変化を嫌う組織の中で、いかに新しい事業を育てるか──QUANTUM井上流、ビジネスデザイン「3つの定義」 | Biz/Zine

2018年9月6日開催
[公開日]2018年10月09日

日本の大企業は、未経験の分野の成果物を外に出すのが苦手なんです。…

大企業で新規事業を作るのが大変なのはなぜかというと、すべての仕組みが既存事業に最適化されているからです
そのような組織の中では、新規事業はイレギュラーなエラーみたいな存在です。

最初にやるべきことは、既存の仕組みをいきなり変えようとするのではなく、一点突破を目指すことです。
例えば、ある会社の一番大きな障壁は、プロトタイプの段階で世に出すチャネルが一つもないことでした。
展示会に出したいと言っても、ウチのブランドでは出せないと言われるし、ユーザーテストをしたいというと、全部隠せと言われるのでテストもできない。

こういう時に「経営企画と話してプロトタイプを世に出す仕組みを作りましょう」というアプローチを選ぶとすごく時間がかかりますが、我々がよくやるのは、関連部署を巻き込んで出してしまうことです。
正攻法で経営企画のような部署と正面から調整しようとすると難しくても、個別に論点を絞って法務や広報から言質を取って世に出してしまう。
出せば大きな反響があります。
そのように一点突破をすることは、大企業では非常に重要です。
つまり前例を作るということです。
例えばある企業のケースではプロトタイプをSXSWというアメリカの大きな展示会にQUANTUM名義で出展しました。
でも、そこにパートナーとしてその企業名も出したんです。
最初こそは「聞いてないぞ」と何人かから怒られましたが、その人たちも最終的には私たちと組んでくれて、次の年には10個のプロトタイプを出し、現在も独自にひとつのビルを借り切って出展し続けています。
つまり、きっかけさえあれば、会社は変わるのです。
このようにしてカルチャーを作って行くのが一点突破の目的です。

ですが、そこで終わると、ちょっとしたきっかけで止まってしまいます。
既存事業が主軸のほとんどの部署からすると、新規事業への取り組みは基本的には少々面倒な存在です。
そうならないように、早い段階で仕組み化するのが次のフェーズに必要なことです。
例えば、新規事業プログラムに鍵となる要素を組み込んでしまう。
あるフェーズのゴールそのものを「出展」に設定するといったイメージです。
そうすると、それはもうルールなので止められない。
このように既存の仕組みに入れることもあるし、新たに仕組みを作ることもありますが、最終的には全社の変革につなげていきます。

今回のイベントのテーマであるビジネスデザインについては、色々な定義があると思いますが、私がよくやっているのは次の3つをそれぞれ、領域を横断しながら行き来することです。

・ 素人発想・玄人実行:単純、素直、自由に発想する。
異言語間を翻訳し、プロの力を引き出し実行する
・ 鳥瞰・虫瞰:スケールするシナリオと仕組みを描く。
具体的なオペレーションを設計して障壁を取り除く
・ ユーザー目線・企業/経営視点:ユーザーと対話し愛されるプロダクトを作る。
企業の強みや資産をどう生かし、いかに経営に寄与するかを考える

情報源: 変化を嫌う組織の中で、いかに新しい事業を育てるか──QUANTUM井上流、ビジネスデザイン「3つの定義」 | Biz/Zine

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