原発危機はなぜ起きた? @Reuters_co_jp

布施太郎

[東京30日ロイター]巨大地震と大津波で被災した東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)・福島第1原子力発電所から深刻な放射能汚染が広がっている
「想定外だった」と政府・東電が繰り返す未曽有の大惨事

ロイターが入手した資料によると、事故の直接の原因となった大津波の可能性について、実は東電内部で数年前に調査が行われていた
なぜ福島原発は制御不能の状態に陥ったのか
その背後には、最悪のシナリオを避け、「安全神話」を演出してきた政府と電力会社の姿が浮かび上がってくる

底知れない広がりを見せる福島第1原発からの放射能汚染
敷地内で原子炉から外部に漏れたと思われるプルトニウムが検出される一方、1、2号機のタービン建屋の外に放射性物質が流出していることも明らかになった
核物質を封じ込めるために備えた安全策は機能不全に陥っている
経済産業省原子力安全・保安院の担当者は29日未明の会見で「非常に憂える事態だ」と危機感をあらわにした

<埋もれた4年前のリポート、福島原発モデルに巨大津波を分析>

「津波の影響を検討するうえで、施設と地震の想定を超える現象を評価することには大きな意味がある」
こんな書き出しで始まる一通の報告書がある
東京電力の原発専門家チームが、同社の福島原発施設をモデルにして日本における津波発生と原発への影響を分析、2007年7月、米フロリダ州マイアミの国際会議で発表した英文のリポートだ

この調査の契機になったのは、2004年のスマトラ沖地震
インドネシアとタイを襲った地震津波の被害は、日本の原発関係者の間に大きな警鐘となって広がった

とりわけ、大きな懸念があったのは東電の福島第1原発だ
40年前に建設された同施設は太平洋に面した地震地帯に立地しており、その地域は過去400年に4回(1896年、1793年、1677年、1611年)、マグニチュード8あるいはそれ以上と思われる巨大地震にさらされている

こうした歴史的なデータも踏まえて、東電の専門家チームが今後50年以内に起こりうる事象を分析
その報告には次のような可能性を示すグラフが含まれている

―福島原発は1―2メートルの津波に見舞われる可能性が高い

―9メートル以上の高い波がおよそ1パーセントかそれ以下の確率で押し寄せる可能性がある

―13メートル以上の大津波、つまり3月11日の東日本大震災で発生した津波と同じ規模の大災害は0.1パーセントかそれ以下の確率で起こりうる

そして、同グラフは高さ15メートルを超す大津波が発生する可能性も示唆
リポートでは「津波の高さが設計の想定を超える可能性が依然としてありうる(we still have the possibilities that the tsunami height exceeds the determined design)」と指摘している

今回の大震災の発生を「想定外」としてきた東電の公式見解
同リポートの内容は、少なくとも2007年の時点で、同社の原発専門家チームが、福島原発に災害想定を超えた大津波が押し寄せる事態を長期的な可能性として認識していたことを示している

この詳細な分析と予見は、実

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です