新型コロナウイルス海外での影響(8) ~アジア市場 最新調査結果が示す食習慣の恒久的変化の可能性~|ニールセン・カンパニー (Japan)

2020/03/31 11:57

ニールセンが、日本を含む世界70以上の国と地域で実施した緊急調査「新型コロナウイルスによる消費習慣への影響(2020年3月)」のうち、アジアの消費者に対する調査結果からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を通じて、消費者の食生活が恒久的にに変わる可能性があることが見えてきています。
アジアの11の市場のなかでは、日本の消費者の食習慣が変化の兆しが最も少ないことが分かりました。

緊急調査「新型コロナウイルスによる消費習慣への影響(2020年3月)」について

JP JPN Impact of COVID-19 on Consumer

調査では、中国、香港、韓国、マレーシア、ベトナムの消費者が自宅での食事を優先するようになるだろうとしています。
中国では、86%が新型コロナウイルス感染拡大前よりも自宅で食べる頻度が増えていると答えています。
他の市場でも同様の傾向が見られ、香港では77%の消費者が以前よりも家庭での食事を増やす予定をしており、韓国、マレーシア、ベトナムではそれぞれ62%となりました。
一方、日本の消費者では30%に留まっています。

この調査からは、特に香港、韓国、タイで、持ち帰り用食品と食品の宅配の需要が高まっていることも分かっています。
これらの市場ではテイクアウトが浸透し、こうしたサービスがもたらす利便性が重視されています。
こういった傾向がレストランやその他ビジネスに与える影響は明白ですが、調査結果からは、新しいレベルの需要を満たすため、小売企業による店舗在庫の扱い方にも影響が出ることが明らかになっています。

ニールセン東南アジア総責任者のヴォーン・ライアンは、「アジア市場は長期にわたり感染拡大の影響下に置かれており、消費者は多くの国で自主隔離を強いられ、結果として購買行動に変化が見られます。
まだ習慣化するかどうかはわかりませんが、自宅で過ごす時間を増やしたいとする傾向は、この先も残る可能性が高いだろうと思われます」と述べています。

さらに、ライアンは、地域によって異なる傾向はあるものの新しい習慣的行動が生まれつつあるとし「当初は『突然変異的行動』かと思われましたが、この傾向は2カ月以上にわたり確認されています。
シンガポールを積極的に食事の宅配を採用している国とし、日本がそうでない国とするなら、以前よりも多くの国がシンガポール型に近づいていることがわかります」と述べています。

アジアの食文化は過去5年の間、革新と変化のインキュベーターでした。
消費者のライフスタイルがより都市化されて密集し、より忙しく、つながりのあるものになるにつれて、食品の宅配とテイクアウトが増加し、従来の食品の消費と食生活は劇的に変化しました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大の状況が進展するにつれ、消費者がどこでどのように食べるかは変化し、家庭で食べるために食品を購入するという選択肢が増えるようになりました。

「多くのアジア市場では、1月の終わり以降、FMCG全体で週平均売上が前年に比べて毎週+20~25%を超えています
消費者は何度も同じ店に来店しており、この行動は『パニック買い』を通り越していると言えます。
消費者が『外出先での過ごす時間』から『より安全な家庭内での消費』へと移行しているようにも考えられます」とライアンは続けています。


外食から食品のデリバリー、テイクアウト、料理への移行は、各国の消費習慣の伝統だけでなく、国ごとの検疫や隔離などのウイルス対応策の影響も受けるため、地域により微妙に異なっています。
例えば、日本では食品のデリバリーはほとんど増えていませんが、タイはこのチャネルに大きく依存しています。
これは短期間でナビゲートしたい企業にとって重要なポイントです。
市場全体の消費動向は明らかに変化していますが、気になるのはは「いつ正常に戻るのか」でしょう。
しかし、同じ状態に戻るということはないのかもしれません。

消費者にとってのこの体験の特性を考えると、より恒久的な変化を示唆するデータにはいくつかの指標があります。
ライアンは「消費者の思考と行動は転換しており、これは長期的な違いをもたらすでしょう。
多くの人にとって、外食のような古い習慣は、新しい習慣に恒久的に取って代わられ、消費者は新たな環境にさらに適応していくようになります。
消費者は自分がどこで食べるかを再考するだけでなく、自分が何を食べているのかをこれまで以上に意識するようになって行くのかもしれません」 としています。

外出先での食事に慣れている多くの消費者にとって、家庭料理は新しい習慣である可能性があり、この習慣に適応するための手助けを必要とするでしょう。

緊急調査「新型コロナウイルスによる消費習慣への影響(2020年3月)」について

ニールセンでは3月中旬、日本を含む70以上の国と地域で、新型コロナウイルス感染拡大が消費習慣にもたらす影響についての世界最大規模の意識調査を実施しました。本調査では、多数のテーマ(オンラインオフラインショッピング、旅行、休暇プランなど)について多角的な分析が可能となっています。

日本での調査
インターネット調査、全国対象、サンプル数526名、対象者条件18歳~65歳の男女、調査時期2020年3月13日~16日にて実施しています。…

海外での調査
世界70以上の国と地域、アジアでは10の国と地域(中国、香港、台湾、韓国、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア)で実施しています。調査結果レポートは英語でのご提供となります。…

中国で実施された「Nielsen Social Intelligence Survey on Coronavirus」からは、隔離状態を脱し、新しい日常的習慣の形成という次のフェーズに移っている中国市場では、健康とテクノロジーが消費者の購買習慣に短期・長期的な影響を与えておえり、消費者が「在宅」での活動にこれまで以上にシフトしていることが分かっています。
感染拡大の進展に伴う消費パターンの例として中国市場を参考にするのであれば、他の多くの市場が短期的な観察を長期的な戦略に転換していく必要があるかもしれません。

中国では、回答者の70%近くが日用品・生鮮食品を週2回以上購入しています。
自宅にとどまることが多くなることにより、消費者のオンラインショッピングの習慣はさらに浸透し、89%の消費者が、感染拡大終息後も積極的にオンラインで日用品や生鮮食品を購入すると回答しています。
さらに80%は、終息後も健康的な食事に注意を払うとしています。

ニールセン中国 社長 ジャスティン・サージェントは「新型コロナウイルスの感染拡大により、中国の消費者の健康に対する考えは急速に変化し、購買に使用するチャネルは変化しました。
これは、メーカーと小売企業にとっての課題であると同時にチャンスでもあります。 5G、AR、AI、そして、変化を続ける市場環境の出現により、メーカーは、新しいビジネス戦略を模索しながら変化を受け入れ続けなければならないでしょう」と述べています。
通常の生活に戻った後も、消費者は、健康的な食生活をこれまで以上に意識するはずです。
今回の感染拡大により、消費者にとっての「自宅での食事」は生まれ変わったと言えます。

サージェントは「新型コロナウイルスの感染拡大は、メーカー、小売企業、レストラン、および食品配達企業にとって、健康の提供を再考し、基準をさらに引き上げる重要な機会となるでしょう。
健康と利便性に対する需要拡大に確実に対応するだけでなく、これまでよりも高い品質と衛生基準を兼ね備える必要があります。
小売企業は、オンラインチャネルを促進し、オフライントゥオンラインサービスをさらに改善し、マルチチャネル統合を加速することで、将来の消費者の購買行動をナビゲートできるはずです」と述べています。

情報源: 【ニュース】新型コロナウイルス海外での影響(8) ~アジア市場 最新調査結果が示す食習慣の恒久的変化の可能性~|ニールセン・カンパニー (Japan)|note

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