「農業のマーケティング教科書」岩崎邦彦(2017)

「農業のマーケティング教科書 食と農のおいしいつなぎかた」

「味では負けない」
「品質には自信がある」
「技術では負けない」

「だけど、売れない」
「だけど、儲からない」
「だけど、うまくいかない」
味、品質、技術で負けていないのに、なぜうまくいかないのだろうか

「消費者は食べるモノ」でなく「食べるコト」を買う

トマトの購入 … 一回あたり(320円)まで支払うことができる
茶葉の購入 … 一回当たり(845円)まで支払うことができる

おいしさの感動に(5292円、トマトの16倍)まで支払うことができる
リラックスしたひと時に(3943円、茶葉の5倍)まで支払うことができる

消費者は … 「農産物」を買うのではなく 「おいしさ」を買っている
「茶葉」がほしいのではなく、お茶を飲んで「リラックスしたい」のである

消費者の関心は、農産物そのもではなく、その商品が自分にとって、どのような価値があるのかだ
単にトマトを売り込もうとしてもうまくいかない
単に茶葉を売り込もうとしてもうまくいかない

売り込まれて、買いたくなる人はいない

農産物を売り込もう!
地域産品を売り込もう!

押されるほど … 人は … 引いてしまう
説得しようとしていると感じると … 人は … 身構えてしまう

20世紀 … 農業者 → 売り込み → 消費者
21世紀 … 消費者 → 引き込まれる → 農業者 沖縄引力

農や食に関する産業の相対的な地位が高い国は、幸福度も高い傾向にある
人口:世界人口統計(2016)、輸出額:UNCTAD(2016)、World Business Report(2017)

おいしいものを食べると(    )。

幸せ850、嬉しい320、笑顔127、元気66、満足64
楽しい64、心40、満たされる33、ハッピー18、幸福16

おいしさはお腹だけでなく、心も満たしてくれる

山の食材 → 山の幸
海の食材 → 海の幸

日本の世界ランキング
人口一人当たりの農産物・食料品の輸出額 日本117位
幸福度 日本51位

農業を身近に感じている人ほど「幸福度」が高い
食生活と農業の距離を近く感じている人ほど「幸福度」が高い

「農」 … 「おいしい」 … 「幸せ」

農業は … 農産物を生産するだけの仕事ではない
人々の幸福の基盤となりうる
農業や農村の活性化は … 人々の幸福感にも結び付く

マーケティングとは … 「顧客を創造する活動」
農業において顧客を創造する … には、農と食をつなぐことが欠かせない

農業のマーケティングとは 「農」と「食」をつなぎ、顧客を生み出す活動である

どうすれば顧客を生み出すことができるの … か
ポイントは、農産物という「モノ」ではなく、農産物が生み出す「価値」

トマトという「農産物」を買うのではない
おいしさ、健康、おしゃれな食卓といった「価値」を買う

茶葉という「農産物」を買うのではない
リラックス、やすらぎ、健康といった「価値」を買う

ウナギという「水産物」を買うのではない
ごちそう、元気、栄養価といった「価値」を買う

花という「植物」を買うのではない
感謝の気持ち、癒し、快適な空間といった「価値」を買う

消費者は「モノ」を買うのではない
「価値」を買う

生産者は「農産物を売ろう」「食べ物を売ろう」と考えがちである
消費者は、自分にとって … 価値がなければ … 1円でも買わない

「食べるもの」の日がなぜ普及しないのか

「お米の日(8/8)」「野菜の日(8/31)」「トマトの日(10/10)」「バナナの日(8/7)」「うどんの日(7/2)」
「モノ」を訴求しているだけで「価値」を訴求できていない

「母の日(感謝)」「バレンタインデー(愛)」「土用の丑の日(活力)」

消費者の関心 … ブログを見てもわかる
「食事」のブログのエントリー数は「農産物」と「食物」を合わせた数の8倍以上

「農産物をつくる農業」に加え「顧客をつくる農業」という視点が欠かせない

「販売」と「マーケティング」は違う

マーケティングのことを「販売活動」や「売り込み」と同じ … 意味でとらえている人が多い
「販売」と「マーケティング」は … 似ているようだが … 発想は正反対である

販売 「ぜひ、食べてください」(起点が農産物や生産者)
マーケティング 「ぜひ、食べたい」(顧客起点)

