グリー摘発前夜 ファミ通で路線変更を宣言か(tenten99) – BLOGOS(ブロゴス)

急に慌しくなってきたソーシャルゲーム業界。まず月刊誌「FACTA」の記事です。

GREE――ソーシャルゲームが「大変」

パチンコより射幸性が高く、「看過できぬ」と霞が関が摘発を検討中。米国の空売り王がそれに気づいた?

http://facta.co.jp/article/201204004.html

3月20日に発行されたこの雑誌では、早々に手を引いてしまった消費者庁、通信キャリア保護のため動けない総務省に代わり、唯一「風適法」で警察が動いていることが、書いてあります。

続いて、3月26日「週刊ダイヤモンド」が同様の記事を掲載。

「当局がグリーに重大な関心 正念場迎えるソーシャルゲーム」

急成長しているソーシャルゲーム。そのビジネスモデルを揺るがしかねない事態が起きている。ある政府関係者によれば最大手グリーの摘発に向けた検討が始まったもようで、「4〜5月が山場だ」というのだ。

http://diamond.jp/articles/-/16762

前者FACTAが、摘発時期を「4〜6月」としていたのに対し、週刊ダイヤモンドは「4〜5月が山場だ」としている点が違います。これらの記事を受けて、グリーの株価は急落。一時、今年の最大の日中下落率を記録しました。

グリーは直ちに週刊ダイヤモンドに抗議。

「週刊ダイヤモンド掲載の当社関連記事への対応と当社の取り組みについて 」

当該記事は、当社が犯罪行為に関係した事実は一切存在しないにもかかわらず、あたかも当社が犯罪行為に関係しており、警察・司法当局による摘発が近日中に見込まれるかの印象を読者に与えるものであると考えられ、当社の信用を不当に、かつ著しく毀損しかねないものと言わざるを得ません。

http://www.gree.co.jp/news/press/2012/0326_01.html

風雲急を告げるソーシャル業界。この数ヶ月中に山場が来るようです。しかしグリーは、週刊ダイヤモンドだけを問題にしてますが、口火を切ったFACTAはどうなんでしょうね?

アップルStore向け戦略ソフト「ソンビ・ジョンビ」が爆死

基本はドリランドなどでおなじみのシステムを使用し、アート方面を海外仕様にしたオリジナルソフト「Zombie Jombie」。3月16日配信直後は、アップルストアのランキングで9位につけるなど、好調な滑り出しをしたはずでしたが、1週間もしないうちに急落。

3月に北米のアップルApp Store向けに投入した「ソンビ・ジョンビ」が足元でダウンロード数26位、売り上げで37位とやや物足りないとの認識を示唆。日本のゲームが欧米で受け入れられるのかどうかを継続してチェックしたい、とした。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M1GWC207SXKX01.html

ちなみにappbankで現在のランキングを参照しますと、52位とさらに急降下してます。また、レビューを見ますと、最近は☆1つが連発。そのうちの1人は「レビューは明らかに詐欺だ。レビュー者のIDに注目!」と不穏な言葉を。ガワだけ変えたドリランドで、海外進出成功を果たせれば、これまでのグリー路線の成功と言えたんでしょうが、果たしてどうなりますか。

最新ファミ通のレベル5日野社長、グリー田中社長の対談を読む

レベル5がソーシャルゲーム業界に乗り出します。提供するタイトルは、「イナズマイレブン」、「二ノ国」、「ダンボール戦機」。このニュースを聞いたとき、「日野社長も血迷ったか」と思った人が多いでしょう。子供に人気のタイトルでソーシャルゲームなんて、未成年の課金問題が話題になってる中で最悪の選択です。私も、いつも的確に商戦機を見切ってきた日野社長らしくない話だと思いました。

