「イシューからはじめよ」安宅和人(2010)

「イシューからはじめよ ― 知的生産のシンプルな本質」

「何に答えを出すべきなのか」についてブレることなく活動に取り組むことがカギ

「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

常識を捨てる

「問題を解く」より「問題を見極める」
「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」
「知れば知るほど智恵が湧く」より「知り過ぎるとバカになる」
「1つひとつを早くやる」より「やることを削る」
「数字のケタ数にこだわる」より「答えが出せるかにこだわる」

「生産性」の定義は … 「どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか」ということ

プロフェッショナルにとって、バリューのある仕事とは何か?

バリューの本質は2つの軸から成り立っている
ひとつめが、「イシュー度」であり、2つめが「解の質」

issueの定義
A)a matter that is in dispute between two or more parties
2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B)a vital or unsettled matter
根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」 … 「課題の質」
「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」

踏み込んではならない「犬の道」

絶対にやってはならないのが「一心不乱に大量の仕事をして右上に行こうとする」こと
「労働量によって上に生き、左回りで右上に到達しよう」というこのアプローチを … 「犬の道」と呼んでいる

採るべきアプローチは … まず … 「イシュー度」を上げ、そののちに … 「解の質」を上げていく
「犬の道」とは反対のアプローチを採ること
まず、徹底してビジネス・研究活動の対象を意味のあること … 「イシュー度」の高い問題に絞る

「自分が思いついた問題のなかで、本当に今答えを出す価値のあるものは何でしょうか」
次に、絞り込まれたなかで特に「イシュー度」の高い問題から手をつける
「解きやすさ」「取り組みやすさ」といった要因に惑わされてはならない
「イシュー度」の高い問題からはじめる

月曜
イシュードリブン 今本当に答えを出すべき問題=「イシュー」を見極める
火曜
仮説ドリブン① イシューを解けるところまで小さく砕き、それに基づいてストーリーの流れを整理する
仮説ドリブン② ストーリーを検証するために必要なアウトプットのイメージを描き、分析を設計する
水・木曜
アウトプットドリブン ストーリーの骨格を踏まえつつ、段取りよく検証する
金曜
メッセージドリブン 論拠と構造を磨きつつ、報告書や論文をまとめる

一次情報をつかむ
「自分なりに感じる」

脳は脳自身が「意味がある」と思うことしか認知できない
「意味がある」と思うかどうかは、「そのようなことが意味をもつ場所にどのくらい遭遇してきたか」によって決まる

いろいろな検討をはじめるのではなく、いきなり「イシュー(の見極め)からはじめる」ことが極意だ
「何に結論を出す必要があるのか」という議論からはじめ、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計していく

イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか」「説得力あるかたちで検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」という判断が必要

仮説を立てる
「スタンス」をとることが肝要

イシューに答えを出す
「○○の市場規模はどうなっていいるか?」
「○○の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」

何はともあれ「言葉」にする
「言葉にすることを徹底しよう」
「言葉に落とすことに病的なまでにこだわろう」

人間は言葉にしない限り概念をまとめることができない
「絵」や「図」はイメージをつかむためには有用だが、概念をきっちりと定義するのは言葉にしかできない技だ
言葉(数式・化学式を含む)は … 数千年にわたって人間がつくりあげ磨き込んできた、現在のところもっともバグの少ない思考の表現ツールだ

言葉で表現するときのポイント
▶ 「主語」と「動詞」を入れる
▶ 「WHY」より「WHERE」「WHAT」「HOW」
WHYには仮説がなく … 何について白黒をはっきりさせようとしているのかが明確になっていない
「答えを出す」という視点で課題を整理する
▶ 比較表現を入れる
「テコ入れすべきは、処理能力のようなハードスペックではなく、むしろ操作性」
何に答えを出そうとしているのかが明確になる