買い手を主語にして考える
これがマーケティング 価値創造・付加価値志向

* 生産者 幸せの/顧客の/価値の

トマト+(    )=満足

生産者 おいしさ(25)、品質(6)、うまさ(6)
消費者 チーズ(126)、パスタ(84)、塩(81)
消費者1000人調査(2013)

「生産者目線」を … 「消費者目線」に変える方法

①「売る」 … を禁句にし「買う」と言い換える

* お金を払う立場で「顧客価値」を捉える

②「何」ではなく「なぜ」で発想する
生産思考 「何を、作るか」
販売志向 「何を、売るか」
マーケティング志向 「なぜ、買うか」

何=モノ
なぜ=価値

③「食べるモノ」ではなく「食べるコト」をイメージする
「生産者の顔が見える農産物」
という発想ではなく「消費者の顔が見える農産物」という発想

料理されている/食卓に乗っている/笑顔で食べているシーンをイメー時できるように

④「農産物を作る」ではなく「顧客を作る」と考える
生産 → 農産物を作る
マーケティング → 顧客を作る

⑤小売店 … で自分が生産した農産物を自腹で買ってみる
自分の商品の位置づけ、支出の痛みを知る

生産者目線 ≠ 消費者目線
「品質には絶対の自信を持っていますが、販売に苦労しています」
業界のプロが集まる品評会で「最高品質」と評価された商品が、消費者に支持されるとは限らない

「おいしいか、おいしくないか」 … 決めるのは生産者ではなく、消費者
農産物の「価値」が形になるのは、食事の場である

生産者の自己満足度≠顧客満足度
消費者に伝わらない品質は、独り善がりだ

人は舌で味わう
目で感じるおいしさ、鼻で感じるおいしさ、耳で感じるおいしさ、食感で感じるおいしさ
人は「頭」や「心」でもおいしさを感じている

「おいしさ」は農場では生まれない

知覚品質をいかに高めるか

①「ブランド」で知覚品質が高まる
いくらまで出せるか
「いちご」 444円
「あまおう」 550円(支払許容価格が2割以上も増加)

「牛肉」 2068円
「松坂牛」 2518円(支払許容価格が2割以上も増加)

* ブランドとは

②「見える化」で知覚品質が高まる
「わあー、おいしそう」
我々は、食べてから見るのではなく、見てから食べる

農業のマーケティングは「視覚より、味覚」ではなく「視覚も、味覚も」
おいしい=美+味

味には形がない
「生産者として、もっとも大切にしていることは何ですか」と聞くと「味」と回答する人が多い
生産者が「私がつくった農産物は、おいしいです」と言っても … 目に見えない
味には形がない
目に見えないと、人は不安に感じる
消費者は「おいしさ」を見たいのである

商品「パッケージ」は単なる包み紙ではない … 箱でもない
「品質、おいしさ、こだわりを形にしたもの」がパッケージ

リーフレット、パンフレット、POP、サイトのトップページ、ラベル … 消費者の目に入るものすべてが知覚品質に影響する
ラベルやパッケージの「字体(フォント)」さえ … 知覚品質に影響を与える

フォントで味が変わるのか
「湯飲みに入った緑茶」 … 一杯何円まで支払うか
「行書体」 305円
「ポップ体」 275円
全国消費者1000人調査
フォントで知覚品質は … 変化する

高級感と知覚
私は(    )なイチゴに高級感を感じる
艶・鮮やか(155)、粒(153)、真っ赤(143)、大きい(121)、大粒(119)、
赤い(105)、濃い・濃厚(92)、きれい(89)、甘い(69)、新鮮(63)
東京都に住む1年間に1回以上イチゴを買うことがある女性1000人

出現頻度の高い単語の1位から8位まで … 「視覚」に関するもの

消費者は、イチゴの「つや・輝き」で高級感、鮮度、おいしさを感じ、「赤色の濃さ」で甘さと濃厚さを感じている
人は、目に見えるものを通して、目に見えない「品質」や「おいしさ」を推測する

③「言える化」で知覚品質が高まる
「自分が生産した農産物の特徴を説明できない農家が多い」
ある流通業者の言葉だ
おいしさを言語化する「言える化」も知覚品質を高めるためには有効