しかし、3月22日に発売されたファミ通の対談を読むと、別の側面が見えてきたように思います。

「レベルファイブとグリーのトップが夢の対談」

ゲーム業界のトップクリエイターであるレベルファイブの日野晃博社長と、SNS“GREE”を創立した創業者、グリーの田中良和社長による夢の対談が実現。レベルファイブのGREE参入の経緯や発表タイトルの詳細に迫りつつ、ソーシャルゲーム業界における今後のビジョンを聞いた。聞き手は、ファミ通グループ代表の浜村弘一。

http://www.famitsu.com/news/201203/26012020.html

わざわざ聞き手が、浜村御大ですよ。「凄い」とか「わくわくしますね」とか、大した合いの手を入れてないのに、なんでわざわざ浜村氏が出てきたのか不思議でした。

が、最後のグリー田中社長の言葉にびっくり。

田中 今後ソーシャルゲームは、より世界観やストーリーが大事になるフェーズになると思うので、今回のプロジェクトをぜひいっしょに成功させたいと思います。加えて、レベルファイブさんがいままで挑戦してきた映画やグッズ化といったコンテンツの横展開に関しても勉強させてもらいたいと思っています。

日野 今回の発表は、長く家庭用ゲームを作ってきたクリエイターとして、ソーシャルゲームをゲームのひとつの進化と認めたアクションだと捉えてもらってかまいません。大事なコンテンツをGREEに出すと決めたということは、「本気でやる」ということなので、ぜひ注目していただきたいなと思います。

「今後ソーシャルゲームは、より世界観やストーリーが大事になるフェーズになる」!?

グリー田中社長と言えばですね。「東京ゲームショウ 2011」の講演で、「ゲームデザインが似てるのは何故だ?」というもっともな質問に、「ゲームのクリエーターは変化をすぐに求める」、「コアのデザインを変えずに、そこから膨らませたゲームをたくさん提供すべき」と開き直ったことで一世を風靡したんですよ。また、グリーのソーシャルアプリケーション統括部長 岸田氏に至っては、ゲームバランスより、課金機会の演出の方が大事と身もフタもないことを語って伝説を作りました。

「稼げるゲームはこう作れ。グリーが明かす「セールスランキングNo.1プロダクトの作り方」」

岸田氏が指す「収益化モデル」とは,有料アイテムなどにお金を出してもらうためのモデルのこと。キーワードは「納得のいく失敗と劇的な変化をもたらすゲームデザイン」と「自己顕示欲を最大化するソーシャルデザイン」だ。

収益化モデルの構築には,失敗に意味があることをきちんと演出することが重要であり,有料アイテムは見た目に効果が分からないとダメだという。「細かなゲームバランスよりも,課金機会の演出,効果の演出のほうが大事」と岸田氏は指摘する。

http://www.4gamer.net/games/127/G012735/20110908100/

実際、グリーのゲームは当たったゲームの焼き直しが多いのです。利益はガチャシステムが生み出しますから、ゲームの中身自体はどうでもよくなるのですね。たとえば、「釣りスタ」では、釣り損ねた魚が何だったか明らかにし、「それを釣るためには、この課金のアイテムが必要だよ」と誘導するわけです。ドリランドでは、「この回復アイテムがあったら勝ったかもね」と誘導するわけです。これを「課金機会の演出」とグリーでは言っていたのですね。

そんなグリーの田中社長が今回、「これからのソーシャルゲームは、世界観やストーリーだ」と言い出したのですよ。これはソフト開発費高騰化への道でもありますし、これまでの田中社長なら、絶対言わないセリフなのです。つまり、このファミ通の対談は、グリー田中社長の路線変更宣言に対し、共感したレベル5がソフト提供を行って、浜村社長が立ち会ったという図式だったのです。

もちろん、単にチャンネルを複数持っておくだけという話かもしれませんが、このセリフを言わねばならない何かがあったんでしょう。それが報道のとおり、警察の介入なのか、はたまた海外進出の難しさによるものか、どちらかは今後の推移を見守ることで判明すると思います。

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