新型コロナウイルス海外での影響(13) ~欧州市場 感染拡大の長期化に備える消費者の ”いま”~|ニールセン・カンパニー (Japan)

2020/04/21 11:36

新型コロナウイルス感染症が爆発的に拡大した欧州。
今回の記事では、感染拡大の最中の欧州市場の全体的な動向、国ごとの違い、日常生活に起こった変化と収束後も継続すると考えられる消費パターンを取り上げます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が欧州に影響を与える期間について、欧州内の消費者の意見は二分されています。
欧州29カ国を含む世界70以上の国と地域の消費者に対して行われたニールセンの最新調査から、ギリシャ、ロシア、フランス、スペインの消費者は3カ月以内にもとに戻るだろうと楽観的に構えているものの、ドイツ、オランダ、イギリス、トルコ、アイルランドの消費者は異なる見方をしているといえます。
これらの国では大多数は、影響が今後12カ月間は続くだろうと考えており、消費者や小売環境に見られた主な変化のいくつかも同様に継続するだろうとしています。

新型コロナウイルスの感染拡大は強制的に人々の日常生活を変えつつありますが、これら新しい消費行動のうちどれくらいが継続されていくかを想定することはとても大切です。
ポーランド、イタリア、フランス、アイルランドの消費者の多くは、スーパーマーケットに来店する必要性と頻度は少なくてもよいと感じ、オンラインで購入することを検討するようになっています。
さらに、感染の拡大により消費者マインドは大きく変化しており、小売企業やメーカーは、価格設定、プロモーション、店舗レイアウトなど全般にわたって優先順位を大幅に変更する必要に直面するでしょう。

自宅で過ごす時間の多いヨーロッパ人、オンラインショッピングの頻度が増える可能性

欧州の多くの地域では外出禁止などの措置が取られており、消費者がスーパーマーケットを訪れる頻度は感染拡大以前と比べ減っています。
先程述べたとおり、ポーランド、イタリア、フランスのショッパーは、スーパーマーケットでの購買より、可能な場合はこれまでよりもオンラインで購入したいとしています。
感染拡大以前と比較すると、欧州でのオンラインショッピングが大きく拡大したと考えられます。

感染拡大以前、実は欧州諸国の多くでオンラインショッピングの割合はそれほど高くありませんでした。
特に食品のオンラインショッピング普及率は高くなく、西欧の消費者の5人に1人未満、東欧の消費者の10人に1人未満がこれらのサービスを利用した経験がある程度に留まっていました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって強制的にオンラインを経験する契機になりました。欧州のeコマースプラットフォームの成熟レベルがまちまちであることを考慮しても、購買習慣の変化によりオンライン販売は目覚ましい成長を遂げていると言ってよいでしょう。

特に、イタリアとフランスではオンラインでの食料品購入が感染拡大の最中に急増しており、両市場ともスーパーマーケットでの購買が少なくなっていることも分かっています。
一方、オンラインショッピングの選択肢をほとんど提供していないハードディスカウントが優位のドイツ市場では、店頭での買い物が引き続き優勢です。


eコマースに対する前例のない需要により多くの小売企業が課題に直面していますが、このeコマースへのある意味強制的なシフトは、ニーズとメリットが一致した時、消費者がいかに容易に購買行動を変化させるかを明示していると言えるでしょう。

また、外食が制限されているため、より多くの消費者が自宅で料理をするようになっています。
ギリシャ、ドイツ、イギリス、オランダでは消費者のほぼ半数にとって自宅で食事をすることが以前から当たり前で、食事の方法を変更した消費者は比較して多くはありませんでした。
しかし、トルコ、イタリア、ポルトガル、スペインなどの消費者は、自宅での料理や食事の頻度を増やす結果となっており、食習慣や購買習慣に顕著な変化を起こしたことが分かります。

外食の割合が高い国の多いアジアでは、感染拡大防止措置が敷かれレストランが閉鎖したため、多くの消費者が外食からテイクアウトやデリバリーへとシフトしています。
しかし、欧州ではアジアとは異なり、家庭での食事をデリバリーやファーストフードに置き換えた消費者はほとんどいませんでした。
多くの消費者は自ら料理をするようになったのです。 


消費者は自宅で過ごしており、食料もストックされています。
メーカーと小売企業は、新たに生まれたこの「巣ごもり経済」を活性化させることで、ビジネスチャンス
に変える必要があります。
レシピの提案や食材キットの販売は、消費者が自宅で過ごす中、新しい習慣を身につけるのに役立つはずです。
これら新しい習慣の多くが、長期的に根付く可能性が高いと言えます。
多くの消費者が自宅での調理を継続するつもりだとしています。
欧州の大部分で多くの人がこれまでより料理をするようになっており、これから少なくとも数カ月の間、自宅での食事が人々の生活の中心となるはずです。

感染拡大収束後、消費者が食材を入手する方法が変化するのかについては、地域別に理解する必要がありますが、全般的に言って、欧州全体、特に英国、ドイツ、オランダ、ポーランド、ロシアでは、ショッパーの半数未満が以前と同じ購買習慣に戻るだろうとするに留まるという顕著な結果が出ています。

消費者は感染拡大以前の習慣のいくつかを取り戻すでしょうが、新しい習慣も継続して取り入れられるはずです。
例えば在宅勤務は、一部の人にとってより通常の形となる可能性があり、日常が刷新される可能性もあります。

ニールセン 西欧・中央・太平洋地域 代表 ヨハン・ショーストランドは「企業は、オンライン・オフラインのシームレスな購買体験の促進を加速し、自動サブスクリプションなどを取り入れて、消費者がオンラインショッピングに留まるよう促し、定期的な配送により消費者の家庭在庫補充をサポートする必要があるでしょう。
また、メーカーは、家庭での利用や調理が簡単になるような工夫をし、拡大した消費者の家庭生活が楽しくなるようサポートする必要があります。
感染拡大の影響が長期化するほど、より多くの新しい習慣が浸透していきます。
この状況に対して迅速に動く企業ほど、多くのビジネスチャンスを獲得できるはずです」と述べています。

情報源: 【ニュース】新型コロナウイルス海外での影響(13) ~欧州市場 感染拡大の長期化に備える消費者の ”いま”~|ニールセン・カンパニー (Japan)|note

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