高品質なレタス(4.1%)
みずみずしくて、シャキシャキのレタス(38.5%)

高品質な牡蠣(6.8)
殻からこぼれおちそうなプリプリの牡蠣(31.5)

高品質なシフォンケーキ(5.1)
フワフワで、しっとりしたシフォンケーキ(37.4)
全国消費者1000人調査(2015)

「高品質」「おいしい」と聞いただけでは具体的なイメージが浮かばない
イメージが浮かばなければ、消費者の気持ちは動きにくい

食材の画像や食べるシーン、場面が生き生きと思い浮かべば … 食べたい気持ちが喚起される
「味」「見た目」「食感」「香り」 … を言葉にしてみよう
「言える化」によって「見えないおいしさ」が口伝えで、人々に広がっていく
消費者は、おいしさを「聞きたい」し、「言いたい」のである

「言える化」の効果は、男女で異なる

「名詞」で語る男性、「形容詞」で語る女性
雨の日に(    )を食べたくなる

男性 ラーメン、うどん、そば(名詞)
女性 温かいもの、甘いもの、さっぱりしたもの(形容詞を利用した言葉)

④「物語」で知覚品質が高まる
「もの」ではなく「ものがたり」で買い手の心に訴求しよう

その農産物にはどのような歴史があり、どのような人が、どのような思いで、どのような場所で、どのような方法で作っているのか
どのような苦労があったのか

「高品質リンゴジャム」に支払う価格
物語* あり 818円
物語なし 759円
全国消費者1000人調査(2014)

  • リンゴ一筋30年の農家、青森県津軽平野の山田さんにお願いして、樹上完熟リンゴを使いゆっくりと時間をかけ、手作りでしあげました

⑤「掛け算」で知覚品質が高まる
「何と一緒に売るのか」によっても「知覚品質」は変化する

「緑茶」を緑茶カフェで飲むとするといくらまで支払うか
緑茶の写真+「しいたけ」 274円(乾物という「モノ」つながりの品ぞろえ)
緑茶の写真+「和菓子」 330円(緑茶のあるくつろぎの空間という「コト」つながり)
岩崎「引き算する勇気―会社を強くする逆転発想」
隣に何があるかで、支払許容価格に … 2割もの違いが生まれる

食べるシーンをイメージし「コト」つながりで農産物をイメージすると「知覚品質」の向上が期待できる

⑥「陳列」で知覚品質が高まる
同じ農産物であっても、並べ方次第で、知覚品質は変化する

「トマト」1個あたりにいくらまで支払っていいと思うか
低密度に陳列 72円
高密度に陳列 88円
全国消費者1000人調査(2016)

高密度で展示した方が知覚品質が高まる
農産物の「ボリューム陳列」の効果
バラバラに少量陳列するよりも、棚一杯に大量陳列した方が買いたい気持ちが喚起される

棚に商品があふれる「朝の農産物直売所」はなぜ売り上げが好調なのか
棚に商品が少なくなった「午後の農産物直売所」でなぜ売上が落ちるのか

⑦「価格」で知覚品質が高まる
「まつたけは、なぜおいしいか?」
「高級ワインは、なぜおいしいか?」
理由の1つは、価格が高いから

「高かろう、良かろう」
価格は品質のバロメーターになる

価格が味を変える
2杯の緑茶を飲んでもらい、味の評価を依頼した
「100円」分の茶葉を利用して淹れた 「おいしい」57.1%
「5円」分の茶葉を利用して淹れた 「おいしい」14.3%
岩崎「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」

「価格は味を変えてしまう」
ワインやお茶など嗜好性のある商品
健康食品など消費者の品質判断力が弱い商品
贈答分野の商品

全国469の農業者調査

マーケティング … 質問
「顧客ターゲットを明確に設定している」
「商品の加工販売(六次産業化)に力を入れている」
「品質に自信を持っている」
「技術力は高い」
「消費者と交流をしている/声を聞いている」など39項目
 ↓
プラスの5変数
「消費者と交流をしている/声を聞いている」
「価格競争に巻き込まれにくい」
「安定的な販売先を確保できている」
「核(シンボル)となる商品がある」
「女性の力を積極的に活用している」
 +
マイナスの1変数
「農畜産物の収穫までが私の主な仕事である」