よいイシューの3条件
よいイシューは、自分やチームを奮い立たせることができる
検証されたあかつきには受け手をうならせる

▶ 1 本質的な選択肢である
答えが出ると、そこから先の方向性に大きく影響を与える
=答えを出す必要がある

▶ 2 深い仮説がある
「常識を覆すような洞察」がある
「新しい構造」で世の中を説明している
=答えを出す必要がある

▶ 3 答えを出せる
現在の自分の技術・状況で答えを出すことができる

▶ 1 本質的な選択肢である
イシューは動く標的
イシューとは、「今、答えを出さなければならないこと」

「これがイシューだ」と思ったら、そのイシューの主語を確認してみる
「誰にとって」という主語を変えても成り立つものは、まだイシューとしての見極めが甘い

食物として取り入れられた炭水化物は細胞内で分解され、最終的には水と二酸化炭素になるが、その際いわゆる「燃えて」放出されるエネルギーのかなりがATP(アデノシン三リン酸)のリン酸結合として取り込まれる
これが呼吸の本質

▶ 2 深い仮説がある
常識を否定する
「直感に反したもの」を探す

「新しい構造」で説明する
人は見慣れたものに対して、これまでにない理解を得ると真に大きな衝撃を感じる

「人が何かを理解する」というのは、「2つ以上の異なる既知の情報に新しいつながりを発見する」こと
・共通性の発見
2つ以上のものに、何らかの共通なことが見えると、人は急に何かを理解したと感じる
腕の構造から翼の構造について洞察できれば進化の比較軸として利用できる
・関係性の発見
完全な全体像がわからなくとも、複数の現象間に関係があることがわかれば人は何か理解したと感じる
ポールとジョンが同じ、ジョンとリッチが反対の行動をしているとわかればポールの行動から、リッチの行動を推測できる
・グルーピングの発見
検討対象を何らかのグループに分ける方法を発見することで、これまで一つに見えていたもの、あるいは無数に見えていたものが判断できる数の固まりとして見ることができるようになり、洞察が深まる
何らかの軸で切り分けたグループに違う動きがあれば、それまでとは違う洞察を得ることができる
・ルールの発見
2つ以上のものに何らかの普遍的なしくみ・数量的な関係があることがわかると、人は理解したと感じる
2つ以上のものに普遍的なしくみ・数量的な関係があることがわかれば、深い洞察を得ることができる

「科学が役に立つのは先を見て推理を働かせる道具になるからだ」

▶ 3 答えを出せる
どれほどカギとなる問いであっても、「答えを出せないもの」はよいイシューとは言えない
「答えを出せる範囲でもっともインパクトのある問い」こそが意味のあるイシューとなる

値づけ(プライシング)の問題
「3~8社くらいまでの企業数で市場の大半を占めている場合(実際にはほとんどの市場がそうだ)、商品の値づけはどうすべきか」

「今、本当に答えを出すべき問題であり、かつ答えを出せる問題=イシュー」

イシュー見極め … 理想は … 誰もが「答えを出すべきだ」と感じていても「手がつけようがない」と思っている問題に対し、「自分の手法ならば答えを出せる」と感じる「死角的なイシュー」を発見すること

自分だけがもつ視点で答えを出せる可能性がないか、そいう気持ちを常に持っておくべき

事業分野を超えた経験がものをいうのは、多くがこの「自分だけの視点」をもてるため

イシュー特定のための情報収集

コツ① 一次情報に触れる
コツ② 基本情報をスキャンする

▶ 数字
1 業界内における競争関係
市場成長・動向、エコノミクス、現在のKFS、ポジショニングなど
2 新規参入者
参入障壁、コスト優位性、想定される反応
3 代替品
相対価格、スイッチコスト、顧客の感度
4 事業の下流
顧客、ユーザー、サービサー、流通、物流、価格感受性、寡占度
5 事業の上流
サプライヤー、サプライチェーン、寡占状況、コスト
6 技術・イノベーション
7 法制・規制

事業全体 「規模感」「シェア」「営業利益率」「(それらの)変化率」
小売 「対競合視点での1日当たりの売上高」「在庫回転率」「客単価」
「この数字を知らずして議論しても仕方ない」ということ大局的に押さえる

