ふるさと納税、旅先でクーポン取得も – 日本経済新聞

2023年3月19日 5:00

春の行楽シーズンや5月の大型連休に向けて国内旅行を計画している人もいるだろう。
旅行先の自治体に寄付する「ふるさと納税」の返礼品を活用して費用を抑える方法がある。
最近ではスマートフォンで旅行中に寄付をし、即時に返礼品を使えるサービスもある。
ふるさと納税を旅行に活用する方法や注意点をまとめた。

神奈川県に住む30代の男性会社員は2022年10月に京都へ家族旅行した際、約3万円の宿泊費を京都市へのふるさと納税の返礼品でまかなった。
使ったのはアイモバイルのふるさと納税サイトの「ふるなびトラベル」。
寄付した自治体内の宿泊施設や飲食店、レジャー施設などで使えるポイントを返礼品として受け取り、そのポイントで支払った。
「ポイントには有効期限がなく、複数年でためた分を有効活用できた」という。

ふるさと納税は、収入や家族構成などで決まる上限までなら地方自治体への寄付額から2000円を引いた全額が所得税や住民税から控除される制度。
住んでいる自治体以外への寄付なら、一般的に寄付額の3割以下相当の農作物や水産物といった特産物を返礼品として受け取れる。
最近、注目を集めているのが旅行費用に充てられる返礼品だ。
寄付者が自治体を訪れるきっかけになれば単に特産品を送るよりも地域に与える経済効果が大きい。

旅行で使える返礼品にはいくつかの種類がある。
代表例は自治体が独自に取り扱う、地元の店舗や施設で使えるクーポンだ。
特定の宿泊施設やレジャー施設、店舗のみで使える「優待券」や「食事券」、複数の施設で利用可能な「応援感謝券」などがある。
通常は紙製で、自治体が指定する店舗や施設で金券のように使える。

最近はスマホやパソコンで手続きして使える電子クーポンやポイントも広がっている。
手続き後、比較的短期間で利用できるのが最大の利点だ。
紙製のクーポンは寄付者に届くまでに時間がかかる。
旅行に間に合うよう計画的な寄付が必要で、紛失しないように管理したり、旅行時に持参したりと手間もかかる。
自治体側にも印刷や発送、使用済みクーポンの回収などにコストもかかる。

電子クーポンやポイントの返礼品には特定の旅行会社で予約や支払いに使えるものと、現地での支払時に使えるものがある。
楽天グループは21年9月から楽天トラベルで宿泊施設の予約時に使える「楽天トラベルクーポン返礼品」の取り扱いを始めた。
寄付の1〜3日後に楽天会員専用のサイトで受け取り、登録宿泊施設のおよそ半数の約1万8800軒以上で使える。
JTBの「ふるぽ」では寄付後すぐに使えるネット専用のものや、店舗などで幅広く使えるものなど複数から選べる。

現地での支払いに使えるタイプは基本的に寄付直後から利用でき、コード決済のようにスマホでQRコードを読み取ったり読み取らせたりするタイプが目立つ。
ふるさとチョイスを運営するトラストバンクの「チョイスPay」は寄付額の3割相当のポイントをスマホアプリで受け取る。
1ポイント=1円として使える。自治体内の施設のほか、アンテナショップや百貨店などの物産展でも利用できる。
チョイスPay推進室開発企画総責任者の富永佳奈子氏は「自治体のファンになってもらい、現地を訪れるきっかけにもなる」と語る。

丸紅が22年12月から始めた「ふるさtoらべる」はQRコードでクーポンを受け取り、旅館などの施設で使う。
他のふるさと納税サイトと違い「会員登録不要で手続きの手間が少なく使いやすい」(国内事業推進課長の奥原聡一朗氏)。
コード決済のPayPay(ペイペイ)と連携するのは「さとふる」。
寄付額に応じてPayPayアプリで「PayPay商品券」が使える。
PayPay加盟店のうち、寄付した自治体が指定した店舗や施設で使える。

各社のサービスでは寄付先が5自治体以内なら確定申告せずに控除を受けられるワンストップ特例制度も使える。
一方、自治体が発行する寄付金受領証明書の代わりにふるさと納税サイトが発行し確定申告に使える「寄付金控除に関する証明書」には対応しない企業もある。
確定申告で慌てないように確認しておきたい。

返礼品のクーポンやポイントの大部分は有効期限があり、自治体ごとに異なる場合もある。
自己負担額を2000円に抑えて最大限に寄付したいなら、自身の限度額を超えないよう注意も必要だ。有効期限や寄付した総額は常に把握しておこう。
(藤井良憲)

情報源: ふるさと納税、旅行に活用 旅先でクーポン取得も – 日本経済新聞

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