2023/04/06 08:56
北海道利尻町のふるさと納税の返礼品だった冷凍ウニが産地偽装されていた問題は、厚岸町の水産加工会社の元社長が逮捕される刑事事件に発展した。
「利尻」の知名度を生かして寄付額は急増したが、地元産での生産が追いつかず、偽装に手を染めたのか。
利尻産と偽装されていたウニの返礼品(北海道警提供)5日に食品表示法違反の疑いで逮捕されたのは、「カネマス上田商店」元社長の上田敏樹容疑者(62)。
捜査関係者によると、逮捕後の調べに対し、「前の年に比べて想定以上の受注があり、対応できなかった」と理由を話し、「商品を出せないことによって自治体や関係者に迷惑をかけると思い、外国産を使った」などと供述しているという。2019年に返礼品業者となった同社は、利尻町の返礼品の主力になる。
20年度に同社の返礼品は全体の2割の5200万円。
21年度は4割を占める2億2300万円に上った。
件数でも、約3000件から約1万2000件に増え、半分近くを占めた。だが、全国からのウニ人気に、供給能力は限界に達していたようだ。
当時工場で働いていた男性は「町からの期待度は大きく、キャパオーバーだった」と証言する。
22年1月頃から、町には「ウニの味がしない」「苦みしかしない」といった苦情が相次いだ。
町が上田容疑者に聞き取ったところ、ロシア産を混ぜていたと偽装を認めた。
22年6月に町が問題を公表すると、寄付額は急減。
22年度の町全体の寄付額は前年度に比べて4割減の3億5000万円だった。