▶ 問題意識
歴史的背景 … 分野・業界・事業の常識
課題領域 … 一般的な通念、これまでの検討の有無、内容とその結果

「これを知らないとその分野の人との会話が成り立たない」ということを一通りカバーする

▶ フレームワーク
検討している問題が既存の枠組み … フレームワークの中でどう位置づけられ、説明されているのかを理解する
・ 総説・レビュー
・ 雑誌・専門誌の特集記事
・ アナリストレポート/アニュアルレポート
・ テーマに関連する書籍
・ 教科書的な書籍の該当ページ

コツ③ 集めすぎない・知りすぎない
意図的にざっくりとやる … 「やりすぎない」ということ

▶ 集めすぎ
情報収集にかけた努力・手間とその結果得られる情報量にはあるところまで正の相関があるが、そこを過ぎると途端に新しい取り込みのスピードが鈍ってくる

▶ 知りすぎ
ある情報量までは急速に知恵が湧く
ある量を越すと急速に生み出される知恵が減り、もっとも大切な「自分ならではの視点」がゼロに近づいていく
「知識」の増大は、必ずしも「知恵」の増大にはつながらない

イシュー特定の5つのアプローチ

アプローチ① 変数を削る
いくつかの要素を固定して、考えるべき要素を削り、見極めのポイントを整理する

アプローチ② 視覚化する
問題の構造を視覚化・図示化し、答えを出すべきポイントを整理する

人間は目で考える動物だ
かたちが見えると急速にその対象について何かがわかったと感じることが多い

アプローチ③ 最終形からたどる
すべての課題が解決したときを想定し、現在見えている姿からギャップを整理する

イシューの広がりを整理するときには、「最後に何がほしいのか」ということから考えることも有用

自分の事業の3~5年間の中長期計画を考えようとするのであれば、「目指す姿とそこにたどり着く道のあり方」を設計することが「最後にほしいもの」となる

「目指すべき姿」は何がわかれば決められるのか
1 現在の事業の状況(市場視点・競合視点)
2 事業はどのような姿を目指すべきか
3 3~5年後の目的関数をどう置くか(相対的地位を守るか、市場を活性化するかなど)
4 そのときの強み、自社らしい勝ちパターンをどう考えるか
5 それは数値的にどう表現できるか

アプローチ④ 「So What?」を繰り返す
「So What?=だから何?」という問いかけを繰り返し、仮説を深める

1 「地球温暖化は間違い」
2 「地球温暖化は世界一律に起こっているとは言えない」
3 「地球温暖化は北半球の一部だけで起こっている現象である」
4 「地球温暖化の根拠とされるデータは、北米やヨーロッパのものが中心であり、地点に恣意的な偏りがある」
5 「地球温暖化を主張する人たちのデータは、北米やヨーロッパの地点の偏りに加え、データの取得方法もしくは処理に公正さを欠いている」

アプローチ⑤ 極端な事例を考える
極端な事例をいくつか考えることでカギとなるイシューを探る

イシュー分析とは何か
解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が「ストーリーライン」づくりとそれに基づく「絵コンテ」づくり
この2つを … 「イシュー分析」という
イシューの構造を明らかにし … なかに潜むサブイシューを洗い出すとともにそれに沿った分析のイメージづくりを行う過程
最終的に何を生み出すのか、何を伝えることがカギとなるのか、そのためにどの分析がカギとなるのか、つまりは活動の全体像が明確になる

ストーリーラインづくり
・ イシューを分析する
そのままでは答えが出せない大きなイシューを解けるサイズまで分解する
・ ストーリーラインを組み立てる
分解したイシューとそれぞれに対する仮説に基づき、イシュー全体を検証するためのストーリーラインを組み立てる

絵コンテづくり
ストーリーラインの個々のサブイシューに対して必要な分析・検証のイメージをまとめる

ストーリーラインづくりについて
イシュー起点でストーリーを組み立てる
「日本の大学の財源問題」
「現在、国内の大学が行っている統廃合やコスト削減は財源問題の解決策となるか」
1 日本の大学は主要大学であっても、根本的に資金が足りていない
2 日本の主要大学と海外のトップ大学との違いは、(一般的に言われるような)学費や事業収入によるものではなく、巨額の投資収入・国からの助成等の構造的な収入構成による
3 投資・助成いずれにおいても、海外トップ大学は日本の大学とはまったく異なるレベルの資金規模とそれを取り込むしくみをもっており、それは簡単に追いつけるものではない
4 以上を踏まえると、現在日本の大学が行う業務改善や統廃合といった方法では、世界のトップ大学に伍す大学運営が実現できるとは考えにくい
5 海外のトップ大学並みの経済基盤をつくろうとすれば、大学の自主財源確保と国からの助成のケタ違いの増額を目標として設定し、そこに向けたロードマップを描くべき

