書類
雇用保険適用事業所設置届(雇用してから10日以内)
雇用保険被保険者資格取得届(雇用した月の翌月10日まで)
労働基準監督署
保険関係成立届(雇用してから10日以内)
概算保険料申告書(雇用してから50日以内)
適用事業報告書
就業規則(常時10人以上を雇用する場合)
税務署に提出する書類
給与支払事務所等の開設届出書(設立から1か月以内)
そのほか、源泉所得税の納期の特例を申請する場合はその承認申請書などが必要です。

社会保険関係
年金事務所に提出する書類
新規適用届(雇用してから5日以内)
被保険者資格取得届(雇用してから5日以内)
健康保険被扶養者届(雇用した従業員に扶養される配偶者、子などがいる場合)
まとめ
一般社団法人を設立するには、定款や登記書類を作成するためにあらかじめ決めなければならないことも多くあります。

間違いがあったり、後々変更しなければならなくなった場合などには追加で費用がかかってしまうので、設立するときはスケジュールに余裕を持って、慎重に進めていってください。

起業する前にチェック!人気法人の種類をまとめました
法人の種類・特徴まとめ|本当に株式会社でいい?設立する前に知っておくべき法人の種類
(執筆:創業手帳編集部)

情報源: 一般社団法人を設立する流れ・メリット・費用総まとめ | 起業・創業・資金調達の創業手帳Web

イチから分かる天皇の歴史 古代~現代まで  :日本経済新聞

日本の歴史を天皇抜きに語ることはできない。古代から現代へと国の中での位置づけを変えながら、天皇家は途絶えることなく続いてきた。改元を機に太平洋戦争の敗戦で「国民統合の象徴」になるまでの歴史を一望する。

■古代の天皇、実在めぐり論争続く

「日本書紀」などに記載があり、初代と伝えられるのが神武天皇。だが、2世紀ごろまでは神話の域を出ない。古代の天皇については戦後、実在性や在位期間について論争が続いている。

大王(おおきみ)の時代を経た7世紀、645年の大化の改新で本格的な中央集権国家の建設が始まった。初めて「天皇」を自称したのは天武天皇とする説が有力だ。

平安時代に入ると天皇に代わって貴族が実権を握り、摂関政治の時代となる。鎌倉時代以降は武家が政治を支配したが、天皇が歴史から排除されることはなく名目上の統治者として存続した。

明治政府は大日本帝国憲法で天皇を主権者に位置づけた。太平洋戦争の敗戦後、日本国憲法は政治的権能を否定し、天皇は「国民統合の象徴」となった。

■退位は59例、上皇さまは200年ぶり

歴史上、退位した天皇は太上天皇(上皇)と呼ばれた。大化の改新を機に弟に皇位を譲った皇極天皇が最初とされる。宮内庁によると、歴代天皇のうち存命中の退位は上皇さまを含め59例。上皇さまの退位は1817年の光格天皇以来、約200年ぶりとなった。


江戸時代の皇位交代の儀式を描いた絵図。宮廷行事を記録するため明治時代に編さんされた「公事録附図」より=宮内庁書陵部提供

過去には上皇が天皇に代わって実権を握る「院政」を敷いた時期もあった。天皇に政治的権能のない現憲法下では院政のような弊害は起こらないが、新天皇よりも国民に長く敬愛されてきた上皇さまに親しみが集まることで「権威の二重化」を懸念する専門家もいる。

退位の儀式は、9世紀に編さんされた宮廷儀式書「貞観儀式」などに基づき執り行われてきた。政府は天皇の国政関与を禁じた憲法に抵触しないように配慮し、今回の儀式の内容を決めた。

■女性天皇は10代8人

歴代天皇には女性もいた。初めての女性天皇は6世紀末に即位した推古天皇。再び皇位に就いた2人を含め、飛鳥、奈良と江戸時代に計10代8人の女性天皇が誕生した。


皇室典範に関する有識者会議では女性・女系天皇を認める報告書がまとめられた(2005年11月)

全員が天皇の皇女で男系。女性天皇や母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」が即位したことはない。男系男子に皇位が継承されるまでの中継ぎだったとの説が有力となっている。明治時代に制定された旧皇室典範は皇位継承者を「男系男子」に限ると定め、現行の皇室典範にも同様の規定が引き継がれた。

男性皇族が減少する中、小泉政権が設置した「皇室典範に関する有識者会議」は2005年11月、女性・女系にも皇位継承を認める報告書をまとめた。翌06年9月に秋篠宮家の長男、悠仁さまが生まれたこともあり、制度化には至っていない。

■戦後に11宮家、51人が皇籍離脱

皇族で宮号を持つ家を「宮家」と呼ぶ。現在は秋篠宮家、常陸宮家、三笠宮家、高円宮家の4つがあり、天皇家を支えながら皇室の公務を担っている。

鎌倉時代の亀山天皇の皇孫、全仁親王に始まる常磐井宮が現在の宮家制度につながる前身とされる。その後、皇位継承者を確保するため世襲宮家が必要となり、江戸時代には伏見宮、桂宮、有栖川宮、閑院宮が世襲親王家となった。

