アマゾン、出版取次外し加速 印刷工場から直接調達: 日本経済新聞

2018年2月1日 1:31

アマゾンジャパン(東京・目黒)は書籍や雑誌を印刷会社から直接取り寄せる。文芸春秋など出版社に注文した雑誌などは出版取次会社を介さず、印刷工場から自社倉庫に仕入れる。アマゾンは取次大手の日本出版販売(日販)と在庫のない書籍については取引をすでに打ち切った。出版社だけでなく印刷会社との直接取引で、取次会社を前提とした書籍の流通構造が大きく変わりそうだ。

アマゾンは書籍の多くを日販から仕入れている。日販が在庫を持たない書籍の仕入れは2017年6月に打ち切り、在庫がある場合のみ取引していた。新たに在庫の有無にかかわらず、一部の新刊の書籍を大日本印刷の印刷所から直接送る体制に切り替える。売れ行きが好調で、重版した場合も大日本印刷から直接調達する。

大日本印刷と取引がある複数の大手出版社のほか、中堅出版社を中心に約20社が2月にも取り組みに参加するもようだ。アマゾンはあらゆる書籍を2日以内に届ける体制を目指している。取次会社の在庫を確認してから仕入れると、消費者に届けるまでにさらに数日間を必要としていた。アマゾンは印刷会社との直接取引によって、書籍などの在庫が確認できないために、注文できないケースを大幅に削減できる。

アマゾンは雑誌でも印刷会社からの直接調達を始める。文芸春秋の月刊誌「文芸春秋」などの雑誌を増刷した分については、凸版印刷の印刷工場から取次会社を介さずに仕入れる。

月刊誌や季刊誌など定期的に発行される雑誌では、売れ行きが好調な雑誌の増刷を検討しても、取次会社経由では消費者に届けるまでに10日ほどかかる場合がある。人気が出てから数日以内に提供しなければ売れ行きが鈍るため、取次経由で消費者には販売しづらかった。文芸春秋のほか、凸版印刷と取引が深い複数の出版社が参加する。

アマゾンは日販など取次会社を経由せずに書籍や雑誌を仕入れるため、これまで取次会社が得ていた取り分は出版社などと分け合うとみられる。アマゾンとの直接取引に対しては及び腰な出版社も多い。それでも書籍や雑誌の販売力があるアマゾンの存在感が高まっており、アマゾンとの取引条件によっては直接取引に乗り出す出版社も少なくないはずだ。

関係者によるとすべての本でアマゾンと直接取引する出版社は、中小を中心に300社弱に上るという。アマゾンが販売する本のうち、すでに3割強が直接取引だが、印刷工場からの直接納入も含め、将来は大半を直接取引にしたい意向だ。

情報源: アマゾン、出版取次外し加速 印刷工場から直接調達: 日本経済新聞

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