劇的に生産性を高めるには「このイシューとそれに対する仮説が正しいとすると、どんな論理と分析によって検証できるか」と最終的な姿から前倒しで考える

ストーリーラインづくりのなかにも2つの作業がある
ひとつは「イシューを分解すること」
もうひとつが「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てること」

イシューを分解するときには「ダブりもモレもなく」砕くこと
「本質的に意味のある固まりで」砕くこと

「ある商品の売上をテコ入れしたい」という課題について検討している
「売上」を分解しようとする
「個数×単価」
「市場×シェア」
「ユーザー数×ユーザーあたりの売上」
「首都圏売上+関西売上+他地域売上」など

「事業コンセプト」の分解
「新規事業コンセプトの有望なアイデアを検討する」というプロジェクトの場合 … このまま仮説を出してイシューを磨こうとしても曖昧な仮説しか立てられない

「事業コンセプトとは何か」
・ 何について考えると事業機会について考えたことになるか(=事業の核となるコンセプトに必要なものは何か)

1 狙うべき市場ニーズ(WHERE)
どのような市場の固まり・ニーズを狙うのか
・ どのようなセグメントに分かれ、どのような動きがあるか
ニーズ視点でのセグメンテーション・セグメントごとの規模と成長度
・ 時代的に留意すべきことはあるか
不連続的な変化の有無と内容、ユーザーのスイッチトレンドの有無と内容、国内外先端事例からの気づき
・ 具体的にどの市場ニーズを狙うべきか
取り得るオプション、競争視点からの評価・自社の強み、取り組みやすさからの評価

2 事業モデル(WHAT&HOW)
どのような事業のしくみで価値提供を行い、事業を継続的に成り立たせるか
・ バリューチェーン上の立ち位置はどこに置くか
・ どこで顧客を引き寄せるか
・ どこで儲けるか(収益の源泉)

事業コンセプト=狙うべき市場ニーズ×事業モデル
事業コンセプトをこの2つの要素の掛け算と考えると … それぞれを独立したものとして扱うことができる

「市場ニーズ」のイシューは「どのような市場の固まり・ニーズを狙うのか」
「事業モデル」のイシューは「どのような事業のしくみで価値提供を行い、事業を継続的に成り立たせるか」

イシューを分析する「型」
事業単位の戦略立案時に使う「WHERE・WHAT・HOW」と呼ばれる型
・ WHERE … どのような領域を狙うべきか
・ WHAT … 具体的にどのような勝ちパターンを築くべきか
・ HOW … 具体的な取り組みをどのように実現していくべきか

事業戦略の定義
・ 市場を含む事業環境の構造的な理解に基づき
・ 自社の強みを生かした継続性のある勝ちパターンを明確にし
・ 一貫したビジネスの取り組みとしてまとめたもの

脳神経科学 … 領域内の分類
・ 生理学的(機能)
・ 解剖学的(形態)
・ 分子細胞生物学的(しくみ)

「電子商品券」という商品を開発しなければならない
まだ現実にはない商品なので、商品を構成する要素 … 枠組み自体がはっきりしない
こうした場合には … 「最後にほしいもの」から考えてみる
商品開発が課題であるこのケースでは、「最後にほしいもの」は「核となる商品コンセプト」
1 いつ・誰が・どのような場面で使うものなのか
 なぜこれが既存の支払い手段より役立つことがあるのか
2 どのようなコストとフィーが発生し、どう役割分断するのか
 どう採算をあわせるのかという「エコノミクスの枠組み」
 クレジットカードの場合であれば「カード発行会社」「利用店舗増とメンテナンスをする会社」「電子的情報処理を行う会社」という3社
 機能を洗い出した上で、それぞれの機能をどの会社が担うのかを決める
3 この枠組みに基づき、どのようにシステムを構築し、どのように運用するか
 「ITシステム」の検討も不可欠
4 この電子商品券をどんな名前にして(ネーミング)、既存ブランドとどう関係づけるのか(ブランディング)
 ロゴや基本デザインをどうするのか(デザインシステム構築)
 全体をどのようにプロモートしていくのか(プロモーション)
5 使用店舗と発行場所の確定と拡大の目標を設計し、推進する「戦略的提携」
6 導入店へのオペレーションと本部のメンテナンス・サポート機能を整備する「店舗支援業務の設計」