明治時代には皇室の繁栄を目的に新たな宮家の創設が相次いだが、敗戦後の1947年に11宮家の51人が皇籍を離脱し、一般国民となった。

現在の宮家では秋篠宮家と常陸宮家にしか男性皇族がいない。民間人と結婚した女性皇族は皇籍を離れることになり、将来は現状の公務が維持できなくなる恐れがある。

情報源: イチから分かる天皇の歴史 古代~現代まで  :日本経済新聞

ギャラリーKINGYOローカル日記 『三十五年後の春』 京都大学美術部 OB・OG展

2019年 4/30 (火)~5/5(日祝)
『三十五年後の春』 京都大学美術部OB,OG展


瀬川 哲
「 Kitchen Utensils 」
F8 / 厚紙、アクリル

おがわさとし
「 追跡 」
F12 / キャンバス、アクリルガッシュ

長谷川 敬一
「 overflow 」
タテ51cm×ヨコ56cm(角の部分含む)

土屋 佳幸
「 Cockatiel 04 」
540×380 四つ切版画用紙

「 Cockatiel 16 」
四つ切版画用紙

太山 陽子
「 In Memory of Kuruming 」
F3 / 色鉛筆

森 一浩
「 動物園にて Part.2 」
SM / 油彩、シェルマチェール
『キリン』 『シロクマ』『ライオン』 『パンダ』『ラクダ』
『シマウマ』『コアラ』 『ゾウ』『カバ』 『トラ』『バク』 『サイ』

変り胴 「 龍虎 」
60本竹胴 / アクリル、カシュー、ウレタン

石黒 太郎
「 播種  」
F20 / カンバス、油彩、クレヨン

「 しずか  」
F6 / カンバス、油彩、クレヨン

小口 亮
「 冬の水族館にて 」
四つ切 / 紙、水彩

小島 秀一
「 光 」 
F4 / 油彩

柴原 香澄 (旧姓 大森)
「 花と猫 」
F6 / 油彩

横山 邦明
「 模写Ⅱ 」
87cm×57cm / コルクボード、アクリル絵具

たばすこあまがえる (本名 阿宗実奈子)
「 どこをさがしても 」
見開きA3 / クレヨン、水彩

宇野 直子
「 けいくんとおかあさん(聖母子) 」
F10 / 油彩

柏川 陽子
「 TWINS 」
高さ12㎝×幅20㎝×奥行20㎝ / ひょうたん、アクリル絵具、ニス

松永 直也
「 ひまわり 」
F20 / ホルベインアクリラ

川地 康治
「 Extent 」
F20 / 油彩

佐藤 直実
「 アドベンチャータイム・フィンのリュックとフード 」
フェルト

近田 知子
「 たんじょうびにはあめを 」
B4 / 水彩

情報源: ギャラリーKINGYOローカル日記 『三十五年後の春』 京都大学美術部 OB・OG展

「聞く技術」(2000)東山紘久

「プロカウンセラーの聞く技術」(2000)東山紘久

気をつけたいのは…ぐちを自分の中に入れないこと…
自分自身の気持ちとそのぐちを関係させないこと…ぐちの対象になっている人をかばわないこと…
何より親身になって聞いてあげること

みんないっしょの原則…
自慢や、差がつく話は主婦の話ではご法度なのです

自分の考えは自分にしか適用できないことが多いもの…
ふつうの人は、自分の経験談を話すことが相手の経験率を増すと考えています…
あながち否定できませんが、実際は話し手が考えているほどの効果はないのです…
経験・学習というのは、実地経験しないとわからないことのほうが大きく、
自分の体験は、そのときのタイミングや状況に合って、うまくいったことなのです

キーワードは「県外」「失敗」「マッチング」 行政の中のスタートアップ「ひろしまサンドボックス」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

キーワードは「県外」「失敗」「マッチング」
行政の中のスタートアップ「ひろしまサンドボックス」
Forbes

「3年で10億円規模の予算」「643者の会員」など「サンドボックス」は見出しに事欠かない。他県他団体の同様の取り組みとの違いは何か?その実態に迫るため広島に向かった。

「豊かなところです」

広島県知事の湯﨑英彦は、生まれ育った故郷であり、現在の職場でもある地をこう表現する。北には中国山地がそびえ南には瀬戸内海が広がり、古くから製鉄が栄え多くの人と物が行き交った。広島県は現在も大手自動車メーカーの本社や工場、半導体メーカーの工場などが立地するものづくり県で、県内総生産は中国四国地方で最大を誇る。

「今も引き続き豊かで、だからそれに満足して、世界の変化に十分に対応できていないという目に見えない危機がありました。ただ、広島には昔から、開拓者精神を持つ人も多く、たとえば東京へ出て活躍している人もたくさんいます。本来持っているそうした“力と宝”を十分に発揮するきっかけがあれば、広島県はますます豊かになれます」

湯﨑英彦◎広島県知事。1965年生。東京大学法学部卒、スタンフォード大学MBA。通産省(現・経済産業省)を経て2000年に株式会社アッカ・ネットワークスを設立、代表取締役副社長に就任。2008年に同社を退社、2009年より現職。

そこで注目したのが、IoT、AI、そしてロボティクスといった、インダストリー4.0の鍵を握る新しいテクノロジーだった。こうした技術を活用し、県内の企業が新たな付加価値を生み出せるよう、広島県全体を実証実験の場とする事業を立ち上げた。その名は「ひろしまサンドボックス」。砂場(=サンドボックス)のように試行錯誤を繰り返しながら、地域課題の解決を模索する場だ。

