2021年8月3日 5:00
井戸美枝さんの投稿
ふるさと納税はお得だ。
ウナギにメロンにホタテ……今ごろ続々届く旬の特産品に舌鼓を打っている人も少なくないに違いない。
「2000円でこんなにしていただいて」。
思わず恐縮の念が湧く。【関連記事】ふるさと納税、北海道・紋別が全国2位 ホタテなど人気
2000円の自己負担でもらえる返礼品分だけお得
2000円とは正式には寄付金控除の下限適用額だが、いわば「ふるさと納税プロジェクト」への参加費のイメージ。
2000円だけ自己負担して全国の自治体から任意に選び寄付をする。
すると地元の特産品が返礼品として届くと同時に(返礼品がないケースもある)、翌年からは本来であれば居住地に支払う住民税からその分が減額される。
原資はいずれにしても払わなくてはならない住民税だから、支払い先を変えただけでもらえる返礼品の分だけお得になるロジックだ。
例えば年収500万円の独身、もしくは共働きの人であれば自己負担が2000円で済む寄付額の目安はざっくり6万円。
寄付金1万円の返礼品でホタテ1キロが「相場」だからホタテが6キロもやってくる。ホタテ好きもびっくりだ。2020年度の寄付額 過去最高の6725億円
7月30日に総務省が発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、2008年の制度開始以来13年目の昨年は件数・額ともに前年比1.4~1.5倍に急伸。
寄付額は6725億円と過去最高を更新した。
新型コロナウイルス禍の巣ごもりで高まった「おとりよせ消費」に対する関心が背景にある。お得度も増した。
本来なら料亭などで使われていた高級食材が返礼品市場に回ってきたことに加え、生産者支援を目的に農林水産省が返礼品調達費の半額を補助する制度を設けた。10人に9人は本来の意味で「活用」していない?
大々的なテレビCMなどもあり認知度は向上、利用者の裾野も広がっている半面、住民税の払い先を変えるという本来の制度の枠組みを活用している人は意外にまだ少数派だ。
同時に発表された昨年度の住民税の控除適用者数は約552万人。
一定以上の所得があって住民税を支払うべき納税義務者は日本に約5900万人もいるから、そのうちふるさと納税を行い、さらに住民税の控除手続きまで行っている人は全体の9%強、つまり10人に1人しかない。
残りの10人に9人は住民税の控除というふるさと納税本来のメリットを活用していないのが現状だ。どういうことだろう?
もちろん中にはあえて「寄付はするが住民税の支払い先は変えない」という選択をするために、あえて確定申告などの手続きをしない人もいるだろう。
ただ、そうなると経済的にはシンプルな寄付と同じ。
むしろ誤解、もしくは手続きミスをしている人の方が多そうだ。