なぜ火鍋専門店にロボットだったのか パナソニック津賀社長が語った「くらしアップデート」とは | ロボスタ

「パナソニックは、くらしアップデート業」だと述べた。これは「アップグレード」とは違うという。いま、ものづくりは多様なニーズに対応するマスカスタマイゼーションにシフトしようとしている。ただしこれは人の好みが急に多様になったのではなく、人はもともと多様であり、現在は一人一人の多様性が解放されている時代なのだと見ているという。以前のメーカーはそもそも一人一人のニーズに対応するという概念自体を持つことができなかった。だが、一人一人の価値観が解放されているいま、今日、明日という時間は一人一人異なり、日々更新されることは違う。時にはダウングレードが必要な場合もある。だからグレードという軸ではなく「あくまで、その時に合わせて更新していくのでアップデート」なのだという。

「パナソニックは、くらしアップデート業」

巨大火鍋レストランチェーン「海底撈」でのロボット活用

では「くらしアップデート」をパナソニックはいかに展開しているのか。津賀氏は二つ事例を紹介した。一つ目は建築現場の飯場のアップデートだ。パナソニックと中国企業Glodon、LDGroupの技術を組み合わせることで、ハードな環境にある建築現場でも快適で、しかも繰り返し使用ができるプレハブハウスを作ることができたという。災害時の住宅としても使える。

新しい建築現場用住宅

もう一つにはロボットが直接関係している。パナソニックと中国の火鍋専門大手・海底撈(Haidilao)インターナショナルホールディングスは新会社を設立し、北京のスマートレストラン店舗にロボットやRFIDを活用した「自動おかず倉庫」を導入している。海底撈は中国で363店舗を展開し、従業員5万人に達する大手だ。日本人からすると「なぜ火鍋からなのか?」と疑問に感じるが、中国では外食産業のうちなんと11%が火鍋なのだという。なお海底撈は日本にも出店している。

中国の火鍋専門大手・海底撈(Haidilao)チェーン。スープの味や具を選ぶことができる

システムは客がタブレットで注文した内容の具材を、バックヤードで稼働するロボットがトレーから出してくるというものだ。ロボット化することで人員を半分にできるだけではなく、食品の安全性が確保できる。

注文はタブレット

自動おかず倉庫

海底撈には3000万人の会員がいる。客はスープや具材を自分好みにカスタマイズしている。今回の店舗は1件目だが、今後は店舗内で集めたデータを活用し、よりパーソナライズされた食事を提供することが可能になる。


さらなるロボット活用も

使用者の手に渡ったあとも発展し続ける製品・サービス


「あえての未完成品」は顧客の手元で完成する

この取り組みについて津賀氏は「とにかく始めてみる」と語った。以前は生活者をマスと捉えてアップグレードを基本としていたが、今は求められるものをアップデートしていく時代であり、「あえての未完成品」でも世の中に出していく時代だという。不良品を出すという意味ではない。「使う人の手に渡った後も成長する余白をもった製品」だ。

火鍋にしても、顧客と繋がることで後から一歩ずつベストな味にカスタマイズできるのだ。つまり「完成品にするのは企業ではなく顧客」なのであり、「店が秘伝のたれを押し付けるのではなく顧客が作る」のだ。それをサポートするのがロボットや運用システムだというわけだ。

これを家に展開しようとしている取り組みが「HomeX」である。これは客が何を求めているのかを「知るための情報基盤」であり、「新たな提案をするための情報を導き出す」ものだという。

使用する人に合わせて更新され進化していく時代


「人の幸福から離れて生き残る会社はない」という

人にぴったり合ったサービスが提供されることで、それは初めて価値になる。最新家電にしても新製品が出た途端に旧機種になるのではなく、「使用する人に合わせて進化していく時代になる。サービスは更新され続けるようになる」と続けた。完成させるのは、それを使用する人でなければならない。常時顧客と繋がっていることで志向性やタイミングをかけあわせることで「新たな体験価値を提供できるようになる」という。

つまり、パナソニックが「良い」と思ったモノやサービスを一方的に提供するだけではなく、カスタムされ続け、更新され続けることを前提としたものづくりが今後は必要になるという。

なお津賀氏の基調講演はYoutube上で公開されている。さらに詳しく知りたい方は、動画をご覧になることをおすすめする。

情報源: なぜ火鍋専門店にロボットだったのか パナソニック津賀社長が語った「くらしアップデート」とは | ロボスタ

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