「行政がやるものというと、非常にカチッとした枠組みがあって、それに合致しないとダメですよとか、しっかり成果物を出してくださいねとかいったケースが多いものです。我々にも、どうしてもそういう部分があります」

起業家でもある知事の言葉は率直だ。「一方で、インターネットを中心とするITの世界では、自由が好まれます。ですから、こちらにもそういった姿勢が必要だろうと考えました。ひろしまサンドボックスで最も大事なのは、成果ではなく、面白そうな、意義のありそうなプロジェクトをとにかくやってみるプロセスそのものです。砂場では城を作っても寿司を作っても良いのと同じで、何をしてもいいし、やり直してもいいし、失敗してもいい。コンソーシアムを組むこと以外、公募にはほとんど条件を設けなかったのは、自由に取り組んでほしかったからです」

予算は3年間で10億円規模。県外企業にも門戸を開いた結果、予想をはるかに上回り、89件のプロジェクトの応募があった。コミュニティである協議会会員数は、広島県内外の企業や大学など643者。2019年3月時点では狭き門を突破した9つのプロジェクトが選定され、実証実験を進めている。

選定された9つのプロジェクトとコンソーシアム構成団体

1「島しょ部傾斜地農業に向けたAI/IoT実証事業 〜ICT(愛)とレモンで島おこし〜」
一般社団法人とびしま柑橘倶楽部/竹中工務店/呉広域商工会/ウフル/M-Cross/エネルギア・コミュニケーションズ

2「宮島エリアにおけるストレスフリー観光」
西日本電信電話株式会社広島支店/廿日市市/宮島観光協会/ウフル/脇谷直子(修道大学)/富川久美子(修道大学)

3「広島県民の医療や健康等個人情報にブロックチェーン型情報管理と情報信託機能を付与した情報流通基盤を構築する事業」
国立大学法人広島大学/OKEIOS/NTTドコモ/DPPヘルスパートナーズ

4「異なるプラットフォーム間での有機的なデータ結合を行い、
新しいサービス創出に取り組める、データ連携基盤(仮称)の構築とその実証」
ソフトバンク株式会社/広島銀行/中国電力/イズミ

5「つながる中小製造業でスマートものづくり」
デジタルソリューション株式会社/谷崎隆士(近畿大学)/小松金属/津田製作所/広陵発條製作所/近藤工業/アプストウェブ/広島県中小企業診断協会

6「AI/IoT活用による保育現場の「安心・安全管理」のスマート化
〜待機児童問題に係る保育士不足問題の解決―みんなが笑顔になる保育園を目指して〜
株式会社アイグラン/ユニファ/パシオン/あい福祉会/ヘルスケアマネジメント協会

7「スマートかき養殖IoTプラットフォーム事業」
国立大学法人東京大学/シャープ/江田島市/内能美漁業協同組合/中国電力/セシルリサーチ/NTTドコモ/ルーチェサーチ/平田水産

8「海の共創基盤〜せとうちマリンプロムナード(海洋版ダイナミックマップ)」
株式会社ピージーシステム/瀬戸内海汽船/せとうち観光推進機構
/Intheory/富士通九州ネットワークテクノロジーズ

9「通信型ITSによる公共交通優先型スマートシティの構築事業」
中電技術コンサルタント株式会社広島支社/広島大学/東京大学/広島電鉄/マツダ/自動車技術総合機構交通安全環境研究所

そのうちの一つが、一般社団法人とびしま柑橘倶楽部など6者によるコンソーシアムのプロジェクト「島しょ部傾斜地農業に向けたAI/IoT実証事業〜ICT(愛)とレモンで島おこし~」だ。

末岡新果園6代目の末岡(中央)は、Uターンで農業を始めて10年目。「技術でレモン農家の仕事の内容が変わり、こうした取り組みが広がれば、新規就農の人も増えると思いますよ」と考える。ドローンの操作もすぐに覚えた。武田(右)や片上(左)も「末岡さんはすごい人」と一目置いている。

IoTでレモンを増やせ

呉の市街地から安芸灘とびしま海道を走り、橋を4つ渡ると、そこが大崎下島だ。車を降りると、まだ桜も咲いていないのに初夏のような日差しが照りつけた。

このあたりの温暖で雨の少ない気候は柑橘類の栽培に適して、古くから大長みかんの産地として知られ、黄金の島とも呼ばれてきた。その島で末岡和之はみかんのほか清見オレンジ、そしてレモンを育てている。

「レモンはだいたい、11月から6月まで収穫できます。日当たりが良くて水はけが良いと糖度が上がる。だから斜面だとなお味が良くなります」

しかし、斜面での果樹栽培は平地に比べて負担が大きい。レモンだけで7000平方メートルを超える耕作地で作業をするのは、昭和26年生まれの末岡のほかは「補佐が二人」だという。

この条件下で、収穫量は増やしたい。今、広島のレモンは品不足が続いている。レモン農家の減少と、県などのPRにより防腐剤や防かび剤、ワックスを使わず、皮も食べられる瀬戸内産レモンの需要拡大が同時に起こっているためだ。

