「次の一手」はなぜクラフトビールのD2Cなのか – ITmedia

サブスクリプションモデルのD2Cに挑む
クラフトビールの次の市場を生み出しブランドを成長に導くため、長谷川氏が重視するのが以下の3点だ。

・ 消費者との継続的な対話
・ テクノロジーの活用
・ 日本の作り手との協業

CRAFT Xは当面、小売店には卸さずD2C(Direct to Consumer:製造直販)のみで展開する。
特徴的なのは1本いくらという売り方はせずサブスクリプション型の販売方法を採用している点だ。
月額6960円(税込み)で会員には350ml缶のクリスタルIPAが毎月12本届く(初回2000円のディスカウントあり)。

経営の観点からいえば、会員制によりMRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)で財務的な安定を実現できるというメリットもあるだろうが、主眼とするのはむしろ消費者との継続的な関係の構築だ。
ビールそのものの品質はもちろんのこと、無料配送や日時指定など満足度の高いサービスを提供してブランドを好きになってもらい、「消費者と共にブランドを育てたい」という思いがそこにはある。
季節限定ビールの先行案内やエクスクルーシブな試飲会などの機会を設けて消費者の声を商品開発に反映させることにも積極的に取り組む方針だ。
ちなみに初回出荷分では、2019年11月に行ったテスト販売時に集めた消費者からのフィードバックを基にレシピや醸造方法を既に改善している。

消費者とつながるために欠かせないのがテクノロジーだ。
対話のためのチャネルとして、古巣であるFacebookやInstagramをはじめとするさまざまなチャネルを活用する。
また、そこからグローバル市場に打って出ることも視野に入れている。

そして、作り手と対等な立場で向き合い、商品開発からストーリーテリングまで二人三脚で進める。
単に発注者と受注者の関係にとどまることなく、ここでも共にブランドを育てようという姿勢が一貫しているのだ。

消費者と作り手と一体となってブランドを育てる(出典:MOON-XのWebサイト)

長谷川 晋氏への一問一答
以下の一問一答は発表会における質疑応答とその後のぶら下がり取材を基に再構成したものだ。

――今後、CRAFT Xの販路を拡大する予定はあるのでしょうか。

長谷川 スタートアップなのでビジネスモデルは模索しますが、現時点では公式ショップのみでの販売を予定しています。
こだわって作っているので量に限りがあることと、飲んでいただいた方と直接つながれることが大事だと考えるからです。
フィードバックをいただいて咀嚼(そしゃく)し、木内さんと話して速いサイクルでものづくりに反映するためには、いったんコントロール可能なチャネルの方がいい。

――ビール以外の領域への進出予定は。

長谷川 どのカテゴリーでと具体的にいえるステージではありませんが、既に仕込みはしています。
こだわりとしては、日本で作る必然性がありインターネットを使って広めることでスケールするもの。
その条件でカテゴリーを選定した上で、モノづくりに向き合っている会社と協業したいと考えています。
2020年は数カ月に1回くらい新しいブランドを発表する予定。
ビールに関しても他の種類を仕掛けていきたいです。

――テクノロジーの活用という点で、他のブランドにない特徴とは。

長谷川 消費者の声を吸い上げてモノづくりをする人と討議して商品に反映させられること。
インターネットを使ってモノを売る会社もモノづくりをする会社もたくさんありますが、消費者とブランドをつなぐことで、今まで以上に良い製品、良いブランドができる。
しかもそれを高速回転で回し、世界中に展開できます。

――販売実績がないブランドがサブスクリプションモデルだけでやっていくのは少々ハードルが高くないでしょうか。

長谷川 そのハードルを乗り越えるために、ありとあらゆるやり方を試していきます。
初回2000円の値引きを用意しているのもその1つですが、より重要なのは商品やモノづくりのストーリーを伝えることだと考えていますので、そこで勝負したい。
また、ビールを飲んでいただいた方が増えればコミュニティーが広がります。
会員プログラム自体も柔軟に変わっていくでしょう。

――「MOON-X」という社名について、「X」は「Next」ということですが「MOON」は何を意味するのでしょうか。

長谷川 1つはモノづくりを「月」に届くくらい羽ばたかせたいという願いを込めて。
もう1つは10年お世話になった大好きなP&Gを意識しました(P&Gの旧CIマークは月をモチーフにしている)。

――長谷川さんはフェイスブックジャパンにおいても日本独自の取り組みとして、地方創生や中小企業支援、D2C推進などに注力されました、今回の挑戦はそれらと通じるところもあるように見えます。
もともと長谷川さんの中にこうしたテーマへの思いがあったのか、それとも前職を通じて関心を持つようになったのでしょうか。

長谷川 フェイスブックジャパンが大きなきっかけにはなったと思います。
私の在任時にフェイスブックジャパン10周年というマイルストーンがあって、日本中のいろいろな地場の企業の話を聞く中で、日本の経済や社会にどう貢献できるかを考えるようになりました。

――2015年にフェイスブックジャパンへ参画した理由として長谷川さんは「世界をよりオープンでつながったものにする」という当時のミッションに共感したと語っていました。
今度はMOON-Xでそれを実践するということでしょうか。

長谷川 おっしゃる通りです。
今まではミッションに基づいてFacebookの使い方を広める立場でしたが、教えて終わりではなく自分がブリッジになりにいくというイメージでやっています。

CRAFT Xのパッケージには葛飾北斎の名所浮世絵揃物『富嶽三十六景』の中で最も有名な作品の1つである「神奈川沖浪裏」を採用。
デジタルを意識したフォントを重ねることで商品コンセプトである日本のモノづくりとテクノロジーの融合を意識したデザインになっているという

情報源: 元フェイスブックジャパン代表の「次の一手」はなぜクラフトビールのD2Cなのか:「MOON-X」が始動(2/2 ページ) – ITmedia マーケティング

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