2017.06.27 19:03
author たもり
Image: Pretty Coral Reef/Albert Plawinski/Flickr白化現象、いったん休止のお知らせ。
2015年の初めから世界中で発見されていた、温暖化によるサンゴ礁の白化現象。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、この世界的な白化現象がついに終息しようとしつつあると発表しました。とはいえ、サンゴの周りの水温はまだ高いようです。
主に赤道近くの熱帯で温暖な水で生息するサンゴ礁は、温暖化による大規模な白化現象に3年近くもの間、苦しめられてきました。サンゴは褐虫藻と呼ばれる鮮やかな藻と共生して餌を吸収する生物で、水温がほんの数度上がるだけで光合成を行なう褐虫藻を放出してしまいます。サンゴの餌は褐虫藻から供給されるので、放出するとサンゴは幽霊のような白色になりはて、やがて餓死してしまうのです。
NOAAが史上3番目の規模となる白化現象を宣言した2015年の初め以降、世界中でこのような現象が起きていました。それからというもの、オーストラリアのグレートバリアリーフやアメリカのフロリダ、ハワイそして南太平洋で多くのサンゴが死にゆく姿を目撃されてきました。去年、風刺として書かれた「グレートバリアリーフの死亡記事」が海外でバズりましたが、実際の悲惨さを強調していたにもかかわらず、多くの人々がこの記事を事実だと思ったのでした。
一部は激しいエルニーニョ現象、そして一部は気象変動のせいで、3年近くも暑くなりすぎた海水に苦しめられてきましたが、ようやく世界中のサンゴはひと息つけそうです。というのも、衛星や気象モデルからの海の水温データを用いた、NOAAによるサンゴ礁の白化現象に対するヒートストレスの最新版の見解が示すところによれば、大西洋、太平洋そしてインド洋の3つの主要な海盆の水温は、世界的な白化現象になりそうにない地点まで収まったというのです。
白化現象がちゃんと終わったことを確かめるために、科学者たちはこの先の数カ月も水温の観測を続けます。
でもそれによって、突然すべてがよくなったというわけではありません。直近の白化現象が示したように、おおよそ全海洋生物の25%を支えるサンゴは、水温のほんの些細な変化にもとても敏感です。それに人間たちが毎年、大気に何十億トンもの二酸化炭素を排出し続けるかぎり、気温は上昇していくのです。この温暖化が進む世界では、白化現象はもっと頻繫にそして厳しくなると予想されていて、白化現象が連続する間、サンゴ礁に残された回復するための時間は短くなりそうなのです。それに加えてNOAAによれば、ハワイやカリブ海にある特定のサンゴ礁は、この夏も白化の危機に晒され続けるとのこと。
「次の白化が起きる前に、多くのサンゴが回復する時間を得られればと願っています」と、NOAAのサンゴ監視を率いるMark Eakin氏は米Gizmodoに語りました。熱帯太平洋全域で温暖な海水の蓄積を引き起こしているエルニーニョの気象パターンがなくても「問題は、2017年が史上2番目に暑い年へと向かってること」なんだとか。
Eakin氏はさらに「今は熱帯ではありませんが、暖かさは上層海洋に吸収され、逃れる場所がないのです」と続け、「なので、サンゴが再び限界へと押しやられるまでそれほどかからないでしょう」と話しました。
Image: NOAA
NOAAが公開している「サンゴを守る10の方法」海、そしてサンゴはつかの間の休息を得ているところかもしれません。でもサンゴを本当に救いたいのであれば、私たち人間がもっとしっかり取り組む必要がありそうです。
・グレートバリアリーフを蝕む白化現象、サンゴ礁の3分の2がすでに白化(2017年4月の報告)
・グレートバリアリーフのサンゴ礁、この先20年間で大量死が推測される(2016年12月の報告)Image: Pretty Coral Reef/Albert Plawinski/Flickr, NOAA
Source: NOAA(1, 2, 3)
Reference: OutsideonlineMaddie Stone – Gizmodo US[原文]
(たもり)Tags :サイエンス地球海外