そこで、技術で解決を図ることになった。葉が青々と茂り、黄色い実をつけたレモンの木の脇に、木と同じくらいの高さの柱が立っていて、そこにセンサーとソーラーパネルが取り付けられている。コンソーシアムの一員である株式会社エネルギア・コミュニケーションズの武田洋之が説明する。

「空気中の温度湿度、照度、それから、土壌の水分量などを測定しています。もともと私達はLPWAの実験をしていまして、それをどう活かすかとなったときに、レモン農園で使えるのではないか、という話になりました」

LPWAとは、低電力で広域をカバーする通信方式のこと。電源供給をしなくてもセンサーを稼働させ、データを送り続けられる。

木の根元には、乾燥した竹を小さく切ったものが敷き詰められている。竹チップだ。もともとは、レモン栽培の天敵である雑草の成長を妨げ、除草剤代わりになると聞いてまき始めたが、土の温度が上がり、それがレモンの育成に好影響を与えていそうなことが分かってきた。現在使っている竹チップは竹を伐採して作ったものだが、牡蠣の養殖に使う牡蠣いかだの古くなったものを再利用すれば、広島らしさが加わる。

上空を、白いドローンが自動航行している。センサーだけでなく、ドローンによる撮影でも、広くデータを集める計画だ。

「単にデータを取るだけは意味がないんです」と武田。「そうして得られるデータから、末岡さんの脳はどうやって最適な判断をするのか、そのロジックも明らかにしたいと思っています」

その段階になると、AIに出番がやってくるだろう。

歩く末岡の後ろを、台車が追いかけている。まるで末岡が親鴨で台車が小鴨。自動追従機能のついたこの台車『カモーン』の原形は、建設現場で使われる台車だった。

やはりコンソーシアムのメンバーで、本社をアメリカのカリフォルニアに置くM-Cross International Corporationの片上裕紀によると、「1台で約600kg、トロッコ10台分の量を積めますし、連結もできます。坂道も勾配が10%くらいまでなら対応できます。建設と農業の現場の課題は似通っているんです」という。すでにぶどう栽培への展開という案もあり、ここでの取り組みが、広島発のロールモデルになる日はそう遠くなさそうだ。

そう話す末岡を中心に、役割分担が明確で、所属や世代の違いによらずに全員が同じ方向を向いている。このプロジェクトは、ひろしまサンドボックスという場がなくても、うまくいったのではないか。

その疑問を、片上はあっさり否定した。

「ほかの会社さんもそうだと思いますが、普通の事業であれば、採算を考えなくてはなりませんし、建設から農業へという異業種への挑戦もしにくい。でも『これはサンドボックスだから』で、やりやすくなるんです」

片上の言葉は、広島県の狙いを端的に代弁している。

新規性・計画性・実現性・展開性・革新性・地域性を考慮した選定を通過し
た9つのコンソーシアムが推進協議会と情報交換をしながらプロジェクトを進める

再チャレンジできるトライアウト

県の商工労働局イノベーション推進チームで地域産業デジタル化推進担当課長を務め、このプロジェクトの立ち上げから関わってきた金田典子は「企業などが単体で実証実験を行おうとしても、個社ではそのコストを抱えられないというケースは少なくありません。仮に個社で進めても、そのプロセスや結果は“ 我が社のもの”、クローズなものになりがちで、展開が期待しにくいという問題があります。ですから、県がリソースを割いて、オープンなイノベーションの場をつくるべきだと考えました」と話す。

砂場での遊びは、コンソーシアムの外へも開かれる。

縁の下の力持ち、県のひろしまサンドボックス担当者7人は気温10度でも半袖Tシャツで熱意をアピール。

「プロジェクトで発生する作業、たとえば、レモンのプロジェクトでは、センサーを取り付ける作業、竹チップをまく作業などには、子どもたちを含めたボランティアに参加してもらいたいと考えています。そうすることで子どもたちも“IoTってこういうものなんだ”と学べると思うのです」

プロセスの公開には、スタートアップのようなスピード感が求められる。

「3年が過ぎてから『実はこんなことがありました』では、オープンイノベーションにならない。失敗も大事なナレッジなので、それもスピーディに公開してもらえるよう呼びかけています」

公募は二度に渡って行われたが、第1次公募で選ばれなかったプロジェクトに対しては、二度目の前に、選定に至るには何が足りなかったのか、ベンチャーキャピタリストらに相談できる機会を設けた。トライアウトのためのトレーニングをサポートしたのだ。その結果、第2次公募で選定された4件全てが一度は苦汁をなめたプロジェクトだった。

「資金以外にも、マッチングを求める声が多いことが分かってきたので、そこについても、これまで以上に積極的に関与していきたいと考えています」

そして、知事の湯﨑はすでにひろしまサンドボックスのその先を見ている。

「今回は、想像以上に多くの方から関心を持っていただきましたが、我々がこれからやっていくべきは、そうした皆さんのやってみたいというエネルギーをさらに高め、実際にこの広島県でトライしてもらえる環境を整えることです。それを通じて、これからのデジタライゼーションに必要な技術やビジネスモデルが広島に蓄積され、ここでビジネスをしている皆さんの存在感が大きくなり、県外にも広く影響を与えていくようになる。それが大きな夢です」