イシューを分解する効用
イシューを分解し、課題の広がりを整理することには … 2つの効用がある
1 課題の全体像が見えやすくなる
2 サブイシューのうち取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる

分解してそれぞれに仮説を立てる

仮説はイシューを分解した後でも非常に大切
イシューを分解して見えてきたサブイシューについてもスタンスをとって仮説を立てる
見立て(仮説のベースとなる考え)があれば … 超したことはないが、なくても強引にスタンスをとる
あいまいさを排し、メッセージをすっきりさせるほど、必要な分析のイメージが明確になる
全体のイシューを見極めるときと同様 … 「フタを開けてみないとわからない」とは決して言わない

「この先市場がどうなるか」
「どういう視点でそのサブイシューが問題だと思っているのか」
・ 技術革新の影響を問題視している
・ 新規参入者が競争環境を揺さぶると考えている
・ 規模的な展望が一般に言われているものとは違うと想定している

MECE
「ダブりなくモレなく」という考え方のこと

フレームワーク
汎用性の高い「考え方の枠組み」のこと

「事業」を中心とした検討であれば「3C(顧客・競合・自社)」と言われるフレームワークからはじめる

サブイシューを洗い出す際には「何がわかればこの意思決定ができるか」という視点で見る
モノづくりにおける「設計・調達・製造・出荷前テスト」のように順に起こるものであれば、時系列に沿って要素を洗い出す

ビジネスシステム
技術開発>商品開発>調達・製造>マーケティング>販売
機能視点で見た要素の整理

戦略的トライアングル(3C)
顧客・競合・自社
事業戦略立案の基本となる要素(プレーヤー)

バリューデリバリーシステム
価値の選択>価値の創造>価値の伝達
マーケティング視点で再定義したビジネスシステム

7S
Shared value、Strategy、Structure、Staff、Skill、Style、System
組織の検討・設計におけるコア要素

ストーリーラインを組み立てる
1 必要な問題意識・前提となる知識の共有
2 カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
3 それぞれのサブイシューについての検討結果
4 それらを総合した意味合いの整理

ストーリーラインが必要となる理由は2つある
1 分解されたイシューとサブイシューについての仮説だけでは論文やプレゼンにはならない
2 ストーリーの流れによって、以後に必要となる分析の表現方法が変わってくることが多い

事業コンセプトのストーリー

▶ 問題の構造
 解くべき問題は「担うべき市場ニーズ」「事業モデル」という2つの掛け算

▶ 担うべき市場ニーズ
・ ニーズの広がり
・ 時代のトレンド、不連続的な変化が起きている(トレンド・競争環境)
・ 自社の強みが生きるセグメントは?

▶ 事業モデル
・ この分野で取り得る事業モデルは5つ(取り得るモデルの広がり)
・ 収益のあげやすさ、自分たちの強みの生かしやすさから見ると、取るべきモデルはAもしくはB(適性度の高いモデル)
・ モデルA・Bでそれぞれのカギとなる成立条件は?

▶ 事業コンセプトの方向性
・ 担うべき市場ニーズと担うべき事業モデルを掛け合わせると、有望な事業コンセプトは次の4つ(有望なコンセプト)
・ それぞれのコンセプトの具体的なイメージは?

