VOICEjpでは、世界各国で暮らす日本人女性ネットワーク「ライフスタイル・リサーチャー」から日々届けられる情報をもとに、現在の社会情勢におけるライフスタイルの変化をお届けしています。
今回はコロナ禍における消費シーンに注目し、その中でも「新しい買い物スタイル」の事例をご紹介します。
不要不急の外出は回避され、なるべく非接触で暮らす新しい生活様式が推奨される中で、どのような買い物・消費スタイルが生まれたのでしょうか。
海外の事例から見えてきたのは、合理性を追求するアイデアだけではなく、人と会えないからこそ心のつながりを求める新しい買い物スタイルです。
多数の事例の中から特徴的なものをご紹介します。UK 生活必需品が詰まったスーパー発の「フードボックス」
大手スーパーマーケット発の「フードボックス」が大きな話題になりました。
Marks & Spencer(M&S)とMorrisons’はロックダウン中の自宅待機に必要な生活必需品を詰め合わせたフードボックスをそれぞれ発売。
即完売になるほどの人気を博しました。
M&Sのフードボックスは米やパスタ、缶詰など、比較的消費期限が長めの食品が中心。
一方、Morrison’sは開封するまで中身が分からない「ミステリーボックス」という売り方ですが、パンや牛乳、野菜など多くの消費者が普段購入するような食品を中心に取り揃えています。
どちらもオンライン販売限定で35ポンド。UK 郵便受けサイズでデリバリーされる食品に注目
イギリスではロックダウンの影響で、デリバリーの需要が急増。
特にグロサリー分野でその傾向が顕著です。
そんな中で話題となったのが、配達員と接触せずに郵便受けで安全に受け取れるデリバリーサービスです。
対応している商品は菓子、ワイン、生花、食洗器用洗剤など。
郵便受けサイズのワインのパッケージ「フラットボトル」を開発したロンドンのワイン会社「GarconWines」は、パッケージに100%リサイクルプラスチックを使用。
軽量というだけでなく、再配達が不要となるためコストや二酸化炭素量を抑え、環境にも優しいパッケージとして注目されています。
会えない家族や友人へのちょっとしたサプライズとして利用する消費者も多く、支持を集めています!DK リアルイベントをオンライン型に移行するサービスが台頭
デンマークでは、売上が大幅に減少していたイベント会社がオンラインイベント・サポートサービスを開始して息を吹き返しています。
自宅から参加するオンラインイベントの立ち上げから、使用するアイテムの配送、イベントのPRなどできるだけリアルに近づけるよう専門的な経験からサポートしています。
既にワインやビールの試飲会、パンを焼く会、バリスタ講座、お絵描き教室、講演会など様々なイベントを開催。
参加者はプラットホームで気になるイベントをチェックし、チケットを購入します(無料もあり)。
モノを使ったイベント(試飲会・試食会・ワークショップ・ゲームなど)も事前に配達しておくことで、オンラインでもリアルに近い共有体験が可能になっています。CN グループ購入やライブコマース(直販)に追い風
高齢者が主な顧客だった商店や市場が危機感を感じ、町内会単位のグループ販売を開始しています。
米、卵、油など誰もが使うものを数10世帯向けに一度に格安で販売する方法で、一部地域で定着しています。
また、動画ライブ配信アプリ「快手」(クアイショウ)を活用して、野菜を直販する農家も増えています。
大きな打撃を受けた地方の小規模農家なども、ライブコマースを使って生配信で食材の魅力を伝えて直販できるため、今後もこの販売方法は広がっていきそうです。IT 伝統慣習から派生した寄付のかたち「スペーザ・ソスペーザ」
ナポリでは伝統的に「カフェ・ソスペーゾ(保留のコーヒーという意味)」と呼ばれる制度があります。
これはバールで1杯のコーヒーを飲む時に、裕福な人は2杯分の代金を支払い、もう1杯分はコーヒー代を支払えない人のために使うというもの。
この伝統を活かして、「スペーザ・ソスペーザ(保留の買い物)」を行っているのが「Coldiretti」(※地産地消連合)です。
消費者から団体への寄付と農家による農産物の寄付により、新鮮な野菜や果物、チーズなどを貧しい人たちへ9,600Kg、ローマにある小児病院に入院している子どもの家族へ2,000kgが届けられました。
※生産者から直接を意味する団体で、特定の日に市場を開きそこで団体に加入している農家が直接消費者に販売。PICK UP!!
DE 「非接触」が後押しする自動車のオンライン販売
フォルクスワーゲンがオンラインで新型EVの「ID.3」の販売を始めると発表しました。
7/17から早期予約者の応募を受け付けており、9月から納車が始まるようです。
これまでは店頭での商談と試乗が当たり前とされてきましたが、どのようなオンライン体験を通じて購入に至るのか大変興味深いです。
TNCでは、一般でのオンライン購入が可能となった際に購入フローを確認し、その他メーカーの最新の動きとあわせてレポーティングの準備をしていますのでご期待ください。
情報源: VOICEjp