業績 … 質問(主成分分析)
「現在の業況」(とても好調~非常に不振)
「売上推移」(3年前より10%以上増加~減少)
「農業収益」(直近決算が黒字~赤字)

①「消費者と交流をしている/声を聞いている」
生産者が消費者と同じ方向を見る
直売所/食のイベント/農業体験/農家レストラン/農園カフェ/消費者モニター活用/アンケート調査実施/ネット上のコミュニケーション
消費者目線の実感/マーケティングヒントを得る/「おいしかった!」でモチベーション&満足度アップ

消費者にブランドイメージが刻まれる/購買意欲喚起/クチコミ醸成

②「価格競争に巻き込まれにくい」
「価格決定に関わることができる」「自分で価格を決められる」
=「安さ以外の魅力で消費者をひきつけている」

なぜ価格競争に巻き込まれにくいのか
-1 競合が少ない 「同じ地域に同じものを扱っている同業者がいない」
-2 消費者との信頼関係 「〃 が強い」
-3 地域性 「他の地域では同じものが作りにくい」
-4 直販・販路の確保 「販路がしっかりしている」「直売所で直接販売している」
-5 独自性 「独自の栽培技術がある」「ニッチな作物を扱っている」
-6 品質の高さ 「味が良いので指名買いが多く、高めの価格設定でも販売できる」
-7 ブランド力 「ブランド化に成功している」

③「安定的な販売先を確保できている」
好業績の農業者は「出口戦略」にも力を入れている

「自分が生産した農作物が、どこでどのように売られているのかを知らない」ようでは農業経営はうまくいかない
「つくる」だけでなく「いかに顧客へ届けるか」を考える

消費者だけではない
どうしたら流通が取り扱いたくなる商品になるか
どうしたら飲食店やシェフがメニューに利用したくなるか

「流通業が売りたくなるものをつくる」
「流通業との連携が有効」
「生産と流通対策との連携が不可欠」

販路について他人任せにせず、生産者自身が直接 … 間接 … 関与していくことが大切

④「核(シンボル)となる商品がある」
平均的な商品をたくさん有するより、1つでも明らかに優れた商品を作ることが効果的

核となる商品があれば … 顧客の頭の中にイメージが湧きやすくなる
イメージが湧けば買いたい気持ちが喚起される

なにかが突出して優れていると、他の面でも優れているとみなされやすい
欠点も補ってくれる(ハロー効果)

「いろいろあります」「たくさんあります」 … は消費者の頭にイメージが湧かない
イメージが湧かなければ … 選ばれにくくなる

顧客は何をあなたの各商品と認識しているだろう
(自社名)といえば(    )である

シンボルは何かを明確にしていこう

⑤「女性の力を積極的に活用している」
良い農産物はたくさんある
単純な「良い悪い」の勝負ではなく「好き嫌い」の勝負でもある
顧客の頭に訴えるだけでなく「心」にも訴える農産物が求められている

⑥「農畜産物の収穫までが私の主な仕事である」
「収穫したら終わり」ではない
収穫してからが「第二のスタート」だ

農産物の価値が生まれるのは農場ではない
食事の場である
優れた農業者は生産とマーケティングの両方に通じ … 有機的につなぐことができている

ブランド化とは何ですか?

どちらのうどんを選ぶか
かながわのうどん 171人
かがわのうどん 1829人
全国消費者1000人調査(2017)

「良いものをつくっていればあとは黙っていても消費者が評価してくれる」
日本中に良いものがたくさんある今日、生産者目線の品質だけでは選ばれない

品質を超えた「何か」
それが「ブランド」

「ブランド」か … 「単なる名前」か
①名前の後ろに「らしさ」という言葉をつけてみる
「京都」らしさ 和/歴史/伝統
「北海道」らしさ 大自然/食/おいしそう
「埼玉」らしさ
「栃木」らしさ

②目を閉じて頭にイメージを浮かべてみる
ブランドは心の連想である
強いブランドは … 何かしらの映像が頭の中 … にて映し出される

「イメージが浮かぶ程度」と「行ってみたい程度」
両者には極めて強い相関がある
「イメージが浮かばなければ、選ばれない」

ブランドは、買い手の頭の中に浮かぶイメージである
画像検索をしてみよう

強いブランドは … 「クチコミ」や「パブリシティ」(メディアによる報道)で生まれるケースが圧倒的に多い
顧客が顧客を呼び、メディアが顧客を呼び、ブランドが生まれる

