チェンジはどんな会社? | maonline.jp

「ふるさとチョイス」運営のトラストバンクを子会社化するチェンジは、どんな会社?
2018/11/29

トラストバンクのHPから

・子会社化を受けてストップ高
・ふるさと納税ブームを牽引してきたトラストバンク
・ITコンサルで実績積み、2016年に上場
・「100億円企業」も視野に

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京都目黒区。須永珠代社長)がIT関連企業のチェンジ<3962>の傘下に入ることになった。
自分の故郷や応援したい自治体に寄付できる、ふるさと納税は国民の間にすっかり浸透した感があるが、その最大の“功労者”といえるのがトラストバンク。

実は親会社となるチェンジの売上規模(26億円、2018年9月期)はトラストバンクの半分にも及ばない。
かといって、トラストバンクの経営が窮地に陥ったわけでもない。
文字通り、小が大をのむ形のチェンジとは。

子会社化を受けてストップ高

チェンジの株価は11月29日、年初来高値でストップ高の7630円(終値は7340円、前日比710円高)年初来高値)まで買われた。
前日発表したトラストバンクの子会社化が買い材料となったのだ。

トラストバンクの株式60.11%を48億円で取得するというもので、みずほ銀行から借り入れる50億円で賄う。
今後の事業展開で生み出されるキャッシュフローを借り入れの返済原資にすることが可能と判断した。
もっとも、借入額はチェンジの売上高の2倍近くに達し、社運をかけたM&Aであるのは間違いない。

チェンジの福留大士社長はトラストバンク子会社化の発表に合わせ、「株主の皆様へ」と題する文書を公表した。
この中で、福留社長は「ふるさと納税だけでなく、色々な仕組みを用いて、自分の故郷や地域を元気にするプラットフォームを作りたい。
それがトラストバンクとの連携によって可能になる」とM&Aの狙いを説明している。

ふるさと納税ブームを牽引してきたトラストバンク

ふるさと納税制度が始まったのは2008年4月。
トラストバンクはその4年後の2012年に設立し、寄付先の自治体や返礼品を調べるのに便利な「ふるさとチョイス」の運営に乗り出した。
寄付する人と自治体を結び付ける地域活性化のビジネスモデルを確立し、折からのふるさと納税ブームに乗って、利用者を急速に増やし、2015年に月間PV(ページビュー)が1億を超えた。
日本最大級のふるさと納税サイトに成長し、契約する自治体数は1400に上る。

では、ふるさと納税の代名詞的存在を子会社化するチェンジはどういう会社なのだろうか。

ITコンサルで実績積み、2016年に上場

チェンジは2003年に大阪市で設立した。
05年に東京に本社を移した。
自治体向けITプラットフォームのコンサルティングで実績を重ね、現在はモバイル端末やクラウド、ビッグデータなどを活用した業務改革システムの開発・提案を事業の柱とする
2016年に東証マザーズに上場。
この9月には東証1部上場企業の仲間入りを果たした。

業績は好調に推移している。
2018年9月期は売上高31.5%増の26億円、営業利益55%増の5億1300万円。
今期(19年9月期)は売上高31.7%増の34億3000万円、営業利益46.6%増の7億5300万円と引き続き大幅増収増益を見込む(トラストバンク子会社化は織り込んでいない)。

他社との協業には積極的だ。
シニア世代向けに音声AIスピーカーを利用したサービス提供を目指す新会社「ボイスタート」を三井物産と設立した。
スマホやパソコンが苦手な高齢者にもインターネットの恩恵を届けるもので、鎌倉市(神奈川県)で2019年から実証実験に入る予定だ。

スタートアップ企業への投資事業も実績があがりつつある。
投資先のGA technologies(中古不動産のマッチングサイト運営)<3491>が7月に東証マザーズに上場した。

「100億円企業」も視野に

トラストバンクは「ふるさとチョイス」以外にも、全国の生産者・事業者を支援する「たのもし」、ふるさと探しを手伝う「ローカル日和」、伝統工芸に関する「わざもり」といったサイトを続々誕生させている。
近年は高齢者向け福祉機器の開発やロボットコンテストも手がける。

公表資料によると、トラストバンクの直近業績は売上高60億4800万円、営業利益8億7800万円、純資産11億3600万円(いずれも2017年9月期)。
今回のチェンジによるM&A金額48億円は自社の売上高の2倍近くにあたるうえ、相手先企業の純資産の4倍以上だ。
財務上は、この「のれん」の償却負担が課題となる。

トラストバンクの顔で、同社創業者の須永珠代社長は引き続き経営の指揮をとる予定という。
チェンジは同社を迎え入れることで、「100億円企業」がいよいよ視野に入ってくる。
事業シナジー(相乗効果)をどう引き出すのか、M&A後の統合の行方に要注目だ。

情報源: 「ふるさとチョイス」運営のトラストバンクを子会社化するチェンジは、どんな会社? – M&A Online – M&Aをもっと身近に。

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