観光客、川平湾で海水浴
2019年08月11日 地域・教育> 「海岸法には直接、遊泳禁止の規定がないため規制はできない」
グラスボート近くで海水浴をする外国人観光客ら=7月27日午後撮影、川平湾
「遊泳危険」と記された看板。川平公園駐車場側から湾に通じる小道に、たった1枚しかない=7月31日午後撮影、川平湾過去に死亡事例も 外国人への周知課題
「川平ブルー」と称され、国内外から人気が高い観光スポット川平湾で、異変が起きている。外国人観光客が悠々と海水浴を楽しんでいるのだ。関係者からは「ことしは特にひどい」との声も。川平湾は一般的に「遊泳禁止」と思われているところ。何が起こっているのか。(玉津盛昭記者)
海パンにゴーグル
7月27日午後、川平湾に続々と観光バスが到着した。外国人観光客のある一行が砂浜に着くと、子ども2人が海水パンツにゴーグルを装着、海に潜って海水浴を始めた。保護者風の男性も海パン姿で後から続いた。
「ここは遊泳禁止区域なのに」。観光業の男性は眉間にしわを寄せ、「外国人観光客の海水浴がことしは特にひどい」と不満を漏らす。注意すると、「どこで泳げばいいんだ」(中国系)「海はみんなのものだ」(欧米系)などと言い返されることも。
一方、日本人観光客に話を聞くと、「川平湾は泳げないものと思っている」と一定の周知はされているよう。たまに水着姿で川平湾を訪れる者もいるが、観光業のスタッフたちが注意して止めている。
実は…泳げる?
川平湾はそもそも「遊泳禁止」なのだろうか。
川平公園駐車場側から湾に入る小道に「遊泳危険」と記された、たった1枚の看板。泳ぐ人のイラストを添え、「遊泳危険」「DANGER」と2カ国語で表示している。沖縄県消防協会八重山地区支会が石垣市消防本部に贈呈し、2007年に設置されたものだ。
市消防によると、当初は「遊泳禁止」と書いていたが、設置直後にクレームがあったため、数カ月後に「遊泳危険」に書き換えた。県海岸防災課によると、海岸法には直接、遊泳禁止の規定がないため規制はできない。
看板も遊泳に注意を呼び掛けるもの。つまり、川平湾は自己責任で海水浴が可能となっているのだ。
過去に死者も
とはいえ、川平湾は海水浴に適したところなのか。
石垣市観光交流協会は、過去に酒に酔った遊泳者が死亡した事例を紹介した上で「潮流が速く、最大9ノット(時速約16㌔)は流れる」と危険性を指摘。「突然深くなる所もあるので、安全な場所で楽しんでほしい」と呼び掛ける。
市の観光文化課も「泳ぐには危険な所なので、周知が必要。どう周知するかは関係所管と調整したい」と話す。
関係者の話をまとめると、川平湾は▽潮流が速い▽急に深くなる▽グラスボートにひかれる▽黒真珠養殖への影響がある|。これだけでも、海水浴に適しているとはいえない。
昨年18年の八重山入域観光客数は137万人余りを記録し、外国人観光客も増加傾向にある。川平湾が危険な海であるということを、多言語看板で周知することが必要ではないか。
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