ロゴをつくる前に、ブランドの「あるべき姿」「理想の姿」(ブランド・アイデンティティ)を明解にすることが欠かせない

「強いブランド」にはどのような特性があるのか
①ブランドイメージが明快である
強いブランドに共通する最も重要な特性は「イメージが明快である」ということ
売り手側が「ブランド・アイデンティティ」(どのようなブランドになりたいのか、ブランドの理想の姿)を明確化し、メンバーで共有する

②感性に訴求している
強いブランドは顧客の「理性」(頭) … 顧客の「感性」(心)に … 訴求している
消費者の「心」をとらえる … 「良い商品」が「好きな商品」に変わる

③独自性がある
強いブランドは独自の価値を消費者に提供している
「無難」「平凡」「平均」「普通」「まあまあ」「そこそこ」はどれも … NGワード

④価格以外の魅力で顧客を引きつけている
価格を下げなければ顧客を生み出せない … それは「ブランド」ではなく … 「商品」だ
強いブランドは「価格以外の魅力」で顧客を引きつけている

消費者がブランドに求めているのは「低い価格」ではなく「高い価格」である

価格で惹きつけた顧客は、価格で逃げていく

⑤情報発生力がある
「発信力」ではない
「発生力」だ
強いブランドには「情報発生力」がある

どうしたらメディアや報道機関が情報をとり上げたくなるのかを考え、積極的にメディアに情報提供をしていくことが有効

⑥クチコミ発生力がある
「顧客が顧客を生み出す」というメカニズムが作用している
クチコミの発生=伝えやすい×伝えたくなる

「ブランド名が短く、覚えやすい」「特徴が絞り込まれていて、言語化しやすい」「個性が明快 … 文章化しやすい」
「顧客満足度が高い」「独自性、個性がある」「売り手と消費者の心理的距離が近い」「写真映えする」

「違い」が価値になる
三つ葉のクローバーの価値を10円とすると四つ葉のクローバーの価値はいくらになりますか?
206円
全国消費者1000人調査(2017)
葉っぱ1枚増えただけで、価値は20倍以上になる

「二番煎じ」は強いブランドにはならない
日本で一番高い山は誰もが知っているが、二番目に高い山を知る人は少ない
日本で一番大きな湖は誰もが知っているが、二番目に大きな湖を知る人は少ない

「成功事例をつくり、それを … ヨコ展開」
「ヨコ展開」できるということは真似されやすいということ
そもそも、模倣が容易であればブランドにはならない
真似が難しいからこそ、ブランドなのである
ヨコに広がれば広がるほど、ライバルとの重なりも生じる
競争が激しくなる
競争が激しくなれば、最終的には誰も儲からなくなる

「手間がかかる」
「苦労する」
「面倒だ」
「効率が悪い」
「大変だ」

こういった言葉が、ブランドづくりと相性が良い
「ヨコ展開」が難しいからだ
大切なのは、いかに「ヨコ展開するか」ではなく、いかに「ヨコ展開されないか」である

いかに個性を出すか
①「味、香り、食感」
②「形状」
③「サイズ」
④「色」
⑤「パッケージ」
⑥「生産方法・栽培方法」
⑦「肥料・エサ」
⑧「品質基準」
⑨「生産場所」
「京野菜」や「湖トマト」 … は農産物と土地との結びつきを価値に変えることによって強力な個性を生み出している
地域性を軸に個性化ができれば、他地域から真似されることはない
⑩「ずらし」
収穫時期をずらすことができれば、個性や収益力を高めることができる
静岡のタマネギは、通年では北海道のタマネギに及ばないが冬期の販売シェアは1位であり、高価格で取引されている
三島馬鈴薯は7月の1か月だけ限定出荷し、全国の青果市場で日本一の価格で取引されている
⑪「ストーリー」
⑫「利用シーン」
「山椒」をうなぎ用ではなく「スイーツの素材」「ピザにかけるトッピング用」として
「しらたき」をすき焼き用ではなくパスタ代替品として
「かつお」を出汁用ではなく「お菓子」として
「高糖度トマト」や「めねぎ」を握りずしのネタとして
⑬「用途の限定」
「卵かけごはん用醤油」「お好み焼き用ソース」
フレッシュチーズを「パン塗り専用」として
万能を売りにしいてた油を「天ぷら専用」として
多くの生産者は用途を広げれば売り上げが伸びると考えがちであるが … 逆だ
「幅広い用途」「万能」では買い手の頭の中にイメージが湧きにくい
イメージが浮かばなければ、選ばれない
用途を絞ることによって、利用シーンが明確になり、購買意欲が喚起されやすくなる
⑭「売る場所」
香りが魅力の「茶葉」を花屋で売る
おしゃれなパッケージの「サバの缶詰」を雑貨店・インテリアショップで売る
⑮「逆張り」
「ケーキのための緑茶」「和菓子のための紅茶」
「洋食に会う米」「和風ピクルス」「和風シリアル」
「辛くないラー油」「低糖度バナナ」
「あか牛」「堅いポテトチップス」「粘らない納豆」
「冷茶専用の茶葉」「冷やし焼き芋」「冷やし鯛焼き」「石焼きいもアイス」
鮮度⇔「熟成/熟成茶/熟成魚/熟成そば」