ストーリーライン2つの型
▶ 1 「WHYの並び立て」
 最終的に言いたいメッセージについて、理由や具体的なやり方を「並列的に立てる」ことでメッセージをサポートする

「案件Aに投資すべきだ」と言いたい場合 … 3つの視点が必要になり、それぞれの「WHY」を並べ立てる
1 「なぜ、案件Aに魅力があるのか」
 市場あるいは技術観点での展望・成長性、経済的な想定リターン、相場から見たお買い得度、不連続的な経営リスクの有無とレベル感など

2 「なぜ、案件Aを手がけるべきなのか」
 関連事業におけるその案件のもたらす価値、スキル・アセット・スケール、あるいはその他の競合優位性、参入障壁の生み出しやすさなど

3 「なぜ、案件Aを手がけることができるのか」
 投資規模、投資後のハンドリングの現実性など

▶ 2 空・海・傘
・ 「空」
 ○○が問題だ(課題の確認)

・ 「雨」
 この問題を解くには、ここを見極めなければならない(課題の深堀り)

・ 「傘」
 そうだとすると、こうしよう(結論)

絵コンテとは何か
イシューが見え … 検証するためのストーリーラインもできれば、次は分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をデザインしていく
この分析イメージづくりの作業
ストーリーラインの個々のサブイシューに対して必要な分析・検証のイメージをまとめる

イシューを分解して並べたストーリーラインに沿って、必要な分析のイメージを並べていったもの
何枚でも必要なだけ作る

決まったフォーマットを使って進める
紙を縦に割って課題領域、サブイシュー(ストーリーライン上の仮説)、分析イメージ、分析手法や情報源をまとめていく

現状認識、日本の大学は主要大学であっても根本的に資金が足りていない、学生一人あたりの予算比較、各項のアニュアルレポート/ホームページ/記事検索

絵コンテづくりで大切な心がまえは「大胆に思い切って描く」ということ
「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる

軸を整理する
分析の本質
絵コンテづくりの第一歩は … 軸を整理すること
「軸」とは、分析のタテとヨコの広がり
単に「○○について調べる」ではなく「どのような軸でどのような値をどのように比較するか」ということ具体的に設計する

「分析とは何か?」
「分析とは比較、すなわち比べること」
分析と言われるものに共通するのは、フェアに対象同士を比べ、その違いを見ること

「比較」が言葉に信頼を与え、「比較」が論理を成り立たせ、「比較」がイシューに答えを出す
優れた分析はタテ軸、ヨコ軸の広がり … 「比較」の軸が明確だ

分析では適切な「比較の軸」がカギとなる

定量分析の3つの型
比較というものは3つの種類しかない
1 比較
2 構成
3 変化

▶ 比較
「分析の本質は比較」
同じ量・長さ・重さ・強さなど、何らかの共通軸で2つ以上の値を比べる

▶ 構成
構成は、全体と部分を比較すること
市場シェア・コスト比率・体脂肪率など、全体に対する部分の比較によってはじめて意味を成す概念は多い
「何を全体として考えて、何を抽出した議論をするか」という意味合いを考えることが構成における軸の整理

▶ 変化
変化は、同じものを時間軸上で比較すること
売上の推移・体重の推移・ドル円レートの推移など
何らかの現象の事前・事後の分析はすべて変化の応用

原因と結果から軸を考える
分析は「原因側」と「結果側」の掛け算で表現される
比較する条件が原因側で、それを評価する値が結果側となる

イメージを具体化する
数字が入ったイメージをつくる

意味合いを表現する
分析における意味合いとは何だろうか?
「比べた結果、違いがあるかどうか」に尽きる
「比較による結果の違い」が明確に表現できていることが「意味合い」を表現するポイントになる

1 差がある
2 変化がある
3 パターンがある

方法を明示する
どうやってデータを取るか

「どんな分析手法を使ってどんな比較を実現するか」「どんな情報源(データソース)から情報を得るのか」ということを分析イメージの右側に描いていく

科学の世界では大きな発見の前には大きな手法の開発があることが多い
大きな壁を突破するためにこれまでにない無理をし、新しい方法を開発した結果が大きな進展につながる

知覚の特徴から見た分析の本質
なぜ、分析を比較の視点で設計し、イシューやサブイシューに答えを出すことが効果的なのか

1 閾値を超えない入力は意味を生まない
 あるレベルを越さない信号は意味をもたない
 「全か無の法則」
 匂いであろうが音であろうが、ある強さを超えると急に感じられるようになり、あるレベルを割り込むと急に感じられなくなる

