2019年7月26日 09:26
今や政権のブレーン(大崎会長・左)と官邸でネタを披露する吉本新喜劇のメンバー(C)共同通信社降りかかる火の粉を振り払うかのようだ。23日の各大臣の閣議後会見は「闇営業」問題に端を発した吉本興業のお家騒動への苦情の嵐だった。
クールジャパン戦略を担当する平井科技相が「法令順守の徹底や、きちんとした説明責任を期待せざるを得ない」と求めると、柴山文科相も「文化の健全な振興という観点から、組織のガバナンスが極めて重要になる」と指摘。他にも「企業活動において反社会勢力と付き合うことは厳に慎むべきだ」(世耕経産相)、「反社会的勢力と関わりを持つことのない体制をしっかりと築いてもらうことが大切」(鈴木五輪相)と辛辣な意見が相次いだ。
口利き疑惑を抱える片山さつき地方創生相まで自らの説明責任を棚に上げ、岡本昭彦社長の会見について「一国民としては、すっきりしない」と漏らすほどだが、その「すっきりしない」会見の要因は安倍政権と吉本の癒着関係ではないのか。ズブズブの仲を失いたくない保身こそが5時間半に及ぶ言い訳に終始させたとしか思えない。
■ブレーンを務め、沖縄利権に食い込む
それだけ政権と吉本との「蜜月ぶり」は濃厚だ。2013年に設立、政府が約586億円出資する官民ファンド「クールジャパン機構」は、14年と18年に吉本が関わる事業に計22億円を投入。今年4月にも同機構は、吉本がNTTと組んだ教育コンテンツ等を国内外に発信するプラットフォームの設立事業に、段階的に最大100億円を出資することを決めた。
パワハラ体質のブラック企業が「教育事業」とはさすが吉本、笑わせてくれるが、プラットフォームの拠点となるアトラクション施設は沖縄県に設置するという。
「その沖縄の米軍基地跡地利用について有識者が集まる『基地跡地の未来に関する懇談会』の委員に今年6月、任命されたのが吉本の大崎洋会長です。7月の初会合に出席。『エンターテインメントやスポーツで世界一の島にする』といった意見が出ました」(内閣府担当記者)
お笑い企業のトップが今や政権のブレーンを務め、沖縄利権に食い込んでいる構図である。
宮腰光寛沖縄担当相は23日の会見で、大崎会長が委員として適正かどうか問われ、「(吉本が)沖縄国際映画祭を開催している実績も考慮し、有識者として知見をお借りしている。現時点で特段の対応は考えていない」と委員交代の考えがないことを表明した。
大崎会長は胸をなで下ろしたに違いないが、吉本の上場廃止前最後の決算(09年3月期)で営業利益は約488億円。その4分の1相当の計122億円もの税金が転がってくれば、それこそ笑いが止まらないだろう。
■ブラック気質の似たもの同士
吉本と安倍政権との一心同体の関係には、芸能界からも疑問の声が上がり始めた。24日のフジテレビ系番組「直撃LIVE グッディ!」で、カンニング竹山はこう意見した。
「吉本は行政にガッツリ入ったビジネスをえらいやってて、会社としてヘタを打つことができなくなっている」「こっちのビジネスをうまく回さないと、お家騒動じゃ済まなくなる」
だから、パワハラ騒動をさっさと片付けたいというわけだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう指摘する。
「質問に正面から答えず、その場しのぎの言い訳でごまかす岡本社長の会見は安倍首相の答弁と同じ。権力者に抵抗できないブラック構造や隠蔽体質、トップがパワハラに気付かず、当然と受け止める姿勢など本当に吉本と安倍政権は似た者同士です。なるほど、ウマが合うわけですが、時の政権と持ちつ持たれつの関係で、世間を騒がせるブラック企業に大量の税金がつぎ込まれるなんて、許されません」
人気取りに使える時は散々利用して都合が悪くなれば関係を断ち切る。そんなご都合主義政権のことだ。蜜月関係の吉本だってアッサリと切られかねない。
情報源: 内紛が飛び火 税金122億円が乱舞する吉本興業と安倍政権の蜜月 (2019年7月26日) – エキサイトニュース