7/15(金) 5:42配信 沖縄タイムス
[リポート’22 石垣発]沖縄県石垣市は本年度、新型コロナウイルス禍の影響を受ける事業者支援の一環で、島の食材を活用したご当地カレーの開発・販売に乗り出す。
具材のメインになるのが出産を終えた「経産牛」だ。
その多くはと畜されず島外へ出荷されているのが現状だが、枝肉としての販路もつくることで、地元の消費を促す。
カレーはレトルト食品として1万食を製造予定。
市内土産品店に無償で配り、販売代金がそのまま利益になる。
飲食店でもメニュー化するほか広くレシピを公開。
島の食材を使い、家庭で食べてもらうことで経済活性化につなげる。(八重山支局・粟国祥輔)所管の市商工振興課によると、地元食材などと組み合わせたご当地カレーは全国で広まっており、「よこすか海軍カレー」(神奈川県)などが有名。
市も豊富な食材が島にあることから参入を決定した。
最南端の国境の地という地理的特性も話題性があることから、「国境の島カレー」と名付けた。「国境の島カレー開拓事業」として市議会6月定例会で承認。
コロナ臨時交付金を活用し、880万円を計上した。
7月末からレシピ開発やレトルト製造を担う事業者を公募し、8月末にも契約。
市内に拠点があることが応募の条件で、レシピ公開や飲食店へのメニュー普及、来年度以降の事業化などを求めている。畜産農家も歓迎
島カレーの大きな魅力になると考えているのが具材に使う地元の経産牛だ。
子牛の出産を繰り返し、その役割を終えた母牛で、再肥育すれば良質な和牛としておいしく食べられる。
だが、肉として流通されるのは少数で、多くは生きたまま県外へ出荷されている。市畜産課によると、安定した販路がないことが理由。
再肥育には3~8カ月必要で飼料代などの追加の費用もかかるため、その先の“出口”となる販路を確保することが課題だった。現状で年平均700頭の経産牛がと畜されずに出荷されている。
再肥育された末、和牛として市場で取引されている。
こうした状況から、島で再肥育されたら「石垣産の肉になる」と話す同課の本原弘也課長。
「ブランド和牛の石垣牛は高値で流通量も少なく食べる機会が少ない。
それだけに食べてみたいと思う人は多いのでは」と期待する。家畜競り市場で経産牛1頭当たりの取引価格の平均は約20万円。
再肥育後にと畜して枝肉にした場合は1キロ当たり平均1200円。
しかしこれは事前に再肥育を農家に依頼した場合といい、「買い取り業者が決まっている。
島カレー事業でも同様に安定した価格を提示したい」と話す。経産牛を活用した島カレー事業に、畜産農家も歓迎する。
大浜の前津大輔さん(40)は「販路があるのは助かる。
頑張ってくれた母牛を肉になるまで見届けられることもありがたいこと」と話した。普及の鍵握る味
隠し味として八重山産の黒糖を使う。
コロナ禍の影響で消費が減り、増える在庫の解消が目的だが、市商工振興課の西銘基恭課長は「黒糖は意外にカレーと合う。
コクが出て味が一層引き立つ」と効果を説く。
レシピ開発を経て12月末までにレトルト製造する予定。
年明けにも希望する土産品店に100食ずつを無償で配る。
1食当たり180~200グラムを想定。
価格は全国のご当地カレーを参考(平均千円)に、統一料金で販売する。
年度内にレシピ公開と飲食店での提供を目指す。包装への工夫のほかネーミングや商品作りに「ストーリー性」を盛り込むことも応募事業者に求める。
商売の手順を踏まえた上で西銘課長は「最後は味が鍵を握る」と話す。冷凍食品の技術が年々向上していると指摘し、「島の食材で作って『おいしい』と言ってもらえる。
やっぱりそこだと思う」と強調した。
情報源: 「国境の島カレー」を売り出す沖縄・石垣島 おいしさの鍵を握る「経産牛」とは? レトルトで1万食を製造へ(沖縄タイムス) – Yahoo!ニュース