2 不連続な差しか認知できない
 不連続な差しか認識されない
 脳は「なだらかな違い」を認識することができず、何らかの「異質、あるいは不連続な差分」だけを認識する
 脳は「異質な差分」を強調して情報処理するように進化してきており … これが、分析の設計において明確が対比が必要な理由でもある
 明確な対比で差分を明確にすればするほど脳の認知の度合いは高まる
 分析の本質が比較というよりは … 私たちの脳にとって認知を高める方法が比較なのだ
 これを「分析的な思考」と呼んでいる
 これに関連した留意点としては、分析イメージを設計する際には同じような分析の型が続かないようにすることが重要
 私たちの脳は異質な差分しか認識しない
 同じかたちのグラフやチャートが続くと、2枚目以降に関しては認知する能力が格段に落ちる

3 理解するとは情報をつなぐこと
 「理解」とは2つ以上の情報がつながること
 そうしてある種の説明は心理的な壁がない場合理解されないのか、ということがわかる
 基地の情報とつなぎようのない情報を提供しても、相手は理解のしようがない
 分析における比較の軸は複数の情報をつなぎ合わせるヨコ糸でありタテ糸となる
 同じ基準から異なるものを見ることによって情報と情報の「つなぎ」が発生しやすくなり、理解が進む

4 情報をつなぎ続けることが記憶に変わる
 「つなぎ」が起こらないと記憶は消える
 「理解することの本質は既知の2つ以上の情報がつながること」
 シナプスに由来する特性として「つなぎを何度も使うとつながりが強くなる」 … 「ヘップ則」
 「なるほど!」という場面を繰り返し経験していると、その情報を忘れなくなる

きちんと意味のあることを相手に覚えてもらおうと思うなら、オウムのように同じ言葉を繰り返してもダメだ
情報が実際につながる「理解の経験」を繰り返さなければ、相手の頭には残らない

間違った広告・マーケティング活動は枚挙にいとまがない
受け手の既知の情報と新しい情報をつなげる工夫こそが大切だ

アウトプットを生み出すとは
僕たちがやっているのは「限られた時間で、いかに本当にバリュー(価値)のあるアウトプットを効率的に生み出すか」というゲームだ
どれだけ価値のあるイシュー度の高い活動に絞り込み、そのアウトプットの質をどこまで高めることができるか … を競うゲームだ

最初に大切なのは … もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う
サブイシューのなかには、必ず最終的な結論や話の骨格に大きな影響力を持つ部分がある
そこから手をつけ、粗くてもよいから、本当にそれが検証できるのかについての答えを出してしまう
カギとなる「前提」と「洞察」
それが終わったあとは、バリューが同じくらいであれば早く終わるものから手をつける

カギとなる洞察 … プレゼンや論文のタイトルになる

前提と洞察から取り組む
1.「空」課題の確認 > 2.「雨」課題の深堀り > 3.「傘」結論
最初に取り組むところ 1.基本となる前提 > 2.カギとなる洞察
「シンデレラ」の例 1.シンデレラは継母の娘たちより圧倒的に魅力的である > 2.ガラスの靴を履けるのはシンデレラだけである

地動説を唱えようと … 地動説に都合のよい事実ばかりを挙げるのではなく、天動説の論拠となっていることですら実は地動説のほうが正しく解釈できる、ということを論証し、そうでなければ無理なり矛盾なりが起きることを示す必要がある

トラブルをさばく
できる限り前倒しで問題について考えておくこと
「できる限り先んじて考えること、知的生産における段取りを考えること」
「Think ahead of the problem」
所定時間で結果を出すことを求められるプロフェッショナルとして重要な心構え

トラブル① ほしい数字や証明が出ない
▶ 構造化して推定する

▶ 足で稼ぐ

▶ 複数のアプローチから推定する

トラブル② 自分の知識や技では埒が明かない
「人に聞きまくる」

「もっている手札の数」「自分の技となっている手法の豊かさ」がバリューを生み出す人としての資質に直接的に関わる

回転数とスピードを重視する

「軽快に答えを出す」「停滞しない」
停滞を引き起こす要因 … 「丁寧にやる過ぎる」 … 丁寧さも過ぎると害となる

1回で完成度の高いものを生み出そうとすると時間的に見合わない
60%(1) > 70%(2) > 80%(4)