このサンドボックスは、豊かな広島をさらに豊かにする土壌でもある。

Campsでは誰かに出会えて何かをつかめる
広島市内の銀行や飲食店の建ち並ぶ一角にある『イノベーション・ハブ・ひろしまCamps』は、一見、カフェかコワーキングスペースのように見えるが、そのどちらでもないと県商工労働局イノベーション推進チームでイノベーション環境整備グループに所属する松田敦子は微笑む。

「ここに来れば誰かと会える。それがCampsという場です」

ライブラリや3Dプリンターなどの設備も整っているが、一人で作業に没頭するのではなく、話しかけたり話しかけられたり、持っているアイデアやスキルをオープンにシェアするのがここでのルール。開設して2年ほどだが、こうした出会いが、卵や小麦アレルギーのある人でも食べられるお好み焼きセット(オタフクソース)を誕生させている。

「新しいプロダクトやサービスを作ることだけがここの本来の目的ではないのかもしれませんが、社内だけで考えていたらできなかったものが生まれたのです」

サンドボックスによく似た使い方がされているこの場所は、レモンのプロジェクトでも大きな役目を果たしている。

セミナーやイベント、プログラムも数多く用意してきた。約1年にわたったシリコンバレーを拠点に活躍する女性起業家・堀江愛利による起業家支援プログラムもそのひとつ。

このプログラムに参加した、日本酒ビジネスを手がけるナオライ株式会社の三宅紘一郎代表取締役は「上海の大学に留学し、東京で学んで広島に戻ってきた当初は、物足りなさもありました。しかし、広島にいながら堀江さんの話を聞けて『ああ、東京に行く必要はないな』と感じました」と話す。


カフェのような雰囲気にしたのには理由があると松田は明かす。

「セミナーなどで盛り上がったあと、二次会の店に移動しようとすると、その間に気持ちが冷めてしまうことがありますよね。そうなる前にここでビールを飲みながら交流できるよう、冷蔵庫、それからミニキッチンなどを用意しました」

現在、Campsでは企業人やアントレプレナー、学生など950 名ほどが会員登録を済ませている。近い将来、わざわざ呼びかけなくても人が集まる場とすることを目指す。

「数カ月単位のイノベーション人材育成プログラムにも社員を参加させたいという企業が増えていて、地域で新たな事業や領域にチャレンジしようとする機運を実感しています。新しいことを始めたいという気持ちのある方は、ぜひ、お気軽にどうぞ。ここでは必ず誰かに出会え、何かをつかめます」

誰かの家のような落ち着きがあり、つい長居したくなる空間だ。取材中も登録会員の一人である女性がやってきて、松田(右)と三宅(左)と言葉を交わしていた。
原則として午前10時から午後8時まで、月曜日定休。

Promoted by 広島県 / text by Kyoko Katase / photographs by Kenta Yoshizawa

情報源: 「セクシーさは魅力」、ヴィクトリアズ・シークレットの敗因に | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

ASCII.jp:Amazon化する食農業界に一石を投じる、アグリゲートが思い描く未来

Amazon化する食農業界に一石を投じる、アグリゲートが思い描く未来
2019年03月25日 08時00分更新
文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp 撮影●曽根田元

 「未来に”おいしい”をつなぐインフラの創造」をミッションに掲げ、テクノロジーで食農流通を変革するアグリゲート。小売店が商品の企画から製造までを担うアパレル業界でのビジネスモデル「SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)」を食農業界へ応用した「SPF(Specialty store retailer of Private label Food)」を提唱し、食農で生産から販売までを一気通貫で提供する。

 同社は2009年の創業から、このSPFのモデルを具現化するために、自社農場『旬八農場』での生産事業、自社主導の物流網、市場・産地直送・自社農場のマルチ仕入チャネル、お弁当や惣菜の製造事業、都市型八百屋『旬八青果店』とお弁当・惣菜販売店『旬八キッチン』による販売事業を構築し、食農の一気通貫を実践してきた。現在、旬八青果店/旬八キッチンは東京・神奈川で16店舗に拡大。新橋4丁目に2018年10月にオープンしたイートインコーナーと八百屋を併設する店舗『旬八キッチン&テーブル』では、店頭に新鮮な野菜が手ごろな価格で並び、夜になると仕事帰りの会社員が旬の食材を使ったお惣菜でお酒を楽しむ姿が見られる。

イートインコーナーと八百屋を併設する店舗『旬八キッチン&テーブル』

店内の八百屋コーナーには新鮮な野菜と果物が手ごろな価格で並ぶ

夜になると旬の食材を使った惣菜・サラダバーが登場する

惣菜と一緒に、全国から集めてきた地酒や地ビールを店内で楽しむことができる

 創業から10年目を迎える2019年、アグリゲートは、テクノロジーによるSPFモデルの進化と効率化を目指し、新しくCTOを迎えた。同社が思い描く食農業界の未来とそのテクノロジーについて、創業者で代表取締役 CEOの左今克憲氏、1月に同社にジョインしたCTOの長俊祐氏に話を聞いた(聞き手はアスキー羽野三千世、以下敬称略)。

