吉本タブー化の裏で、安倍政権との癒着を深める吉本興業
繰り返すが、今回の問題は反社会勢力との黒い交際という非常に深刻な問題であり、場合によっては入江だけでなく宮迫らほかの出席者も解雇や芸能界追放という事態になってもおかしくない。吉本興業の大甘な姿勢も企業コンプライアンス的にも大問題だ。にもかかわらず、今回のマスコミの体たらくは、吉本がある種のメディアタブーと化していることをまざまざと見せつけたと言っていいだろう。しかも、吉本タブー化によって封印されているのは、芸人の不祥事だけじゃない。吉本はタブー化しているのをいいことに、露骨に政権との癒着を深めている。
吉本が入江を解雇したのと同じ6日には、西川きよしをはじめとする吉本興業所属の芸人らが首相公邸を表敬訪問し、安倍首相の前でネタを披露したことがニュース番組で大きく取り上げられていた。
大阪ダブル選のさなかの4月20日、安倍首相がなんばグランド花月で吉本新喜劇に出演したことも記憶に新しいが、吉本興業は沖縄と大阪でカジノ利権への参入を狙って安倍政権に近づいているとの見方もあるなど、いまや完全に安倍政権とベッタリ。法務省のPRを事務所ぐるみで引き受けたり、今月末に開催される大阪サミットの交通規制PRにも協力するなど、タレントにも政府や安倍政権のPRを積極的に引き受けさせている。
さらに吉本興業はNTTと共同で、教育コンテンツなどを国内外に発信するプラットフォーム事業参入を発表しているが、ここに官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円出資するという。「クールジャパン機構」出資金693億円のうち政府出資(つまりは税金)が586億円と8割以を占めているのだ。本来なら、公的資金の投入された事業に関わるなら、通常の企業以上のコンプライアンスが求められて当然のはずだ。
しかし、現実にはまったく逆のことが起きている。安倍政権批判タブーと吉本タブーの二重のタブーによって、今回のような犯罪にも関わる問題ですら一切の批判や追及を受けることなくスルーされてしまうのだ。もとよりワイドショーに公正を求めるなど、八百屋に魚を求めるようなものかもしれないが、それにしてもここまでひどいとは。暗澹たる気分になる。
(林グンマ)