回転を上げることでレベルを上げる
60%(1) > +24%(=40×0.6)(1)

プレゼンの資料をまとめていく作業
「本質的」「シンプル」を実現する

一気に仕上げる
「どのような状態になったらkのプロジェクトは終わるのか」

検討報告の最終的なアウトプットは … 第一に聞き手・読み手と自分の知識ギャップを埋めるためにある
1 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
2 最終的なメッセージを理解してもらう
3 メッセージに納得して、行動に移してもらう

講演・発表をするにあたっての心構え … 「デルブリュックの教え」
ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え
ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ

どんな話をする際も … 基本的な考えや前提 … イシューの共有からはじめ … 結論とその意味するところを伝える
「的確な伝え方」をすれば必ず理解してくれる存在として信頼する
「賢いが無知」 … が受け手

「イシューからはじめる」 … ポリシーそのままに、「何に答えを出すのか」という意識を発表(プレゼン・論文)の全面に満たす
シンプルにムダをなくすことで受け手の問題意識は高まり、理解度は大きく向上する

複雑さは一切要らない
意識が散るようなもの、あいまいなものはすべて排除する
ムダをそぎ落とし、流れも構造も明確にする

ストーリーラインを磨き込む
3つの確認プロセス
1 論理構造を確認する
・ すっきりとした基本構造で整理できているか
・ 前提が崩れていないか

2 流れを磨く
・ 流れが悪いところはないか
・ 締まりの悪いところはないか
・ 補強が足りないところはないか
「ひとつのテーマから次々とカギになるサブイシューが広がり、流れを見失うことなく志向が広がっていく」
最終的なメッセージを明確な論理の流れのなかで示していくことが理想

「紙芝居形式の粗磨き」
「人を相手にした細かい仕上げ」

3 エレベータテストに備える
・ 結論を端的に説明できるか
・ 特定の部分について速やかに説明できるか
20~30秒程度で複雑なプロジェクトの概要をまとめて伝える

チャートを磨き込む
優れたチャートと磨き込みのコツ

チャート(図表・グラフ)を精査していく
チャートは … 「メッセージ・タイトル・サポート」 … 3つの要素からできている
いちばん下には必ず情報源を書く

優れたチャートが満たすべき条件
1 イシューに沿ったメッセージがある
2 (サポート部分の)タテとヨコの広がりに意味がある
3 サポートがメッセージを支えている

チャートを磨き込む … 「優れたチャートの3条件」
1 1チャート・1メッセージを徹底する
「このチャートで何を言いたいのか」ということをしっかり言葉に落とす
2つ以上のことを言いたいなら2つのチャートに分断する
人がチャート見て「わかる」「意味がある」と判断するまでの時間は … 長くて15秒、多くの場合は10秒程度 … 「15秒ルール」

「どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ
それでも人はわからないと言うものだ
自分が理解できなければ、それをつくった人間のことをバカだと思うものだ
人は決して自分の頭が悪いなんて思わない」

価値を判断する人は … おおむねとても忙しく、自分に自信を持つ人たちだ
数枚続けて「このチャートには意味がない」と判断すれば、すぐに彼らの心の窓は閉じてしまう

2 タテとヨコの比較軸を磨く
▶ 軸の選択をフェアにする
▶ 軸の順序に意味をもたせる
▶ 軸を統合・合成する
▶ 軸の切り口を見直す

3 メッセージと分析表現を揃える

「コンプリートワーク」をしよう

「イシューからはじめる」「結果を出す」

「コンプリート・スタッフ・ワーク(Complete Staff Work)」
「自分がスタッフとして受けた仕事を完遂せよ。いかなるときも」

「人から褒められること」ではなく、「生み出した結果」そのものが自分を支え、励ましてくれる
生み出したものの結果によって確かに変化が起き、喜んでくれる人がいることがいちばんの報酬になる

クライアントや自分の会社に約束した価値を無事届けた、このこと自体が … 達成感を生む

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