SHOWROOM前田裕二、ビジネスモデルは「スナック」仮想ライブ空間は孤独な路上弾き語りから生まれた | BUSINESS INSIDER JAPAN

潰れないスナックの「絆」ビジネス

路上ライブで忘れられないエピソードがあるという。 ある時、松田聖子の『赤いスイートピー』を聴いていた40代くらいの女性から、「『白いパラソル』って知ってる?」とリクエストされた。前田はあえて、「時間差」で応えようと考えた。

「知らないので今日は歌えないのですが、来週の水曜日の同じ時間にもう一度、この場所に来てもらっていいですか?」

次回の約束を取り付けた。1週間後、一生懸命練習した「白いパラソル」を歌ったところ、その女性はじっくりと噛みしめるように聴き、ギターケースに1万円を置いていってくれたのだった。

「僕が特別に歌がうまかったわけでもない。『わざわざ自分のために時間をかけて練習してきてくれた』という絆に対する対価だと思うんです」


物心がついた頃から父親はおらず、8歳で母親を失い、一つ一つ逆境をはねのけながら生きてきた。ハングリー精神は半端じゃない。自己分析ノートは30冊以上にも及ぶという。

この原体験から、前田はこれからの消費活動は「『モノ消費』から『ヒト消費』に向かっていく」という確信を持っている。どんなに高機能でも、人はモノを買うことにやがて飽きていく。人との繋がりにお金を払う事業モデルなら、人との関係性を耕し続ける努力次第で広がり続けると。

人と人との絆をベースに「ニッチ」を積み上げていくビジネスモデルを、前田は「事業のスナック化」と表現する。

「地方に行くと、料理やお酒がとびきり美味しくなくても、ついつい通ってしまうスナックがある。そこのスナックのママって、実はダメダメですぐに酔いつぶれしまったりする。でも、常連客は『ここは俺たちの居場所だからなんとかしなきゃ』とママになり代って新入りの客に対応したり、店を盛り上げようと奮闘したりする。そんな風に人の絆があり、愛される店のほうが長続きしやすい」

まさにSHOWROOMは、そんなスナックをバーチャル空間上に無数に作っている小宇宙みたいなイメージだという。

情報源: SHOWROOM前田裕二、ビジネスモデルは「スナック」仮想ライブ空間は孤独な路上弾き語りから生まれた | BUSINESS INSIDER JAPAN

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