ソーシャル・ウェブ入門

ソーシャル・ウェブ入門
滑川海彦(2007)
Webの世界で起きているトレンドとは?…今後も永続的に進展していくトレンドとは、ユーザーの優位化、ソフトウェアのWeb化、テクノロジー企業の優位化(ポール・グレアム)
他の人間とのつながりを求めることこそ人間の生まれながらの性質(アリストテレス)
固くて重いツリーから、ゆるくて軽いタグへ
「Small Pieces Loosely Joined=小さな多数の断片がゆるく結合する」(デビッド・ワインバーガー)…Web社会は「自由な、ゆるい結合」をもたらす
集団が失敗する場合…「集団の愚行・狂気」を分類すると
・仲良しクラブ メンバーの多様性の喪失。同じ意見、背景の人材が集まって本質的に異なる観点を失っている
・不合理な圧力 メンバーの間に利害、名誉、地衣の上下などによる圧力が働いて合理的な結論を得ることを妨げる
・情報の隘路 メンバー間の情報のやり取りを効率的に処理するプロセスが存在せず、肝心な情報が肝心な場所に届かない
Web上のコミュニティには従来の組織にはなかった大きなメリットがある。
・多様性 誰でも特別な資格なしに参加できる…
・圧力の排除 匿名でも参加できる
・Webの情報配信・検索能力 必要な情報が必要な相手に速やかに届く
「集団の英知」が実現するか…必要なのは、どのようなコミュニティを実現させたいのかについての明瞭なビジョンを持ち、それをWeb上の「みんな」に伝え、引き込んでいくカリスマ性のあるリーダーである。Amazonのジェフ・ベゾス、Wikipediaのジンボ・ウェールズ、2ちゃんねるの西村博之、Linuxのリナス・トーヴァルズ、オープンソフトウェア財団のリチャード・ストールマン…など成功したコミュニティには(毀誉褒貶はあるものの)強烈な個性とビジョンを持ったリーダーが必ず存在する
わが国の個人情報保護法は「個人情報」を
…生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)をいう。
と、かなり網羅的に定義しており、これを同意を得ずに公表すること、目的外に使用することを禁じている
Diggには2005年10月現在、月間1500万~2000万の訪問者があり、買収価値は1億5000万ドル(180億円)以上と推定されている( http://jp.techcrunch.com/archives/digg-does-the-acquisition-dance-with-news-corp )
旧共産圏で無数に生まれた小話(アネクドート)
伝染率を上げるためには2つの要因が必要となる。ひとつは宿主である人間同士の接触密度を高めること、もうひとつは人間から人間への感染力を高めること
YouTubeでは意図的にアップロードされる動画の画質を落とし、音声もモノラル、最長10分または100MBという制限を設けている
MySpaceは、2005年7月、メディア王ルパート・マードックのニューズ・コーポレーション(FOXテレビの親会社)に5億8千万ドルで買収される。以後躍進を続け、2007年には登録ユーザー1億3千万人、トラフィックでも世界でトップ10に入る巨大サイトに成長した。マードックは記者会見で現在のMySpaceの市場価値は60億ドル(7千億円)以上と主張している
アメリカではPayPerPostなど、企業がブロガーに料金を払って記事を書かせることを仲介するサイトがいくつか開設され、ブロガーから懸念の声が上がっている。
Web2.0は群集の英知だけでなく群集のバカさ加減も増幅する。YouTubeに寄せられるコメントのめちゃくちゃな綴りを見ていると、人類の将来が心配になるくらいだ。Web2.0は巨大な実験だ。実験であるからには失敗もありうる…Wikipedia、YouTube、MySpace…は過去に例を見ない規模のコミュニティであり、コラボレーションだ…これらの革命を起こしているのはいったい誰だろう?…誰がこのような時間と情熱を傾けているのだろう?その答えは、You、あなただ。
十年後にネットはあらゆるものの中心になっているだろう。だがわれわれはそれを「Web3.0」とは呼ばない。なぜなら…インターネットは今以上にビジネスと社会の中心になるが、それはすでにWebに収まりきれないものになっていく(ティム・オライリー)
世界は電子村になる(マーシャル・マクルーハン)
メディアはメッセージである(マーシャル・マクルーハン)
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