–創業から10年、アグリゲートのこれまでの歩みを教えてください。

左今:私が個人事業主としてアグリゲートを起業したのは2009年2月(※2010年1月に株式会社化)。学生時代、バイクで日本一周の旅をした際に、地方で口にした野菜や果物の美味しさに感動したのがきっかけです。地方の野菜の生産地と、消費地である東京で、味や価格に大きな差があることに課題意識を持ちました。日本の原風景とも言える農村が時代とともに衰退していくことに危機意識を持ちました。そこで、地方経済の活性化と都市の食生活の向上を同時に実現する垂直統合ビジネスモデル「SPF」を考案し、起業したわけです。

アグリゲート 代表取締役 CEOの左今克憲氏

この10年で、自社農場での生産から、生産地から消費地までの流通、新鮮な農産物を適正価格で仕入れる仕組み、食材を無駄なく使えるよう自社で商品開発したお弁当の製造、都市型八百屋『旬八青果店/旬八キッチン』での販売まで、一気通貫で提供できる事業体制を構築し、SPFを実践してきました。

同時に、食農業界で人材を育成する教育事業やコンサルティング事業にも力を入れてきました。地方経済の活性化、都市の食生活の向上は、アグリゲート1社だけでは実現しません。当社が運営する「旬八大学」では、都市部で食農ビジネスを担う人材を育成するための講座や、地方で活躍する次世代プレーヤーを育成するための講座を提供し、地域資源の価値化や小売店経営、青果を目利きするスキルなど、アグリゲートがこれまで蓄積してきた自社ノウハウをオープンに公開しています。

生産地に眠っている地域資源をほりおこし価値化する
–食農業界で生産から販売までを一気通貫で提供するSPFによって、どのような成果や価値が生まれましたか?

左今:従来の分断された食農流通では、生産者は農産物を少しでも高く売りたい、仕入・卸は少しでも安く仕入れて高く卸したい、小売店も安く仕入れて高く売りたいといったように、お互いにぎすぎすした敵対状態が生まれ、結果として都市で売られる農産物が適正価格にならず、関わる全員が疲弊すると思いました。一方、地方の生産者と都市部の販売者がつながるSPFのビジネスモデルでは、生産地に眠っている資源をほりおこして価値化することが可能です。

例えば、アグリゲートはこれまで都市に出荷されてこなかった規格外野菜を流通・小売や製造のバリューチェーンにのせて、生産地に新たな利益を創出しました。国内の野菜の生産規模は約2兆円、果物は約1兆円ですが、そのうち30%が規格外だと言われています。規格外の野菜・果物を商品化することで、3兆円の30%、規格外なので、その10%の金額と見積もっても、900億円もの付加価値を付けられるイノベーションが見えてきました。

今、世界の流通・小売業界を席捲しているAmazonは、すでに商品化されているものを効率よく販売することには長けています。しかし、地域資源を新たに価値化することはできない。対面販売をするリアル店舗の店頭で、その新しい地域資源が商品化できるかどうかを判断して自社のバリューチェーンにのせることができる――。これがAmazonにはないアグリゲートの強みです。

–現状のSPFにはどのような課題がありますか?

左今:生産から販売までのデータ活用が課題です。店頭で商品化の判断や仕入の最適化を行うためには、個々の商品ごとのつぶさなデータが必要です。例えば、同じ種類の野菜でも産地や生産者が変われば売上が増えたとか、惣菜をどのくらい製造すると店舗の粗利が最大化するのかなど、細かなデータを見ていかなければいけません。店舗間の情報共有、生産と小売のデータ連携も必要です。このようなシステム基盤を構築するために、このたび、アグリゲートCTOに長を迎えました。

–長さんはアグリゲートにジョインする前はどのような仕事をしていたのですか?

長:クックパッドのエンジニアとして、決済システムや料理教室運営サービスの開発・運用を手掛けていました。学生のときにRuby開発で有名だったクックパッドでインターンをしたのをきっかけに、そのまま入社しています。

2018年夏頃に左今に誘われて、今年1月にアグリゲートへCTOとして入社しました。実は、左今とはもう5~6年の付き合いになります。学生時代に、フリーランスのエンジニアとして、アグリゲートの今のIT基盤を構築しました。ですので、これまでのアグリゲートの沿革やビジョンを知っていますし、食農ビジネスやSPF事業の難しさも理解しています。その難しさにエンジニアとして向き合って、テクノロジーで食農の世界を変えていくことにやりがいを感じて、アグリゲートにジョインしました。CEOの左今の人柄も昔から知っていて、信頼しています。この人となら組んでもよいなと思ました。

1月にCTOとしてジョインした長俊祐氏(左)は学生時代に現在のアグリゲートのシステム構築を手掛けた人物。左今氏とは気心の知れた仲だ

SPF向けに作られたITは世の中にない、だから内製化してオープンにしていく
–SPFのデータ活用のために、どのようにテクノロジーを導入していきますか?