六次産業化に関する誤解
①「規格外品活用のための六次化」という誤解
「はじめに規格外品ありき」=「究極の生産者目線」 … ではうまくいかない
顧客にとっての「買う理由」にはならない

②「六次化は新商品開発である」という誤解
六次化≠商品開発
消費者が求めているのは「食べるモノ」ではない
「食べるコト」である
六次化の本質は価値づくり

いくつ商品を開発したかではなく、どれだけ「新しい価値」を生み出したか
その商品は「新しい顧客」を生み出したか
一度買ってくれた顧客は「リピート」してくれているか

③「加工食品業の土俵に乗る」という誤解
食の商品開発のプロ中のプロである加工食品メーカーでさえ、新商品開発に成功する確率はとても低い「千三つ」
商品開発のプロではない農業者が加工食品メーカーと同じ土俵で商品開発を行ったとしても成功することはむつかしい

ではどうすべきか
加工食品メーカーの土俵には上らないこと
一般の食品加工業者にはできないことをする
農家にしかできない商品で勝負をする

農家にできて加工食品メーカーにできない商品は何か
イチゴ農家にしかつくれない「イチゴを丸ごと凍らせて削るかき氷」
茶生産者にしかつくれない「世界で一番濃い抹茶ジェラート」
素材を贅沢に使った「農家にしかつくれないドレッシング」
農業者の商品開発 … は加工食品業者と「土俵を変える」ことが欠かせない

六次産業化の成否に影響を及ぼす条件
①「独自性」
「明快な特徴」を打ち出すことが欠かせない

②「販売ルート確保」
「製品はできたけど、売る場所がない」
独自性×チャネルの確保=好調

③「高品質・安心安全」
top チャネル
2nd 独自性
3rd 高品質・安心安全

いかに売れ続ける商品を作るか
「今」だけでなく「来年」も「再来年」も「その後もずっと」食べ続けてもらえる商品づくり
「ヒット商品」を生み出すことよりも「ロングセラー商品」を生み出す方がはるかに困難
「買ってもらう」ことよりも「買い続けてもらう」ことの方が難しい

ロングセラーの条件
①おいしすぎない
食べ過ぎると消費者は飽きてしまう

②「変わらないもの」と「変わるもの」のバランス
シンボル=定番に … ゲスト=期間限定/地域限定を投入

③近視眼にならない
一気に生産量を増やす … 販売チャネルを増やす … のは危険

「農村観光」にひかれる人々の特性
①「現地の人々との出会い・交流」を重視
②「自然」を重視
③「学び」を重視
④「体験」を重視
⑤「その地域ならではの商品や食」を重視

「農家レストラン」にひかれる人々の特性
①小規模店志向である
②健康志向である
③食のクチコミ発信源である
④グルメ志向である
⑤環境志向である
⑥リピート志向である

農家レストランにおける農業者の強み
①軸はあくまで「農業」である
②メニューの「足し算」をやめよう
③「核となる商品」をつくろう
④「ライブ感」を大切にしよう
⑤「飽きない」を意識しよう
「変わらないもの」(看板)と「変わるもの」(限定)のバランス


「農業のマーケティング教科書 食と農のおいしいつなぎかた」

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