敵の敵は味方 キャッシュレスNOW  :日本経済新聞

敵の敵は味方 キャッシュレスNOW
2018/8/29 1:30日本経済新聞

 決済方式を巡り乱戦模様の日本のキャッシュレスサービス業界にあって、6月明らかになったLINEの計画に業界関係者は驚いた。スマートフォン(スマホ)の決済サービスでライバルのはずのジェーシービー(JCB)と提携するというのだ。LINEの子会社LINEペイ(東京・新宿)は、スマホアプリを使ってQRコードを読み取る方式を採用。今や日本人の約6割が利用する対話アプリを起爆剤に決済でも囲い込むのかと思いきや、スマホを端末にかざすJCBの非接触決済サービスも取り込んだ。


LINEの出沢社長はキャッシュレス普及にライバルと手を組むこともいとわない

 「非接触を求める利用者が多いなら自前にこだわるつもりはない」。LINEペイ取締役の長福久弘(35)は直言する。JCBと右手で殴り合いながら左手で握手するのは「『現金』という敵の敵は味方」になるからだ。現金主義の日本でキャッシュレスへの移行は並大抵ではないのに、決済システムがバラバラなら利用者は混乱するだけ。ならば両方の決済方式を誰でも使えるように現金要らずの土壌を耕すことにした。

 それだけではない。「中小企業向けに決済手数料を3年無料にする」。LINEが6月28日に発表するや、ヤフーとソフトバンクも1カ月後、無料化を打ち出したのだ。クレジットカードなど日本のキャッシュレスサービスの手数料は決済額の3~4%が主流。1%台とされる店舗の現金の管理コストをも下回る。

 「決済で稼ぐつもりはない」とLINE社長の出沢剛(45)が涼しい顔を見せるように競争軸は、はやくも決済の次に移っている。それを暗示するのが、スマホ決済の巨人アリババ集団の支付宝(アリペイ)や米アマゾン・ドット・コムの変身だ。

 アリペイの利用者は5億人。この膨大な決済データを握るアリババは買い物や送金履歴、支払い状況から利用者の信用力を数値化。グループ銀行がこのデータをもとにネット上で少額融資するサービスまで手掛けている。アマゾンも銀行参入の噂が絶えない。7600万人というLINE利用者は、6900万枚が発行されるJR東日本のICカード「スイカ」、NTTドコモのサービス会員数6600万をはるかに上回るとあって、日本きっての巨大な金融インフラに育つ可能性も秘める。競合他社の幹部は声をひそめる。「LINEがいつか銀行を設立するか買収する日がくる」(敬称略)

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