長:アグリゲートがやっているSPFのビジネスはこれまで世の中になかったものなので、当然、SPF向けに開発されたパッケージソフトやサービスは売っていません。これは内製する必要があります。

大規模な食品スーパーなどでは、POSシステムで管理がしやすい形で仕入・販売を行っています。箱で仕入れた野菜を袋詰めして販売するデータであれば、バーコードで管理できます。一方SPFでは、商品化を判断するための店舗販売データがほしい。最終的にはりんご1個のレベルで、生産地や形状、そのまま販売した場合とお弁当に加工した場合の粗利の違いといった細かなデータを把握する必要があります。現在は泥臭くスプレッドシートで管理していますが、今後自動でデータをとる仕組みを構築し、各店舗に分散しているデータを統合していく予定です。

アグリゲート CTO 長俊祐氏

ビジネスの根幹であるSPFのシステム基盤は内製していきますが、会計システムなどすでに世の中にあるものは、SaaSなどを外部調達していく方針です。ないものだけを作る、買えるものは買う。現在、アグリゲートのシステム開発は私を含めて2人体制なので、リソースを重点領域に集中させます。なお、エンジニアを絶賛採用中です。

左今:将来的には、食農業界全体のIT化と成長産業化のために、アグリゲートが内製したSPFのシステム基盤を、プラットフォームとして外部に開放していきたいと考えています。SPFは、社内だけでなく全国の生産者や組合・卸売市場とつながるビジネスなので、それぞれの生産者や組織が使っている様々なシステムとデータ連携ができるオープンなプラットフォームである必要があります。

農産物の生産はIT化がまだ行き届いていない領域ではありますが、生産者にとってもITは明らかに便利なものなので、今後変わっていくはずです。アグリゲートも、農業生産者向けに、売上分析レポートや納品書・請求書をスマホで自動作成できるアプリ「FARMERS POKET」を開発・提供しています。FARMERS POKETを使ってもらってもいいし、他のシステムでもいい。アグリゲートは生産者が使うITと連携できるプラットフォームを準備します。

–テクノロジーの活用によって、アグリゲートのビジネスはどのように変わっていくでしょうか?

左今:テクノロジーによってSPFのデータが一気通貫で詳細に分析できるようになったら、生産から販売までをすべてを自社でやる必要はなくなるかもしれません。地域資産を価値化するノウハウがデータとして蓄積されたら、対面販売にこだわる必要はなくなるかもしれません。しかしながら、最終的に自社でやる・やらないに関わらず、生産・流通・卸・製造・販売のすべての知識は必要です。今は食農流通のすべての機能を自社に持ちつつ、自社内でデータ活用のためのシステム基盤を構築・運用していく段階です。

* * *

 「旬八大学」で自社で実践してきたSPFのノウハウを解放し、食農業界全体の拡大を図ってきたアグリゲート。次のフェーズとして、食農流通全体のデータが連携できるオープンなIT基盤の実現に向けて動き出した。「地方経済を活性化し、都市の食生活を豊かしたい。そのために、テクノロジーを使って食農業界を成長産業にしていきたい」――これがアグリゲートの願いだ。(提供:アグリゲート)

■関連サイト
アグリゲート

情報源: ASCII.jp:Amazon化する食農業界に一石を投じる、アグリゲートが思い描く未来 (3/3)

ハワイで日焼け止め販売禁止 サンゴ対策、21年から  :日本経済新聞

ハワイで日焼け止め販売禁止 サンゴ対策、21年から
2018/7/4 12:55

【ホノルル=共同】米ハワイ州のイゲ知事は3日、サンゴ礁への有害性が指摘される物質を含んだ日焼け止めの販売や流通を禁じる法案に署名した。イゲ氏によると、世界初の試み。2021年1月1日に発効する。

イゲ氏は署名後「ハワイの岩礁を守るための小さな一歩にすぎないが、取り組みを続けたい」と述べ、海洋汚染対策に力を入れる考えを示した。

販売禁止となるのは、紫外線吸収剤の「オキシベンゾン」と「オクチノキサート」が含まれる日焼け止め。サンゴ礁の白化などの原因になっていると一部の研究者が指摘している。法案が5月に議会で可決された。

米メディアによると、2つの成分は「コパトーン」など3500種類以上の製品に含まれており、ハワイのコンビニエンスストアなどで広く販売されているという。

医師の処方によるものは対象外。観光客が持ち込んだ日焼け止めは規制できないが、同州はサンゴ礁への有害性を伝えていきたいとしている。

情報源: ハワイで日焼け止め販売禁止 サンゴ対策、21年から  :日本経済新聞

渡嘉敷村エコツーリズム推進協議会及び座間味村エコツーリズム推進協議会|推進法認定団体|エコツーリズムのススメ|環境省

渡嘉敷村エコツーリズム推進協議会(沖縄県渡嘉敷村)及び座間味村エコツーリズム推進協議会(沖縄県座間味村)

 慶良間諸島は、沖縄県那覇市の西方10〜40キロメートルの海上に浮かぶ渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島、慶留間島等の有人島をはじめ、大小30余りの島々で構成されており、行政上は渡嘉敷島を中心とする渡嘉敷村と座間味島を中心とする座間味村の2村に分かれています。

 渡嘉敷島は、面積約15平方キロメートルで700人余りが住む慶良間諸島最大の有人島です。一方、座間味村は、有人3島(座間味島、阿嘉島、慶留間島)から成る面積19.74平方キロメートルの離島村で、人口は900人余りです。島の産業は、美しい慶良間の海を利用したダイビングなどの観光関連産業や水産業、農業等です。島を訪れる年間15万人ほどの観光客のほとんどは、美しい海でのダイビングやスノーケリング、ビーチでの遊泳などを目的としており、海域のサンゴ保全と利用は地域経済の振興にも深く関わっています。

 これまで、オニヒトデ駆除や海中清掃などのサンゴ保全に係る活動は、ダイビング事業者が自主的に行ってきましたが、活動に要する経費や労力の確保など課題が多い現状があります。

 そこで、エコツーリズム推進法に基づき設置した「渡嘉敷村エコツーリズム推進協議会」と「座間味村エコツーリズム推進協議会」により、行政、地域住民、事業者、NPO法人等が協力し、エコツーリズムを適切かつ効果的に推進するための基本的な枠組みを定めた「慶良間地域エコツーリズム推進全体構想」を作成しました。

 この全体構想について主務大臣に認定申請を行い、サンゴの保全を盛り込んだエコツーリズム全体構想としては全国初となる認定を頂くことができました。

 今後も、慶良間の自然は人類共通の財産であるとの認識のもと、エコツーリズムによって自然の保全と利活用を両立させながら、人々の生活の向上や文化の継承に努め、世界中の人々に感動を与えられる自然と心の豊かな島であり続けたいと思っております。

 引き続き、関係する皆様のご協力を得ながら「エコツーリズムの慶良間諸島」を世界にアピールし、全体構想の実現に向けて努力していきたいと考えおります。

 むすびに、全体構想の作成にご尽力頂きました推進協議会委員の皆様、ご指導とご助言を頂きました国・県の関係者の皆様に、心よりお礼を申しあげます。

渡嘉敷村エコツーリズム推進協議会会長 渡嘉敷村長 座間味 昌茂
座間味村エコツーリズム推進協議会会長 座間味村長 宮 里  哲

>>1.慶良間地域ではどのようにエコツーリズムに取り組んでいるのですか?

情報源: 渡嘉敷村エコツーリズム推進協議会及び座間味村エコツーリズム推進協議会|推進法認定団体|エコツーリズムのススメ|環境省

マイクロプラスチックを餌と間違えて食べるサンゴ | プラスチックの海

サンゴがプラスチック片を餌と間違えて飲み込んでいる動画が紹介されています。

サンゴ礁に住むサンゴもまた、海洋プラスチック汚染の被害者です。

サンゴは、小さなプラスチックの破片であるマイクロプラスチックを、本物の餌と間違えて食べていることがオーストラリアの研究から分かりました(Hall et al. 2015)。

浅いサンゴ礁に住むサンゴは、自分の体に植物を住まわせて、その植物(共生藻といいます)から栄養をもらって生活しています。

しかし、植物からもらえる栄養は炭水化物ばかりなので、ビタミンやタンパク質を補うためにサンゴはプランクトンを捕まえて食べています(Ferrier-Pagès et al. 2003)。

サンゴは、小さなバクテリアから少し大きな動物プランクトンまで、いろいろ食べます。

大きさで言うと0.2マイクロから1,000マイクロ㍍(= 1mm)という、ものすごく幅広い多様なサイズのプランクトンを食べることができます。

そしてプランクトンから摂取する栄養は、1日に必要な栄養の半分ほどを満たしています(Houlbreque & Ferrier-Pagès 2009)。


サンゴのポリプ。ポリプから伸びる触手を使ってプランクトンを補食する。Photo: NOAA Photo Library/Flickr (CC BY 2.0)

多くのサンゴは、サイズが10マイクロから100マイクロ程度のプランクトンを好んで食べているようですが(Anthony & Fabricius 2000, Mills et al. 2004)、このサイズは、海を漂うマイクロプラスチックのサイズでもあるわけです。

すでに二枚貝や魚、クジラのような大型の海洋動物まで、プラスチックの誤食によって食道が塞がれ、あるいは毒性物質に汚染されていることが知られています(Tanaka & Takada 2016, Fossi et al. 2016, Jacobsen et al. 2010)。

同様のことがサンゴでも起きている可能性があります。

本物の餌と同じ速さでプラスチックを食べる
オーストラリアの研究チームは、サンゴがマイクロプラスチックを食べるかを知るために、グレートバリアリーフで採集したサンゴをプラスチックを混ぜた海水の中で飼育しました(Hall et al. 2015)。

大きさが10マイクロ㍍から2 mmのポリプロピレンの破片を、実験的に1リットルに0.4gになるように加えて、48時間待ち、その後でサンゴを解剖して消化管の中身を調べたのです。

すると予想通り、実験に使ったマイクロプラスチックが胃の中から見つかりました(Hall et al. 2015)。

さらなる実験では、サンゴはプラスチックを動物プランクトンを食べるときと同じスピードで食べていることがわかりました(Hall et al. 2015)。

サンゴは、来る物は拒まず、口に入る物ならなんでも食べてしまう性質があるようで、プラスチックを餌の動物プランクトンと間違えて食べてしまったのでしょうか。

さらに、サンゴの食べたプラスチックは、胃の組織の中に深く潜り込んでいたのです。つまりサンゴは、飲み込んだプラスチックの破片を吐き出せなかったわけです(Hall et al. 2015)。

サンゴは、いまのところ、プラスチックの摂食がサンゴの健康に影響を与えているかは研究例がなく分かっていません。

情報源: マイクロプラスチックを餌と間違えて食べるサンゴ | プラスチックの海